香典袋は薄墨でないとだめ？書き方やいつまで濃墨を使わないべきかを解説
香典にはさまざまなマナーがありますが、表書きに使用する墨にも決まりがあることをご存知ですか？
万が一の時に慌てないように、香典にまつわるマナーを事前に押さえておきましょう。
この記事では香典袋に使うペンや書き方、お札の入れ方などを詳しく解説します。
香典袋は薄墨でないとだめ？
香典袋の表書きは、基本的には筆ペンを使用することが望ましいです。
しかし、筆ペンであれば何でもいいわけではありません。
地域の風習によっても違いがあるため、具体的に確認していきましょう。
外袋は薄墨を使うのが好ましい
香典袋には外袋と中袋がありますが、表書きを記す外袋には薄墨を使うことが理想的です。
薄墨には「故人の死が悲しくて墨が涙で薄まった・悲しくて筆を持つ手に力が入らない」など、故人との別れを悲しむ気持ちを示す役割があります。
普通の墨でもマナー違反になることはありませんが、人によっては気にすることもあるため、基本的には薄墨を使用したほうがいいでしょう。
京都などの一部地域では使わない
京都などの一部地域では、そもそも香典袋の表書きに薄墨を使用する風習がありません。
この場合、表書きに薄墨を使用すると、かえってマナー違反になる可能性があります。
そういった風習がない地域で行われる葬儀に参列する場合は、香典袋に薄墨を使用していいか事前に確認しておくのがおすすめです。
該当する地域に住む人や、葬儀社に確認するといいでしょう。
中袋はボールペン・サインペンでもいい
香典の中袋には、薄墨や筆ペンを使わなくても問題はありません。
というのも、中袋には香典の金額や用意した人の住所・名前など大切な情報を記載します。
遺族は、これを元にお礼状を送ったり香典返しを用意したりします。
そのため、文字が潰れやすく読みにくい筆ペンよりも、ボールペンやサインペンなどでハッキリと記載されているほうが手間が省けるのです。
ただ、ボールペン・サインペンでも太いと読みにくくなる可能性があるため、細めのペンを用意しましょう。
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香典袋を薄墨で書くのはいつまで？
お通夜、告別式、初七日法要、四十九日法要など、香典を渡すタイミングは複数あります。
表書きに薄墨を使う期間には決まりがあるため、以下を参考に香典を渡すタイミングに合わせて墨を使い分けましょう。
お通夜と告別式は薄墨で書く
香典袋に薄墨を使用するのは、お通夜と告別式に持っていく時のみです。
薄墨には「訃報を受けて驚き、墨をする時間を惜しんで駆けつけた」という弔意も込められています。
慌てて駆けつけるのはお通夜と告別式のみであるため、それ以降は普通の墨を使って表書きを記載すると覚えておきましょう。
葬儀と同日の初七日でも薄墨を使用
葬儀と初七日法要が同日に行われる場合、香典袋には薄墨を使用しましょう。
本来、初七日は故人が亡くなってから7日目に行われるものですが、最近は葬儀・火葬と一緒に行うケースが増えています。
前述の通り、薄墨には「急いで駆けつけた」という弔意が込められているため、初七日が葬儀と同日であるならば、薄墨のほうがいいでしょう。
一方、初七日が葬儀とは別で故人の死から7日目に行われる場合は、濃墨を使って表書きを記載してください。
四十九日や一周忌の法要は濃墨で良い
四十九日法要や一周忌法要に香典を持参する場合、表書きは濃墨を使用しましょう。
お通夜・告別式とは異なり、執り行われる時期がわかるため、香典袋には一般的な墨を使うのがマナーです。
また、故人を偲び感謝の気持ちを示す儀式でもあるため、この観点から考えても、悲しみを表す薄墨はふさわしくないと言えるでしょう。
香典袋を書く時に薄墨がない場合の対処法
一般的な筆ペンに比べ、薄墨の筆ペンを使用する機会は少ないものです。
通夜や告別式に参列する前に、薄墨の筆ペンを用意できない人もいるでしょう。
そこで続いては、香典袋を書くときに薄墨がない場合の対処法を解説します。
会場の葬儀社の人に確認する
薄墨の用意がない場合は、葬儀が執り行われる予定の斎場や葬儀社に用意がないか確認してみましょう。
薄墨のペンを常備している人は少ないため、斎場や葬儀社によっては貸し出ししていることがあります。
ただこの場合、香典袋の表書きを葬儀当日に記入することになります。
間違えるとやり直しが効かない場合があるため、可能であれば自身で用意したほうが良いでしょう。
普通の黒い墨で書く
お通夜や告別式に参列する前に薄墨を用意できない場合は、一般的な黒い墨を代用してもいいとされています。
前述の通り、地域によっては薄墨を使用しないこともあるため、重大なマナー違反にはなりにくいでしょう。
しかし、なかにはマナーを強く気にする人もいます。
薄墨はコンビニや100円ショップ等で手軽に手に入るため、可能であれば薄墨を使用することが望ましいです。
ボールペンや鉛筆はNG
薄墨がない場合は一般的な筆ペンを使っても問題はありませんが、ボールペンや鉛筆を使用するのは控えましょう。
カジュアルすぎる印象を与え、遺族に不快な思いをさせる可能性が高いです。
筆ペンも持っていない場合は万年筆・サインペンなどを使用し、できるだけ丁寧に書きましょう。
香典袋の書き方
香典袋は外袋と中袋のそれぞれに記載すべきことがあります。
宗教や宗派、シチュエーションによって内容が異なるため、香典袋の書き方のマナーもしっかりと押さえておきましょう。
表書き上段には宗教に沿った表書きを記載
外袋には、水引の上段に「表書き」を記載します。
前述の通り、葬儀で香典を渡すなら薄墨、それ以降なら濃墨を使うのがマナーです。
また、表書きは故人が信仰していた宗教、香典を渡すタイミングによって書き方が異なります。
仏教であれば「御霊前」「御香料」、忌明け以降は「御仏前」と書きましょう。
その他、キリスト教であれば「御花料」、神道であれば「御神前」、相手の宗教がわからない場合は「御香料」と記載するといいでしょう。
表書き下段には名前を記載
水引の下段には、香典を用意した人の名前を記載します。
個人であればフルネーム、夫婦であれば夫のフルネームと名前の左隣に妻の名前のみを書きましょう。
友人や職場関係者など複数人の場合は、3人までなら右から役職順にフルネームで記載、4人以上の場合は代表者のフルネームと名前の左隣に「外一同」と記してください。
また、会社で渡す場合は中心に代表者の、右に会社名を記載するといいでしょう。
中袋表面には金額を大字で記載
中袋は、まず表面に香典の金額を縦書きで大きく記載します。
算用数字や漢数字ではなく「壱(一)」「弐(二)」「参(三)」などの「大字(だいじ)」を使用するのがマナーです。
また、金額の前に「金」、最後に「也」をつけましょう。
たとえば香典に3万円を包むなら「金参萬圓也」、3千円なら「金参仟圓也」と記載してください。
中袋裏面には住所などを記載
中袋の裏面・左側には、香典を用意した人の住所と名前を記載します。
こちらは筆ペンなどは使わず、読みやすいように細いサインペンやボールペンなどで丁寧に記入してください。
遺族はこの情報を基にお礼状や香典返しを手配するため、読みにくかったり内容に間違いがあったりすると、遺族の負担になることがあります。
郵便番号はもちろん、マンション名や部屋番号なども割愛せずに正しく記載しましょう。
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香典のお札の入れ方
香典を用意する時は、袋の書き方だけでなくお札の入れ方も大切です。
もし間違えるとマナー違反になるため、こちらもしっかり押さえましょう。
続いては、お札の選び方や入れ方に関する香典マナーを解説します。
新札・汚れ過ぎているお札は避ける
香典に新札を包むのは控えましょう。
「不幸を予期して、事前に用意していた」と、遺族を悲しませる可能性があります。
折り目がついたお札を用意するか、新札しかない場合は折り目をつけてから包んでください。
一方で、激しく汚れていたり一部が破れていたりするお札を包むのも、マナー違反に当たるため気をつけましょう。
肖像画が裏面・下側になるように入れる
お札を中袋へ入れる時は、肖像画が見えないようにするのがポイントです。
これにより、故人が亡くなったことに対する悲しみを伝えられるとされています。
必ず肖像画がない面を表にし、肖像画が袋の下側に来るように入れましょう。
お札の向きは揃える
お札を複数枚入れる場合は、きちんと向きを揃えるのがマナーです。
香典には使い古したお札を入れますが、向きが揃っていることで丁寧な印象になり、故人を想う気持ちが伝わります。
袋に入れる際に角が折れたり、お札にシワがついたりしないように気をつけましょう。
香典袋と薄墨に関するよくある質問
最後に、香典袋と薄墨に関するよくある質問をご紹介します。
香典袋を用意する時や香典を包む時に同じように悩む人も多いと思いますので、ぜひ参考にしてください。
表書きが書かれている香典袋は表書きが薄いものを選ぶべき？
香典をお通夜、または告別式に持参する場合は、印刷されている表書きも薄いものを選ぶことが好ましいです。
薄墨を使用する理由の通り、故人への弔意が伝わりやすくなるでしょう。
しかし、市販されている香典袋は表書きが黒印刷されているものが多いです。
薄墨風のものが手に入らない場合は、濃墨風のものでも問題ありません。
表書きが書かれている香典袋の表書きと墨の濃さは揃えるべき？
基本的にはどちらでもいいとされています。
しかし、表書きが濃くて名前が薄いとややチグハグな印象になるため、可能であれば揃えましょう。
本来のマナーに則って薄墨を使用したい場合は、表書きが印刷されていない香典袋を用意し、表書きも自身で記載するのがおすすめです。
中袋も薄墨で書いたほうがいい？
中袋には薄墨を使用する必要はありません。
名前や住所がわかりやすく記載されているほうがいいため、サインペンやボールペンなどで記載するのが望ましいでしょう。
筆でも問題はありませんが、文字が潰れていたり達筆すぎたりすると遺族が読みにくい可能性があるため、わかりやすさを意識して記入することを心がけてください。
香典袋は薄墨で記載するのが好ましい。地域や期間によっては濃墨でいいので事前に確認を
通夜・告別式に参列する場合は、可能な限り香典には薄墨を使用しましょう。
一般的な墨でも問題はありませんが、マナーを守ることで故人を想う気持ちが伝わりやすくなります。
薄墨を使用する機会は少ないものの、万が一に備えて一本用意しておくといいかもしれません。
また、地域や香典を渡すタイミングによっては、濃墨を使うことが正式なマナーである場合もあります。
遺族に対して失礼がないように、香典を用意する前に確認しましょう。
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