新盆(初盆)とは?やり方は?用意するものやいつ法要を行うか解説
特別なお盆とされている新盆(初盆)。
初めて迎えることになったけれど、そもそもどんなものか知らない、用意するものや全体の流れが分からないという方も多いでしょう。
この記事では、新盆(初盆)とは何か・用意するもの・やり方についてを紹介します。
新盆(初盆)とは?読み方は何?
新盆(初盆)とは四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆のことです。
故人が初めて家に帰ってくる一度きりの機会であるため、普通のお盆よりも丁寧かつ華やかにお迎えすることが望ましいとされています。
新盆法要や会食といった、特別な行事を実施するのも特徴の1つです。
読み方は新盆なら「にいぼん」、初盆なら「はつぼん」と読むのが一般的。
地域によっては新盆を「しんぼん・あらぼん」、初盆を「ういぼん」と読むところもありますが、基本的に同じものという認識で問題ありません。
浄土真宗における新盆は?
浄土真宗では「亡くなった方はすぐ極楽浄土に往生し、仏になる」と考えられています。
そのため、特定の時期に故人の霊が帰って来るという考え方がなく、お盆や新盆のような死者を迎え入れる行事は基本的に実施しません。
その代わり、お盆の時期には「歓喜会(かんぎえ)」と呼ばれる法要を行います。
この歓喜会とは故人を偲びつつ自身を振り返るために念仏を聞く行事で、僧侶を呼んで読経してもらう形式をとるのが一般的です。
※地域・お寺によってはお盆に関する法要が行われる場合もあります。
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新盆(初盆)はいつ行われる法要?
新盆(初盆)の法要は通常のお盆の時期、8月の13日〜16日に行うのが一般的です。
しかし、地域や風習によっては7月13日〜16日、旧暦の7月13日〜7月15日に実施する場合もあるので、いつ行うかは事前に確認するようにしましょう。
執り行うタイミングに関しては前述の通り、四十九日が終わってから最初のお盆です。
また、四十九日の期間中にお盆がくる場合は、その翌年のお盆に新盆の法要を行います。
新盆(初盆)で用意するものはある?
新盆(初盆)とは、故人が初めて迎えるお盆です。
法要や会食といった行事を実施する特別なお盆でもありますが、ではいったい何を用意すれば良いのでしょうか?
次は、新盆(初盆)で用意するものについてを紹介します。
香典
新盆の法要に招かれた場合に必要となるのが「香典(御提灯代)」です。
こちらは施主に渡すお金で、葬儀の際に持参する香典と同様に不祝儀袋または香典袋に包み、結切りの水引をつけた上で渡します。
包む金額の相場は、故人が親兄弟である場合には1万円〜3万円、その他の親族の場合は5千円〜1万円、知人・友人である場合は3千円〜1万円ほどです。
表書きに関しては宗派を問わない「御供物料」が無難ですが、仏式と分かっている場合には「御仏前」や「御佛前」を使っても良いでしょう。
精霊棚
「精霊棚(しょうりょうだな)」とは、先祖や故人の霊をお迎えするために用意する祭壇のことです。
「盆棚(ぼんだな)」とも呼ばれるもので、お盆の時期中はこの祭壇に先祖の霊が滞在すると考えられています。
設置する場所は、お仏壇の前または横が基本です。
お飾りに関しては最上段には依代(よりしろ)となるお位牌をお祀りし、中段〜下段にお供え物、下段にはお参りの道具を並べます。
精霊馬(精霊牛)
故人の魂を送迎するための乗り物が「精霊馬(しょうりょううま)・精霊牛(しょうりょううし)」です。
こちらは精霊棚に備えるものの1つで、キュウリやナスといった旬の野菜と割り箸、爪楊枝を使って馬と牛の形を作ります。
「足の速い馬に乗って、早く帰ってきてほしい」「足の遅い牛に乗って、ゆっくりと帰ってほしい」という願いが込められているのも特徴の1つ。
材料さえ用意すれば簡単に作れるので、故人を気持ちよく迎えたい方はぜひ作ってお供えしましょう。
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白提灯
「白提灯(しろぢょうちん)」は新盆のときにのみ使用する、白無地の提灯です。
「白紋天(しろもんてん)」とも呼ばれるもので「故人の霊が迷わず家に帰ってこられるように」という願いが込められています。
飾る場所は仏壇の前や玄関、お部屋の窓際が基本です。
使用する回数は1度きりとなっており、飾ったあとは送り火で燃やすか、お寺に供養をお願いすることになります。
お供え物
精霊棚の中段や下段に並べる「お供え物」の基本を紹介します。
心を込めたお供え物で、感謝や偲ぶ気持ちを表現しましょう。
花
新盆の法要で必要となるお供え物が「花」です。
この花は「生花」であることが必須で、作り物である「造花」は不向きとされています。
供える花に白菊を選ぶご家庭が多い傾向にありますが、トゲがなく香りの強くない花であれば、ご自身や故人が好きだった花を飾っても問題ありません。
ただし、新盆は真夏の暑い時期に執り行うため、傷みにくい花を選ぶことをおすすめします。
香
「香」とはお線香のことです。
こちらは新盆の期間中、毎日お供えします。
使う種類に関して特に決まりはありませんが、自宅で使用するなら一般的な棒状のタイプかつ、煙が多すぎないものを選ぶと良いでしょう。
また、火をつける際はライターやマッチではなく、ろうそくの火を使用するのがマナーです。
ついた火は息を吹きかけて消すと失礼にあたるため、手や火消し用のうちわを使って消すようにしてください。
ろうそく
「仏の三大供養」に数えられる重要なお供え物が「ろうそく」です。
このろうそくには「あの世とこの世の架け橋になる」「不浄や穢れを祓う」効果があると考えられているため、新盆はもちろん幅広い仏事で使用されています。
お線香に火を灯す際に使われるのも特徴の1つ。
使うものに関しては、精霊棚やお盆の雰囲気に合った仏壇用ろうそく(仏前ろうそく)がおすすめです。
飲食(おんじき)
✓お供え物の定番といえば?
- 水の子
- 団子
- 落雁(らくがん)
- そうめん
- 果物、野菜
- 和菓子
- 故人が好きだったもの
【水の子】
賽の目に切ったナスやきゅうりにお米を混ぜたもので、先祖が喉の渇きを癒せるようにという意味がある
【団子】
白団子をお供えするのが一般的で、団子は毎日取り替える
※団子の数は、6個・49個・故人の年齢分など地域によって異なります
【落雁】
消耗品で長くお供えし続けられないことから「不幸が続かないように」と願掛けや魔除けの意味も込められている
【そうめん】
幸せが長続きするのと家族の健康を願って供える
「飲食(おんじき)」とは、仏前に供える食べ物のことです。
どちらかというと仏壇やお墓に供えるものというイメージが強いですが、新盆で使用する精霊棚にもお供えします。
お供えする食べ物に関しては水の子や団子、落雁、そうめんといった定番の食品はもちろん、故人が好きだったものもお供えして良いとされています。
ただし、においや辛味が強いものや魚介類・肉類は不向きとされているので、これらは控えるようにしましょう。
浄水
「浄水(じょうすい)」とは、精霊棚にお供えする水のことです。
「閼伽水(あかみず)」とも呼ばれるもので、故人が戻ってくるときに連れてきた悪霊を祓う効果があると考えられています。
また、地域によっては先祖の帰宅により留守になったお墓を守るために、お墓にこの浄水をお供えするところもあります。
使用する水は、水道水でも問題ありません。
宗派によってはミソハギの花を添える場合があるため、不安な場合は一度親族や菩提寺に確認すると良いでしょう。
新盆(初盆)のやり方と流れ
初めてのお盆となると、何をすれば良いのかよく分からないものですよね。
そこで次は、新盆(初盆)のやり方と流れを解説します。
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13日|盆入り
迎え火を焚く
新盆の初日の夕方には「迎え火」を焚くのが慣例です。
迎え火とは素焼きのお皿に「おがら(麻の茎)」をのせ火をつける儀式のことで、先祖や故人の霊を迎え入れるために行います。
行う場所は基本的に玄関先で、宗派や地域によってはお墓の前で焚くこともあります。
基本的に実施することが望ましいとされていますが、住宅事情により火を焚くのが難しい場合は、白提灯を飾るだけでも問題ありません。
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仏壇に飾りをつける・お供え物の準備をする
13日の夕方までにしておくことが、精霊棚の設置と飾りつけ、お供え物の準備です。
特に新盆は来客や法要で忙しくなりがちなので、余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
飾りつけやお供え物は、先程紹介したものを中心に用意。
精霊棚は一番上がお位牌、中段〜下段がお供え物、下段がお参りの道具となるようにセッティングすると良いでしょう。
また、お仏壇に関しては一度清掃し、扉を締めておきます。
14・15日|盆中日
お墓参りに行く
新盆に限らず、お盆の時期には家族皆でお墓参りをします。
タイミングに関しては13日、もしくは16日が望ましいと言われていますが、盆中日の14・15日でも問題ありません。
回数にも決まりはないため、お迎えやお見送りをしたい場合は複数回お参りすると良いでしょう。
お参りの方法はお墓や周辺のお掃除を行った上でお供え物や線香を供え、合掌するのが一般的です。
新盆法要・施餓鬼法要を行う
「新盆法要(初盆法要)」とは、新盆の盆中日に故人と親しかった人や親族を招いて実施する法要のことです。
この法要は自宅またはお寺で行い、僧侶の読経や参列者によるお焼香、会食などが実施されます。
また、お寺によっては、功徳を積めるとされる「施餓鬼法要(せがきほうよう)」を一緒に行う場合もあります。
お布施に関しては通常の法要と同様に必要となるため、忘れずに用意するようにしましょう。
16日|盆明け
送り火を焚く
お盆の最終日となる16日の夕方には「送り火」を炊きます。
こちらは先祖や故人をお見送りするために焚くもので、迎え火を焚いたときと同じ場所で実施します。
やり方に関しては、迎え火と同様におがらを燃やすのが一般的です。
ただし、地域によっては灯籠流しのような、別の行事を実施することもあるため、不安な場合は事前に確認しておくといいでしょう。
お盆飾りを片付ける
送り火でのお見送りが終わったら、次はお盆飾りの片付けです。
この片付けではお飾りや精霊棚、提灯を中心に整理や収納を進めていきます。
ただし、白提灯は送り火と一緒に燃やすか、お寺に供養をお願いして処分するのが一般的なため、他のものと一緒に収納してしまわないよう注意しましょう。
全ての片付けが終われば、新盆は終了です。
16日中の実施が難しい場合は、翌日以降に行っても問題ありません。
新盆(初盆)でやってはいけないこと
新盆(初盆)には、やってはいけないNG行為がいくつか存在します。
この行為をやってしまうと周囲の人を不快にさせたり、マナー違反になったりする場合があるので必ず把握しておきましょう。
次は、新盆(初盆)でやってはいけないことを紹介します。
盆提灯を飾らない
新盆でやってはいけないことの1つ目が、盆提灯(白提灯)を飾らないことです。
先祖や故人は、この盆提灯を目印に帰って来るとされています。
あくまで宗教的な考えの1つではありますが、新盆に盆提灯を飾らないことは、故人の霊を迷わせることにつながります。
加えて、敬意に欠ける行為でもあるため、よほどの理由がない限りは飾るようにしましょう。
ろうそくの火を息で吹いて消す
新盆に限らず、お墓や仏壇にお参りする際も、ろうそくの火を息で吹いて消してはいけません。
これは仏教の教えでは、人間の口から出る息は「穢れたもの」「不浄のもの」とされているためです。
穢れたものであるこの「息」を使って火を消すことは、先祖や仏さまへの無礼となってしまうため注意しましょう。
火を消すには手であおぐか、ろうそく消しや仏扇といった専用の道具を使うのが一般的です。
故人への敬意を欠いた行いをする
新盆では、故人への敬意を欠いた行いは絶対にしないようにしましょう。
そもそも新盆は、故人の霊を丁寧かつ華やかにお迎えするために実施するものです。
この新盆で敬意を欠いた行いをすると、せっかくの法要も台無しになってしまいます。
周囲の人を不快にさせる可能性もあるので、自身の行いには注意を払うようにしましょう。
特に避けたい行為は以下です。
- お供え物を無断で持ち帰る
- 不適切な服装で出席する
- 法要に遅刻する
- 勝手に早退する
- 法要中に騒ぐ
新盆(初盆)供養をしない
新盆(初盆)供養をしないことも、NG行為の1つです。
新盆は故人が亡くなってから初めて迎える特別なお盆のため、何らかの供養を実施して慈しみの気持ちや敬意を示すことが望ましいとされています。
また、故人に感謝を伝える貴重な機会でもあるので、新盆供養は行うことをおすすめします。
しかし、経済状況や仕事などが原因で、新盆法要を実施するのが難しい場合もあるでしょう。
その場合は、お仏壇やお墓にお参りするといった供養でもかまいません。
新盆(初盆)の服装マナーについて解説
新盆(初盆)を迎えるにあたって、知っておきたいことが服装マナーです。
こちらは明確なルールがあるため対応はしやすいですが、間違えてしまうとマナー違反となる可能性もあるため、しっかりと理解しておきましょう。
ここからは、新盆(初盆)の服装マナーについてを解説します。
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新盆(初盆)に招く側
新盆(初盆)に招く側の服装は、葬儀と同様に「喪服」が基本です。
特に法要や会食を行う場合は、招く側は参列者より格式高い服装にする必要があるため、一番格式の高い喪服を着用するようにしましょう。
男性の喪服に関してはダークスーツと無地のシャツ、グレーや黒のネクタイが基本。
女性の場合は黒のアンサンブルかワンピース、スーツのいずれかを選ぶと良いでしょう。
また、家族のみで行う場合は、暗い色のスーツや暗い色のワンピースなどが該当する「平服(略喪服)」を着る場合も多いです。
新盆(初盆)に招かれる側
新盆(初盆)に招かれる側は、案内状通りの服装を選べば問題ありません。
「略喪服」「平服」と記載されている場合であれば、地味な色のスーツやワンピースを着用するようにしましょう。
ただし、平服とあっても、カジュアルすぎるものや露出の多いものはNGとなるので注意してください。
また、案内状に服装の指定がない場合は、マナー違反を防ぐためにも施主・遺族に連絡し、確認することをおすすめします。
子供の場合
子供の場合は、幼稚園や学校の制服を着用させると良いでしょう。
もし制服がない場合は、白いシャツと暗い色のズボン・スカートを合わせた、落ち着きのある服装にするのが基本です。
こちらも大人の服装と同様に、カジュアルすぎる派手な柄のものや露出が多いものは避けるようにしましょう。
ジャケットに関しては暑い時期でもあるため、無理に着用させる必要はありません。
新盆(初盆)はお坊さんを呼ばないといけない?
供養をすることが望ましいとされる新盆ですが、必ずしもお坊さんを呼ぶ必要はないとされています。
もちろん、お坊さんを呼んで法要を行うほうが丁寧ですが、大切なのは故人を偲ぶ気持ちなので、家族だけで供養しても問題はありません。
むしろ、経済的・時間的負担が軽減されるため、状況によっては呼ぶ場合よりも多くのメリットを感じられることもあるでしょう。
近年の家族葬の普及により、身内のみで新盆を迎えるご家庭も増えているので、家族だけで供養したい方はこちらの方法も検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、お坊さんを呼ばない新盆に抵抗を覚える方もいるため、事前の話し合いや確認は必ず行ってください。
新盆(初盆)とは故人が初めて迎えるお盆。故人を偲ぶ心を大切に
新盆とは四十九日の忌明け後に迎えるお盆のことです。
故人が初めて帰ってくるお盆でもあるため、普段よりも丁寧かつ華やかなお迎えが望ましいとされています。
やることは普通のお盆よりも多いですが、その分故人をしっかりと供養できる貴重な機会なので、偲ぶ心を大切にしながら丁寧に執り行うようにしましょう。
また、新盆について何か疑問がある方は、知識と経験が豊富なスタッフが在籍する家族葬のゲートハウスへお気軽にお問い合わせください。
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