葬儀に使う数珠の持ち方は?必要ある?色の決まりはあるか・どこで買うかを紹介

葬儀に参列する際に必要となる数珠ですが、使い方がわからない人も少なくありません。
故人をしっかりと弔うためにも、数珠に関する正しいマナーを押さえておきましょう。
この記事では、葬儀に使う数珠の意味や持ち方、色などの決まりがあるかどうかや、知っておきたいマナーについて解説します。
葬儀に使う数珠の意味は?必要ある?
仏式の葬儀や法要などにはもちろん、お墓参りなど日常的にも使われている数珠。
普段手にする機会がない人にとっては、なぜ数珠を用いるのか疑問に感じるのではないでしょうか。
ここでは、葬儀に使う数珠の意味について解説します。
数珠の意味と由来
数珠(じゅず)は、別名「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれ、お経を唱える際に使用される仏具です。
「数珠でお経の回数を数える」というインドのヒンドゥー教の習慣が、日本の仏教にも定着したのが由来とされています。
数珠の珠それぞれが「人間の煩悩を祓ってくれる仏様そのもの」であり、身につけておくだけで魔除け・厄除けになると考えられてきました。
その理由から、仏事用の数珠とは別に、日常的に使えるアクセサリータイプのものも販売されています。
本式数珠・略式数珠の2種類ある
「本式数珠」とは、宗派ごとに決められた素材・形で作られている正式な数珠のことです。
人間の煩悩の数と同じ108個の玉で作られている場合が多く、身を清めるという意味でも、より格式が高いといわれています。
一方で「略式数珠」は「片手数珠」とも呼ばれ、本式数珠よりも少ない珠の数で作られた一連の数珠です。
宗派を気にせず使用できるため、1本持っていると重宝します。
数珠は必須ではない
数珠はお経を唱えた回数を数えるために使われるものであり、本来数珠が必要なのは、お経を唱える僧侶です。
葬儀では多くの人が数珠を持参しますが、実は参列者の持ち物として数珠は必須ではありません。
ただし、数珠それ自体が「仏様と持ち主をつなぐ仏具」という意味を持ち、「手にすることで故人への弔意を表す」という考え方もあります。
各自数珠を持っておくのが一般的な認識のため、葬儀に参列する時は持参したほうが無難といえるでしょう。
葬儀に使う数珠の持ち方・使い方|宗派別
数珠をお葬式に持参する際は、数珠が傷つかないように、数珠袋やふくさに入れて持ち運びます。
着席後は略式・本式にかかわらず、数珠は左手に持つのが正しいマナーです。
ここでは、葬儀に使う数珠の持ち方や使い方を、宗派別に詳しく紹介します。
片手数珠(略式数珠)
片手数珠(略式数珠)の場合、持ち方は片手・両手の2種類があります。
長さのある略式数珠を使う際は、両手にかけて、手のひらで数珠をすり合わせるようにして使いましょう。
また、片手・両手にかかわらず、数珠の房が下に垂れるようにして持ちます。
数珠の使い方は以下のとおりです。
【片手数珠】
・片手:左親指・人差し指に数珠をかけて合掌

・両手:両親指・人差し指に数珠をかけて合掌

浄土宗
1175年に法然(ほうねん)が開いた浄土宗は「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、極楽往生できると考える宗派です。
「口称念仏こそが往生の要件」としており「唱えれば身分にかかわらず誰でも救われる」という教えを説いています。
当時は貴族だけのものだった仏教を、大衆に広めたきっかけとなり、やがて日本中に広まっていきました。
浄土宗における本式数珠の使い方は、以下のように2通りあります。
【浄土宗:1】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 両親指・人差し指に輪をかけ、房を手前に垂らす
【浄土宗:2】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 輪を人差し指から小指までの4本指にかけ、房を奥側に垂らす
浄土真宗
1224年に開かれた浄土真宗は、浄土宗の宗祖・法然の弟子にあたる親鸞(しんらん)が、浄土宗から派生して開いた宗派です。
「南無阿弥陀仏を唱えれば極楽往生できる」と説く浄土宗に対し、浄土真宗は「ご本尊である阿弥陀如来を信じる心があれば救われる」と説いています。
すべては阿弥陀如来のご加護の力としており、阿弥陀仏の救いに委ねる「他力本願」を大切にしているのです。
浄土真宗には、代表的な宗派として「本願寺派(西)」と「真宗大谷派(東)」があります。
それぞれ持ち方が異なるため、以下の使い方をチェックしましょう。
【浄土真宗|本願寺派】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 輪を人差し指から小指までの4本指にかけ、房を奥側に垂らす
【浄土真宗|真宗大谷派】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 輪を人差し指から小指までの4本指にかける
- 大きな玉(親玉)を親指・人差し指で挟む
- 房を左手の甲に垂らす
真言宗
空海(弘法大師)を宗祖とする真言宗は816年に開かれ、留学先の中国で学んだ密教を基盤とする宗派です。
ご本尊は大日如来で、宇宙そのものを表す最高位の仏様として考えられています。
「即身成仏」を基本の教えとしており「心を清く保つことで誰でもすぐに仏になれる」と説いているのが真言宗の特徴です。
真言宗における本式数珠の使い方は、以下を参考にしてください。
なお「108の煩悩をすり砕く」という意味から、数珠をすり鳴らすように音を立てて使います。
【真言宗】
- 輪を両中指にかけて手を合わせる
- 房は左右の手の甲に垂らす
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗(そうとうしゅう)・臨済宗(りんざいしゅう)は、禅宗の中でも代表的な宗派です。
禅宗とは坐禅を通して、自分自身を見つめ直すことにより、悟りの境地を目指す教えを説いています。
宗派に大きな違いはありませんが、曹洞宗は「修行そのものが仏の行」としているのに対し、臨済宗は「本来の自己(仏心)に目覚めることが悟り」としているのが特徴です。
曹洞宗・臨済宗の本式数珠の使い方は以下のとおりです。
【曹洞宗・臨済宗】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 左親指・人差し指で挟みつつ、4本の指に輪をかける
- 房を下に垂らす
日蓮宗
1253年に日蓮(にちれん)が開いた日蓮宗は、法華経がお釈迦様の唯一の教えであると説く宗派です。
お題目である「南無妙法蓮華経」を唱えることが最も重要な信仰とされており、繰り返すことで万人が平等に成仏できると考えられています。
日蓮宗における本式数珠の使い方は、以下のとおりです。
【日蓮宗】
- 輪を8の字に捻じり両中指にかける
- 数珠を包み込むように合掌する
- 房は左側に3本、右側に2本になるように手の甲に垂らす
天台宗
天台宗の基盤となる天台教学は、中国の妙法蓮華経という経典の教えに基づいて天台大師・智顗(ちぎ)が創始したのがはじまりです。
806年に伝教大師・最澄(さいちょう)が日本に持ち帰り、広めたことで天台宗が誕生しました。
「世に生を受けたものは皆、仏になることができる」という一切皆成の教えを説いています。
また、特定のご本尊が決まっておらず、寺院によって異なるのが特徴です。
天台宗での本式数珠の使い方は、以下を参考にしてください。
【天台宗】
- 輪を2つ作り、重ねて1つにする
- 大きな玉(親玉)が左親指の付け根(手の平側)にくるようにして手にかける
- 房を親指の内側に垂らしつつ、そのまま右手を重ね合わせる
葬儀で使う数珠の選び方|決まった色や男性・女性用はある?
数珠は、性別や宗派によって選び方が異なるとされています。
自分に適した数珠を身につけるためにも、正しい選び方を知っておきましょう。
ここでは、葬儀で使う数珠の選び方を紹介します。
決まった色はないので自由に選ぶ
数珠の玉・房ともに、色については特に決まりがないため、好みの色を選んでかまいません。
ただし、地域や親族間によっては、色が決まっている可能性もあります。
不安な場合は、事前に親族や葬儀社に確認しておくと安心です。
男性用・女性用で選ぶ
【男性用・女性用の略式数珠】
男性が使用する数珠 | 10mm~12mmの大きいもの |
女性が使用する数珠 | 6mm~8mm |
子どもが使用する数珠 | 女性が使う数珠よりコンパクト |
略式数珠は、性別や年代に合わせて適したものを選ぶ必要があります。
男性が使用する略式数珠は10mmより大きい玉で作られているもので、10mm〜12mmの主玉が使用されていることがほとんどです。
女性が使用する略式数珠は6mm〜8mmの主玉で作られているものが多く、男性用数珠と比べて玉が小さくなっています。
複数のサイズの玉で作られていたり、玉に加工が施されていたりするものもあるので、お気に入りの数珠を選んでみてください。
また、子どもが使用する数珠は、女性用よりもさらにコンパクトなものを選びましょう。
玉がアクリル製で割れにくいものや、かわいらしい梵天房の数珠が、子ども用として多く並んでいます。
本式数珠は各宗派に合うものを選ぶ
本式数珠を選ぶ場合は、宗派に合ったものを選ぶことが大切です。
宗派によって玉の数や特徴が異なるため、注意して選びましょう。
宗派ごとの数珠の特徴は、以下のとおりです。
浄土宗
【浄土宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉の輪:2つ ・主玉:27個・20個 ・親玉:輪に1個ずつ ・弟子玉:16個 ・房が2本リングでつながっている |
女性が使用する数珠 | ・主玉の輪:2つ ・主玉:40個・27個 ・親玉:輪に1個ずつ ・弟子玉:16個 ・房が2本リングでつながっている |
浄土宗で使われる本式数珠は、日課数珠・百八数珠・荘厳数珠の3種類があり、一般檀家では日課数珠(にっかじゅず)が用いられます。
2つの輪を1つに繋いだような形状で、銀色のリングがついているのが特徴です。
広げた時の標準的なサイズは、男性用が9寸(約27cm)、女性用が8寸(約24cm)となっています。
浄土真宗
【浄土真宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:18~22個 ・親玉:1個 ・房が親玉に蓮如結びでついている |
女性が使用する数珠 | ・主玉:108個 ・親玉:2個 ・弟子玉:2個 ・房は蓮如結びのもの・弟子玉がついたものが2本 |
浄土真宗で使われる本式数珠は、男女によって違いがあるので注意が必要です。
男性用の本式数珠は、略式数珠と同じ一連の片手数珠で、紐房を付けたものが主流となっています。
女性用の本式数珠は、主玉が108個の二連になったもので、房が蓮如(れんにょ)結びになっているのが特徴です。
また、本願寺派(西)は頭付撚り房、真宗大谷派(東)は切り房が主に用いられています。
真言宗
【真言宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:108個 ・親玉:2個 ・弟子玉:20個 ・大きさ:約27cm(9寸) ・房は梵天房 |
女性が使用する数珠 | ・男性が使用する数珠と同じ作り ・大きさ:約24cm(8寸) |
真言宗で使われる本式数珠は、長い一連の数珠を二重にする形状から「振分数珠(ふりわけじゅず)」とも呼ばれます。
親玉から7個目・21個目に四天玉があり、丸い梵天房が4つ付いているのが特徴です。
真言宗は、特に数珠を大事にしている宗派といわれているため、正しく選びましょう。
曹洞宗
【曹洞宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:108個 ・金属製の輪「銀輪」を通している ・房は紐房 |
女性が使用する数珠 | ・男性が使用する数珠と同じ作り ・房は頭付房 |
坐禅を重んじる禅宗では、数珠に厳しい決まりはありません。
ただし、宗派によって特徴が異なるため、正しい知識のもと選びましょう。
曹洞宗で使われる本式数珠は、108個の主玉で作られた一般的な形状で、銀輪を通しているのが特徴です。
男女によって房の形状が異なります。
臨済宗
【臨済宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:180個 ・大きさ:約60cm(2尺) ・金属製の輪「銀輪」がない |
女性が使用する数珠 | ・男性が使用する数珠と同じ作り ・大きさ:約24cm(8寸) |
臨済宗で使われる本式数珠は、曹洞宗と比べて主玉の数が多いのが特徴です。
銀輪も付いておらず、とてもシンプルな見た目となっています。
男女ともに作りは同じですが、女性用は玉のサイズが小さいため、男性用よりも短いです。
日蓮宗
【日蓮宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:108個 ・親玉:2個 ・大きさ:約36cm(1尺2寸) ・房がそれぞれの親玉に3本・2本ついている |
女性が使用する数珠 | ・男性が使用する数珠と同じ作り ・大きさ:約24cm(8寸) |
日蓮宗で使われる本式数珠は、勤行数珠・装束数珠の2種類がありますが、一般檀家では勤行数珠(ごんぎょうじゅず)が用いられます。
「身につけることで煩悩を消し、身を清めるご利益がある」という考えから、108個の主玉で作られるのが特徴です。
また、日蓮の教えを重んじる宗派の中でも、日蓮宗とは本仏が異なる「日蓮正宗」も存在します。
日蓮正宗の場合、数珠の形状は日蓮宗と同じですが、房の色が白に限られているので注意しましょう。
天台宗
【天台宗】
男性が使用する数珠 | ・主玉:108個 ・大きさ:約27cm(9寸) ・玉の形が平玉(そろばんのような形) |
女性が使用する数珠 | ・男性が使用する数珠と同じ作り ・大きさ:約24cm(8寸) |
天台宗で使われる本式数珠は、平玉で作られているのが大きな特徴です。
親玉から連なる房に、片方は平玉が20個、もう片方は丸玉が10個付いています。
ほかの宗派で用いられる数珠とは形状が大きく異なることから、選ぶ時も判別しやすいでしょう。
素材で選ぶ
数珠に使われる玉の素材は、主に木製・天然石の2種類があります。
木製は軽量で扱いやすく、年を経るごとに風合いが変わって馴染んでいくのが特徴です。
素材としては、黒檀・紫檀などが使われます。
一方で天然石で作られた数珠は、ツヤや透明感のある見た目が特徴です。
色の組み合わせや加工の仕方によって大きく印象が変わるので、好みのものを選べるでしょう。
葬儀に使う数珠はどこで買う?
葬儀に使う数珠は、仏具を取り扱う専門店や、百貨店などで購入できます。
スーパーや100円ショップなどでも購入できますが、安価な数珠は耐久性が低いため、切れやすいなどといった問題が生じがちです。
急ぎの時は仕方ないですが、時間に余裕がある場合は仏具店や百貨店で購入しましょう。
葬儀に使う数珠に関するマナーは?
葬儀への参列経験が少ない人にとっては、数珠のマナーをきちんと把握できているのか不安に感じますよね。
最後に、葬儀で使う数珠の正しいマナーについて紹介します。
数珠の使い方を事前によく理解し、葬儀で故人をしっかりと見送りましょう。
他人と貸し借りしない
数珠を持っていなかったり、忘れてしまったりした時に「誰かに貸してもらえないかな…」という考えが頭をよぎるかもしれません。
しかし、本来数珠は貸し借りを避けるのが好ましく、家族間の共有もしないのが一般的です。
数珠はお守りの役割があるほか、仏様と持ち主をつなぐ意味のある仏具なので、使いまわしてはいけないものとされています。
葬儀の参列中に数珠を忘れたことに気づいたとしても、誰かに借りるのはやめましょう。
葬儀に適した数珠を使う
数珠は、魔除け・厄除けになると考えられていることから、数珠ブレスレットなどアクセサリーとして身につける人も少なくありません。
しかし、葬儀に参列する際には、仏事用の数珠を使いましょう。
仏事用と同じような素材で作られた数珠ブレスレットでも、葬儀の場にはふさわしくありません。
マナー違反で恥をかかないためにも、仏事用を準備しておくと安心です。
椅子・床などに置かない
仏教において、数珠は仏様と持ち主をつなぐ意味を持ちます。
丁寧に扱うことが大切とされているので、お尻で踏む場所である椅子・足元の床などに数珠を置かないように気をつけましょう。
葬儀中に数珠を使わない時は、手に持つか、数珠袋に入れてバッグに入れるなどして、肌身離さず持っておくようにしてください。
葬儀に使う数珠は宗派で異なる。持ち方やマナーに気を付けましょう
葬儀に使う数珠は、仏様と持ち主をつなぐ意味を持つ大切な仏具です。
略式数珠・本式数珠があり、本式数珠の場合は宗派によって形状が異なるため、正しいものを選んでくださいね。
数珠の持ち方やマナーをきちんと押さえ、穏やかな気持ちで故人を見送りましょう。
葬儀に関するお悩みがあれば「家族葬のゲートハウス」へ
家族葬のゲートハウスは、和歌山市の家族葬施行件数No.1の葬儀社です。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
・一級葬祭ディレクター
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。