お墓掃除でやってはいけないことは?正しい掃除の仕方・流れについて解説

お墓はご先祖様が眠る大切な場所です。
汚れやコケなどが放置されると、墓石が劣化しやすくなるため、定期的にお掃除をしてお墓をきれいなまま保つのが理想です。
ただ、故人の命日や、お彼岸・お盆などのタイミングでしかお墓参りに行けずに汚れがこびりついてしまっている、というケースもあるかもしれません。
間違った方法でのお手入れでは、お墓を傷つけたり、墓石の劣化を早めたりすることがあります。
本記事では、お墓の正しい掃除方法・流れについて解説します。
お墓掃除でやってはいけないこととは?
お墓掃除でやってはいけないことを親世代や祖父母世代から教わったことがあるかもしれません。
お墓掃除でやってはいけないとされていることは、こちらの3種類に分けることができます。
- 墓石の劣化を防ぐためにやってはいけないこと
- マナーとしてやってはいけないこと
- 古くからの迷信としてやってはいけないとされていること
なぜやってはいけないとされているのか、詳しく見ていきましょう。
墓石のためにやってはいけないこと
墓石は御影石や大理石が主に使われていますが、これらの石材はデリケートなので誤った取り扱いをすると傷をつけてしまったり、劣化を早めたりする原因になってしまいます。
墓石を守るために避けるべき注意点を確認しましょう。
お酒やジュースをかける
故人の供養のため…と、故人が好きだったお酒やジュースを墓石にかけてあげたいと思う方もいるかもしれません。
実際にお酒などをかけているシーンを映画やテレビの演出で見たことがあって、実際にやってみたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、お酒やジュースには糖分が含まれているため、墓石にかけると虫や害獣が寄ってくる可能性があります。
また、シミやカビを発生させてしまう原因にもなりますので、絶対にやめましょう。
飲み物をお供えしたい場合は、缶や瓶に入れたままお供えし、持ち帰るかその場で故人の替わりに飲みきったり、処分したりするようにしましょう。
研磨剤の入った洗剤を使う
研磨剤を使用して墓石を磨くと、一見汚れが落ちてきれいになったように見えても、石材の表面を傷つけ、光沢を失わせる原因となりますし、汚れがつきやすくなってしまいます。
また、塩素系洗剤・酸性洗剤・強アルカリ性の洗剤を使うと、墓石の表面が傷んだり変色したりする可能性があります。
基本的には洗剤を使わず水のみのお掃除で十分ですが、どうしても洗剤を使う必要がある場合には、墓石の種類を確認し、それぞれに合った墓石専用洗剤を購入して使うようにしましょう。
硬いたわしやブラシでこする
墓石にこびりついた汚れを落とすために、金属製のたわしやスチールブラシ、メラミンスポンジ等を使うと、鏡面仕上げされている墓石の表面を傷つけてしまいます。
コケやカビを除去するためには、植物繊維が使用されたたわしや、ナイロン製の柔らかいブラシ、墓石専用ブラシ、歯ブラシなどを使用するようにしましょう。
墓石を濡らしたままにする
お掃除をした後、水分をふき取らずに濡らしたままにしてしまうと、空気中のほこりや花粉が付着し、水垢やカビ・コケが発生しやすくなります。
晴れた日に掃除して、終わったら必ず乾いた布で水分をふき取るのが理想です。
マナーとしてやってはいけないこと
墓地や霊園は多くの人が利用する共同の場所です。
特に最近は、お供え物や掃除方法に関して規則が設けられていることも多く、周囲への配慮が求められています。
トラブルを避けるためにも、マナー違反となる行為をあらかじめ理解しておきましょう。
掃除道具を置きっぱなし
霊園から借りた掃除用具を元に戻すのはもちろんですが、自分で持ってきた掃除道具もしっかりと持ち帰るようにしましょう。
自分が現在契約しているお墓の区画も、「永代使用料」という名前で料金を支払っているかもしれませんが、購入した訳ではなく借りているという状態です。
掃除道具などが放置されているのは、他の方から見ても気持ちの良いものではありません。
近いうちに再訪するとしても、置きっぱなしにするのはやめましょう。
お供え物・ろうそくを放置する
墓地や霊園では、お供え物やろうそくをそのまま放置せず、持ち帰ることがマナーとされています。
特に食べ物のお供え物は、墓石を汚すだけでなく、虫や動物を引き寄せてしまう原因になります。
また、ろうそくの火をつけたまま立ち去るのは非常に危険です。
火災のリスクがあるため、必ず火を完全に消したことを確認してから帰りましょう。
火を消した後でも、夏場など高温になる時期はろうそくが溶けて墓石に付着することがあります。
時間が経つと汚れが落ちにくくなるため、使い終わったろうそくもなるべく持ち帰るようにしましょう。
華美な服装や露出の多い服装
お墓掃除へ行く際、服装は落ち着いた色合いで、控えめなデザインを心がけましょう。
赤や黄色などの鮮やかな色、派手な柄、過度な装飾が施された服装は、周囲の方々に不快感を与える可能性があります。
また、肩や脚を大きく露出する服装も避けるのが望ましいです。
夏場であっても、薄手の長袖やカーディガンを羽織るなどして、肌の露出を控えるようにしましょう。
これは、虫刺されや日焼けの防止にもなります。
また、足元は滑りにくく歩きやすい靴が最適です。
サンダルやヒールの高い靴は、墓地の地面で滑ったり、足をくじいたりする危険があるため避けてください。
大声を出したり騒いだりする
お墓掃除は、お盆やお彼岸の前後で行うという方も多いかもしれません。
家族で集まってワイワイ掃除をするとご先祖様は喜ぶかもしれませんが、必要以上に大声を出したり騒いだりする行為はマナー違反です。
特にお盆やお彼岸の前後は、多くの方がお墓に参られます。
お墓で宴会をする風習を持つ地域も存在しますが、基本的にお墓では静かに故人を偲ぶことがベターです。
迷信でやってはいけないと言われていること
お墓掃除でやってはいけないとされているものの中には、リスクを避けるためや迷信で言われていることもあります。
本当にやってはいけないのか、なぜそのように言われてきたのか詳しくみてみましょう。
午後や夕方にお墓掃除を行う
午後や夕方にお墓掃除を行うことはNGではありません。
ただ、午前中が好ましいとされているのは、お墓参りを後回しにせずに個人的な用事よりも先に行うことで、ご先祖様を大切にしている証と考える方もいるからです。
また、これは迷信ですが夕方の17時〜19時は不吉なことが起こる時間帯とされてきたこともあります。
現実問題、夕方以降は薄暗くなってきますので、照明設備の無い墓地などで掃除をしようとしても、汚れもはっきりと見えませんし、足元も見えにくく危険です。
夏場などは比較的涼しい午前中のほうが、墓掃除もはかどります。
午前か午後か迷ったら、ゆっくりと余裕を持って墓掃除ができる午前中を選ぶことをおすすめします。
お墓掃除を一人でやってはいけないって本当?
「お墓参りや掃除は一人で行ってはいけない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
実際のところ、一人で行くことがマナー違反というわけではありませんが、そう言われる背景にはいくつかの理由があります。
1つ目は、安全面の問題です。
整備されていない山奥などにお墓がある場合、熊やイノシシなどの野生動物に遭遇する危険があります。
2つ目は、事故などが起きたときに助けを呼びにくいという点です。
人気のない場所では、人目につきにくく、倒れてしまった場合に救助が遅れる可能性があります。
野生動物との遭遇だけでなく、急な体調不良に襲われることも考えられるため、必ずしも無事に帰れるとは限りません。
そのため、人通りの少ない場所や、普段あまり人が訪れない墓地へ一人で行くのは避けたほうが安心です。
3つ目は、昔からの迷信に由来するものです。
「お墓には霊が多く、一人で行くと悪霊に取り憑かれる」と信じる人も一定数おり、そうした考えから「一人で行ってはいけない」と言われることがあります。
霊感が強い人や、少しでも不安を感じる方は、無理をせず誰かと一緒に行くことをおすすめします。
お墓掃除をやってはいけない日はある?
基本的にお墓掃除をやってはいけない日はありませんが、年末の12月29日と12月31日は避けたほうが良いとされています。
お正月飾りや大掃除の考え方同様、12月28日までに終わらせるのがベターです。
「29」は二重苦を連想させ、「31」は新年を迎えるにあたっての一夜飾りは縁起が悪いとされるため、しめ飾りなどを飾る日も避けるべきとされています。
その他は霊園などの施設が開園している日時を守ればいつ行っても構いません。
ただし、せっかくお墓掃除をするなら、雨や台風などの荒天の日は避けたほうが良いでしょう。
雨で足元が滑りやすく転倒する可能性がありますし、掃除をしても雨水で墓石が汚れてしまいます。
雨の翌日や晴れがしばらく続く日など、お天気を確認してから行くのが良いでしょう。
お墓の掃除の正しい仕方・流れ
お墓をどのように掃除するべきなのか、迷う方も少なくありません。
ここでは、正しいお墓掃除の仕方や基本的な流れを分かりやすく紹介します。
お墓掃除のための準備・持ち物
屋外にお墓がある場合は、紫外線・虫よけ対策のため、夏場であっても長袖・長ズボン・帽子を着用することがおすすめです。
靴も滑りにくいものを着用しましょう。
掃除がしばらくできておらず、時間がかかりそうな場合は、お茶やお水を持っていくと良いでしょう。
簡単なブラシやバケツは霊園や墓地などで貸し出してもらえる場合が多いですが、細かな部分を掃除するためには、専用のブラシを自分で用意したほうがきれいになります。
軍手、雑巾、やわらかい布、専用洗剤などは貸し出しはありませんので、自分で用意するようにします。
雑草や植木のお手入れ用に鎌やハサミも持っていくとよいでしょう。
ゴミ箱がある墓地・霊園もありますが、自分でゴミ袋を用意しておくと安心です。
お墓掃除の後は、お参りをするのでお花や線香などのお供え物も忘れないようにしましょう。
墓石周辺の掃除
まずは墓石の周りの雑草を取り、ゴミや枯れ葉・小枝があれば一緒に処分します。
除草剤などは使用が禁止されている墓地もありますし、薬剤が墓石につくと石材を傷めてしまうこともあります。
もし使用を考えている場合には、必ず墓地の管理者に許可をとりましょう。
植木や植栽などがあればそちらも手入れをします。
また、古くなった花や線香の燃えカスなどがあれば合わせて処分しましょう。
玉砂利などが引いてある場合は、ほうきで掃いたり、整えたりします。
バケツに移して水洗いできるとよりきれいになります。
墓石本体の掃除
墓石周りの掃除が終わったら、次は墓石本体の掃除です。
基本的には上から下、奥から手前と掃除を進めることでスムーズに行えます。
水を流してきれいにした後は、最後に柔らかい布で墓石全体を拭きましょう。
基本は水洗い
墓石の汚れが特にひどくない場合は、基本的には水洗いで十分です。
墓石に水を上からかけてブラシ等でこするのもよいですが、柔らかい布やスポンジに水を含ませて優しくふき取るのが理想です。
細かい溝を掃除する場合、歯ブラシを持っていくと便利ですよ。
汚れがひどい場合
水を使ったふき取りだけではきれいにならない場合、墓石用のヘラも販売されているので、傷つけずにきれいにしたい場合はそちらを使うのがおすすめです。
水洗いだけで汚れが落ちない場合には、石材用洗剤がありますが、石材に合った洗剤を使用しなかったり、洗剤の洗い残しがあったりすると逆に墓石を変色させてしまう可能性があります。
家庭用の掃除洗剤や食器用洗剤などは、墓石の表面を傷つけてしまう危険性があるので、使用するのは絶対にやめてください。
墓石専用の洗剤であっても、使用する場合は墓の管理者に必ず許可をもらってください。
部材の掃除
花立の中には雨水等も溜まってしまい、長期間掃除ができていないと水垢でぬめりが出てしまうことが多くあります。
溜まった水は捨て、スポンジやブラシで内側を水洗いし、乾いた雑巾などで外側をふき取ります。
線香立ては、下皿に残っている灰を取り除き、網目に灰や線香カスが詰まっていることもありますので、水洗いしながらブラシで取り除き、こちらもしっかりふき取りましょう。
最後にお供え物を
お墓全体がきれいになったら、最後にお供えをします。
きれいになった花立に新しい水を入れて、花束を入れましょう。
故人の好きだった食べ物や飲み物を持ってきている場合はお供えしてから、お線香に火をつけ、手を合わせてご先祖様の冥福を祈ります。
食べ物のお供えに関しては施設のルールに従いますが、持ち帰る決まりが無かったとしてもそのまま放置すると虫や動物が寄って来て荒らす可能性が高いので、その場で供養として食べ切るか持ち帰るようにしましょう。
お墓掃除でやってはいけないことを押さえて、心を込めた手入れを
お墓を掃除するのは老朽化を防ぐだけでなく、故人を偲び敬意を表す意味もあります。
頻繁にお掃除ができなかったとしても、掃除の仕方を工夫することでお墓をきれいに保つことは可能です。
お墓掃除は時間も体力も使いますので、無理のない頻度で、できるときには心を込めて行うようにしましょう。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
・一級葬祭ディレクター
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。