病院で亡くなったらどうする?流れ・費用・必要な手続きを解説
多くの人が病院で最期を迎えるといわれる現代。
もしもの時に備えて、病院で親族が亡くなった後の流れを把握しておきたいという人も、多いのではないでしょうか?
この記事では親族や家族が病院で亡くなったら何をすべきかや、ご逝去後〜葬儀までの流れを紹介します。
病院で亡くなった後の流れ【ご逝去~搬送まで】
病院で亡くなったら、どのような流れで物事が進んでいくのでしょうか?
経験する機会も多くないため、わからないという人も多いでしょう。
はじめに、ご逝去〜搬送までの、病院で亡くなった後の流れを紹介します。
エンゼルケア
末期の水の次に行われるのが「エンゼルケア」です。
エンゼルケアとは遺体を清め、故人の最期にふさわしい姿にする処置のこと。
主に遺体を清めるために丁寧に拭く「清拭」や、衣服を着替えさせる「身繕い」、髪やヒゲを整えたり、化粧を施したりする「死化粧」などが行われます。
資格が不要な処置であるため行う人も特に決まっていませんが、病院で亡くなった場合には看護師、特別な処置が必要な場合は医師が行います。
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ご遺体搬送の手配
故人が病院で亡くなった場合には、ご遺体搬送の手配も必要となります。
もちろん病院にもご遺体を安置する場所はありますが、利用できる時間が限られています。
そのため、故人が亡くなった後はすみやかに安置場所と搬送先を決め、業者に搬送の手配を依頼するようにしましょう。
搬送に関しては葬儀社にお願いし、遺体搬送用の車を手配してもらうのが一般的です。
退院手続き・死亡診断書の受取
ご遺体を搬送する前に、必ず医師から死亡診断書を受け取りましょう。
この死亡診断書がないとその後の手続きも進められないので、確実に受け取り、紛失しないよう大切に保管することをおすすめします。
1部だけでは役所への申請などで足りなくなるケースがあるので、5部以上コピーを取ると良いでしょう。
退院手続きに関しては、病院側が必要な書類を用意してくれるので、必要事項を書き込むだけで完了します。
親族へ連絡
退院手続きが完了したら、親族に訃報の連絡を行います。
タイミングはご遺体の搬送が終わってからが基本ですが、余裕があるなら葬儀会社への連絡と並行して行っても大丈夫です。
連絡は兄弟姉妹や家族、両親など関係が深い親族を中心に。
故人とあまり交流のなかった親族には無理に連絡せず、通夜と葬儀の日程が決まってから連絡したほうが良いでしょう。
また、訃報の連絡は電話で行うのが基本です。
近年ではメールやSNSで知らせるケースもありますが、不快にさせてしまう可能性もあるため、価値観や関係性を考慮したうえで使用するようにしましょう。
病院で亡くなった後の流れ【葬儀準備~当日まで】
ご遺体の搬送が終わったら、すぐに葬儀の準備に取り掛かります。
一般的には亡くなった次の日に通夜、その翌日に葬儀・火葬が行われるため、物事もスピーディーに進める必要があります。
いざその時になって慌てないためにも、葬儀までの流れは事前に把握しておくようにしましょう。
次は、葬儀準備〜当日までの流れを紹介します。
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末期の水
「末期の水(まつごのみず)」は、病院で故人が亡くなった直後に行われる儀式です。
「死に水」とも呼ばれる儀式で、濡らしたガーゼや脱脂綿、筆などを使い故人の唇を濡らします。
行う順番は喪主が最初。
以降は血縁関係が近い順で順番を決め、実施していきます。
日本では比較的スタンダードな儀式ですが、浄土真宗では行われない点には注意しましょう。
仮に浄土真宗のような末期の水を行わない宗派だった場合は、病院のスタッフに伝えると実施を避けてくれます。
葬儀会社と打ち合わせ
葬儀準備の最初の段階として行うのが、葬儀会社との打ち合わせです。
この場では、まず喪主を決め、次に葬儀の日程や火葬場や葬儀場、斎場の利用などを検討していきます。
それらが決定したら、会場の装飾や葬儀プラン、接待料理、香典返しといった葬儀に必要となるものを、話し合いながら1つずつ決めていきます。
決めることが多いため大変ですが、どれも重要な項目なので、不明点は必ず担当者に確認し、疑問を解決したうえで意思決定するようにしましょう。
宗教者の手配
葬儀会社との打ち合わせの次は、宗教者の手配を行います。
仏教であれば、先祖代々のお墓がある菩提寺(ぼだいじ)に連絡し、お坊さんを手配してもらいます。
仮に菩提寺がない場合は、僧侶手配サービスがあるためそちらを利用すると良いでしょう。
その他の宗教であれば、その宗教の宗教者がいる施設に連絡をするとその後の手配もスムーズに進められます。
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故人と関係があった人への連絡
葬儀の詳細が決まり、宗教者の手配も完了したら、次は故人と関係があった人に連絡をします。
優先順位は親族(三親等以内)、友人、知人、職場・学校の順。
連絡の方法は電話が基本ですが、状況によってはメールを使用しても問題ありません。
また、連絡する際には単に訃報を伝えるのではなく、葬儀の日程の案内も忘れずに行うようにしましょう。
湯灌(ゆかん)の儀
「湯灌(ゆかん)の儀」とは、ご遺体を清める儀式の1つです。
遺体を棺に収める「納棺」の前に行われる儀式で、お湯を使って遺体を洗い清めていきます。
遺体を清めたあとはエンゼルケアと同様に、身繕いや死化粧が施されます。
近年では簡易的な清拭だけですませる場合もありますが、実施することも多いので、ぜひ覚えておきましょう。
通夜・通夜振る舞い
葬儀の前日には、通夜・通夜振る舞いが実施されます。
通夜とは故人と縁があった人が集まり、故人と最期の夜を過ごす儀式のこと。
こちらも宗教によって内容が異なりますが仏式の場合では、僧侶による読経や焼香などが行われます。
通夜振る舞いは、手伝ってくれた人や弔問客に食事やお酒を振る舞うもので、食事を通して感謝を伝えたり、故人を偲んだりすることを目的に実施されます。
通夜に関しては一日葬でない限り基本的に実施しますが、通夜振る舞いは地域によっては行われません。
実施すべきか迷った時には、詳しい人や葬儀の担当者に相談するようにしましょう。
葬儀・告別式
通夜の翌日に行われるのが、葬儀・告別式です。
宗教によって内容は異なりますが、一般的な仏教の葬儀では参列者の着席後、僧侶による読経がはじまります。
この際に、仏様の世界で使う新しい名前「戒名」の授与、亡くなった方を極楽浄土に導くための儀式「引導の儀式」などもあわせて行われます。
次にとむらいの言葉を述べる弔辞や、弔電の読み上げを実施。
これらが終わると、焼香や献花などが行われる告別式がはじまります。
この告別式が終わるといよいよ出棺となり、火葬場にて火葬をすることとなります。
夜中に病院で亡くなったらどうすればいい?
多くの葬儀会社は、夜中の搬送にも対応しています。
24時間対応してくれるところがほとんどですし、病院にご遺体を安置できる時間は限られているので、なるべく早く連絡することをおすすめします。
ただし、先ほど紹介した通り深夜や早朝に搬送を依頼する場合、割増料金が発生することがあります。
割増は1割程度が相場のため、大幅に高くなるわけではありませんが、多少は料金が高くなる可能性があると覚えておきましょう。
また、病院から葬儀社を紹介されるケースもありますが、断っても何の問題もありません。
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病院で亡くなった直後に行う手続き
病院で亡くなった直後に行う、主な手続きはこちらです。
- 死亡届の受取・提出
- 埋火葬許可証の発行
- 免許証・パスポートの返納
- 個人名義の契約解約(携帯電話やライフラインなど)
※地域によって許可証の名前が異なる場合があります
1つ目は自治体への死亡届の提出で、こちらは7日以内の提出が必須となっています。
埋火葬許可証に関しては、火葬や埋葬する際に必要となるものなので、できるだけ早く発行しましょう。
また、死亡届の提出など書類関連の手続きは葬儀会社が代行してくれることもあるため、少しでも負担を減らしたいなら相談してみることをおすすめします。
免許証・パスポートの返納、個人名義の契約解約などは緊急ではありませんが、できるだけ早いタイミングで終わらせておくと良いでしょう。
ほかにも、人によってクレジットカードの解約手続き、税金や年金に関する手続き、遺産相続手続きなど色々な手続きが発生する場合があります。
詳細については、葬儀会社や専門家が把握しているので、何から手を付ければいいかわからない場合は相談してみましょう。
病院で亡くなった時にかかる搬送費用
病院で亡くなった時にかかる搬送費用は、搬送する距離によって異なります。
10km程度まではプランの中に基本料金として含み、それ以上になると距離に応じて料金をプラスしていく葬儀社が多いようです。
10kmまでの基本料金は、15,000円〜20,000円ほどが相場。
それ以上の距離の場合は、10kmごとに3,000円〜5,000円程度が加算されるでしょう。
また、早朝や深夜の場合は、さらに割増料金がプラスされる場合もあります。
中長距離の移動に関しては、高速道路や航空機、船舶の料金が発生するケースがあるほか、衛生管理費用や人件費も増えるため、費用も高額(5万円〜30万円ほど)になります。
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病院で亡くなった時の葬儀会社の決め方
病院で亡くなった時の、葬儀会社の決め方には「亡くなった後に決める」「生前に決める」の2種類があります。
亡くなった後に決める場合は、病院から紹介された葬儀会社を選ぶ、もしくは急いで決めるのが一般的。
搬送だけ紹介された葬儀会社に頼み、葬儀はほかのところに依頼するというやり方も可能ですが、やはり検討する時間が少ないため希望通りの葬儀にできない可能性もあります。
生前に決めるパターンは考える時間が十分にあるほか、複数の会社のプランを比較したり、担当者ともゆっくりと話し合ったりできるのがメリット。
縁起が悪いと考える人もいますが、亡くなった人の希望を尊重したお葬式にしたいなら生前に決めることをおすすめします。
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もし病院で亡くなったら?よくある質問
病院で亡くなった時の全体の流れはわかったけれど、いくつか疑問が残っているという人も多いでしょう。
できれば疑問は全て解決して、心の整理に集中したいものですよね。
そこで最後に、病院で亡くなった場合に関するよくある質問を紹介します。
病院から自家用車で遺体搬送は可能?
自家用車での遺体の運搬に関しては、法律で規制されていないため、実施自体は可能です。
しかし、専用の設備のない自家用車を使った搬送では衛生管理が難しいほか、遺体を損傷させてしまうリスクもあります。
車を汚してしまうリスクもあるため、よほどの理由がない限りは、葬儀会社に依頼し、安全に搬送してもらうことをおすすめします。
病院で亡くなった時に着せる服は?
病院で亡くなった時には、病院側で用意された浴衣が着せられます。
浴衣が基本のため選択肢はありませんが、病院によってはお気に入りの服に着替えさせてくれることもあります。
全ての病院が対応してくれるわけではありませんが、可能性はゼロではないため、着せたい服がある場合は一度相談してみましょう。
また、納棺の際に関しては死装束が基本ですが、こちらも相談次第でお気に入りの服に変えることもできます。
病院で亡くなった時の遺体の安置期間は?
病院での遺体の安置時間は2時間〜3時間程度です。
故人が病院で亡くなったら、その遺体は「霊安室」に運ばれます。
この霊安室は、あくまで一時的に遺体を保管する場所であり、利用できる時間も2時間〜3時間と定められています。
葬儀会社や斎場の安置室、自宅などであれば2日〜3日ほどは安置できますが、病院はすぐに出なければいけないと覚えておきましょう。
亡くなった後に病院へのお礼はするべき?
病院へのお礼は、基本的に不要です。
これは、お礼の品や謝礼金を辞退する病院が多いため。
加えて、医療行為の対価は医療費に含まれるという考えもあるため、多くの場合受け取ってもらえません。
そのため、お世話になったからといって、特別な謝礼を用意する必要はありません。
もっとも、小分けされたお菓子などは受け取って貰える場合もあるそうなので、どうしても感謝を伝えたい場合は、確認したうえで贈るといいでしょう。
病院で亡くなったら…もしもに備える事前のご相談は「ゲートハウス」へ
病院で亡くなったら、どのような流れで物事が進むのかについてを紹介しました。
やることはたくさんありますが、事前に何をすべきかや全体の流れ、費用を知っておけば、いくぶんか冷静に対処できます。
ご遺族の負担を減らすことにもつながるので、無理のない範囲で把握しておくようにしましょう。
また、葬儀会社選びの負担を減らしたい、本人の希望に沿った葬儀にしたい方は、家族葬のゲートハウスへの事前相談をぜひご利用ください。
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