遺品整理で捨ててはいけないものは?衣類の処分時期やトラブル例を解説
故人様が所有していたものを整理・処分する遺品整理。
実施するにしても、捨ててはいけないものがよく分からない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、遺品整理で捨ててはいけないものやトラブル例、注意点を紹介します。
遺品整理で捨ててはいけないものチェックリスト
【財産・資産関連】
- 遺言書
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
- 自筆証書遺言
- 有価証券・保険証券
- 現金
- 通帳・カード
- 貴金属や美術品
- 土地権利書
【手続き・重要書類関連】
- 印鑑
- 年金手帳
- 身分証明書
- ローン明細
- 支払通知書や請求書
- 仕事に関する書類
【その他に捨ててはいけないもの】
- 鍵類
- Wi-FiやDVDなど故人がレンタルしていたもの
- デジタル遺品
- 思い出の品
遺品整理で捨ててはいけないものを、一覧にしたものがこちらです。
ここからは、それぞれの項目について、捨ててはいけない理由と共に解説します。
遺品整理で捨ててはいけないもの|財産・資産関連
遺言書
【遺言書の種類】
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
- 自筆証書遺言
遺品整理で捨ててはいけないものが遺言書です。
遺言書とは故人の意思が記された書面で、法的な拘束力を持ちます。
主に上記の3種類あり、自筆証書遺言のみ自宅に保管される可能性があるものとなっています。
仮にこの遺言書を捨ててしまうと、その内容や遺産相続に関するトラブルが高確率で発生するでしょう。
加えて、故意に捨てたと判断された場合には「相続欠格」となり相続人になれないこともあるため、遺言書は捨てないようにしてください。
参考:e-Gov 法令検索「遺言の執行」
自筆証書遺言書保管制度のご案内「自筆証書遺言書保管制度」
有価証券・保険証券
株式・国債・投資信託などの有価証券、保険の契約内容を記した保険証券も遺品整理で捨ててはいけないものの1つです。
有価証券は故人の遺産で、相続人に受け継がれる相続資産でもあります。
そのため、独断で捨てると相続トラブルに発展しかねません。
また、保険証券は生命保険の受け取りの際に必要となります。
もし捨ててしまうと、保険金の受け取り手続きが複雑になったり、時間がかかったりするので、こちらも処分しないよう注意しましょう。
現金
遺産整理では故人が所持していた現金も捨ててはいけません。
現金も証券と同様に、遺産の一部となります。
加えて、現金を捨てる行為そのものが法律違反であるため、遺品整理の際に捨てないようにしましょう。
とくに小さな額のお札や硬貨はカバン・衣類のポケットに入っていることも多いため、うっかり捨てないように注意してください。
通帳・カード
通帳・キャッシュカードは、不正な引き出しを防止するために行われる「口座凍結」を解除する際に必要となります。
加えて、故人の利用している銀行と口座番号を調べる時に使用するほか、財産を把握する際にも役立つので捨てないようにしましょう。
遺品整理をしている際にこれらを見つけた場合は、誤って捨てたり汚したりしないよう、ファイルや封筒に収納することをおすすめします。
貴金属や美術品
故人がコレクションしていた貴金属や美術品も、遺品整理の際に捨ててはいけないものです。
理由は現金や証券と同じで、相続の対象になるため。
誤って捨てると身内で揉める、相続放棄に関するトラブルに発展するので、こちらも慎重に扱いましょう。
また、相続前の売却も同様にトラブルの元となるため独断で行わず、ほかの相続人や専門家などに相談した上で実施してください。
土地権利書
土地権利書は相続の対象となるため、誤って捨てないようにしましょう。
土地権利書とは不動産の所有権者だと証明するための書類で、名義の変更や売買を行う際に必要となるものです。
仮に無くても土地の所有権を変更する「相続登記」は行えますが、あったほうが相続人同士の話し合いがスムーズになるため、見つけたら大切に保管しましょう。
遺品整理で捨ててはいけないもの|手続き・重要書類関連
印鑑
故人の印鑑は、逝去後のさまざまな手続きで使用します。
必須というわけではありませんが、無い場合は手続きが面倒になるため、整理の際に見つけたら確実に手元に残してください。
また、人によっては銀行印と実印を別にしている可能性もあるため、探す際には1本だけと決めつけず、複数本あるつもりで作業を進めることをおすすめします。
年金手帳
年金手帳・基礎年金番号通知書・年金証書といった、年金関連の重要な書類は遺品整理で捨ててはいけません。
これは、年金に関する手続きに使用するためです。
年金手帳や基礎年金番号通知書は遺族年金の受給手続きで使い、年金証書は年金の受給停止手続きをする時に必要となります。
仮に無いとスムーズに手続きを行えなくなるため、絶対に捨てないようにしましょう。
参考:日本年金機構「年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。」
身分証明書
遺品整理で捨ててはいけないものの1つが、マイナンバーカード・運転免許証・パスポート・保険証といった身分証明書です。
こちらは法的にいけないものではありませんが、サービスの解約の際に必要となるため、全ての手続きが終わるまでは残しておきましょう。
また、処分方法に関しては、普通のゴミと一緒に捨てると悪用される可能性があるため、行政機関に返却するのが望ましいです。
ローン明細
借金の金額や借り入れ先が記載されたローン明細も、遺品整理で捨ててはいけないものです。
これらの書類は故人のマイナス資産の状況把握や、相続放棄を検討する際に役立ちます。
自治体窓口での手続きや相続手続きなどに使う書類ではないため、重要度はやや低めです。
しかし意思決定する時に役立つ書類なので、見つけたら必ず大切に保管しましょう。
支払通知書や請求書
故人宛の支払通知書や請求書も、遺品整理で捨ててはいけません。
これらの書類は、故人が利用していたサービスの利用状況を把握する際に役立ちます。
解約作業を進める際に必要となるので、捨てずに残しておきましょう。
また、未払の請求書を捨ててしまうと、支払いトラブルに発展する場合があるため処分しないよう注意してください。
仕事に関する書類
遺品整理での処分がNGなものが、仕事に関する書類。
仕事に関する書類は、業務の引き継ぎに活用される可能性があるものです。
また、仮に故人が経営者だった場合は、法人手続きの資料として使われる場合があります。
万が一捨ててしまえば企業側に不利益が及ぶ場合があるので、仕事関連と思われる書類を見つけたら確実に保管しましょう。
トラブルを防ぐために遺品整理で捨ててはいけないもの
鍵類
故人が所持している鍵類は、基本的に捨ててはいけません。
これは、相続の対象となる金品や重要書類が保管されている、ロッカー・棚・金庫などを開ける鍵の可能性があるためです。
重要な鍵でなければ捨てても大きな問題はありませんが、何の鍵か確認せずに処分すると、その後の遺品整理や相続がスムーズに進められなくなる可能性があります。
そのため、見つけた場合は一旦保管し、何に使う鍵なのかを確認することをおすすめします。
Wi-FiやDVDなど故人がレンタルしていたもの
遺品整理で捨ててはいけないものの1つが、Wi-Fi機器やDVDをはじめとするレンタル品です。
これらはレンタルしている業者の所有物であり、故人のものではありません。
誤って処分すると、紛失・破損の扱いとなりレンタル業者に賠償金を支払わなければならなくなります。
加えて、延滞料金が発生する場合もあるため、レンタル品は見つけ次第返却しましょう。
デジタル遺品
遺品整理に関するトラブルを防止したいなら、デジタル遺品の処分は保留としましょう。
デジタル遺品とは、スマホやPC内のデータやアカウントなどのこと。
重要度が低いものも多いですが、金融関連のアカウントやデジタル化された重要書類といったデータは、削除すると大きなトラブルになる可能性があります。
そのため、スマホやPCのデータ、アカウントはすぐに削除せず、確認が済むまで保留とすることをおすすめします。
思い出の品
故人が大切にしていたものや思い出の品は、遺品整理だからといって処分してはいけません。
これらの品は、二度と手に入らないものです。
加えて、ほかの親族が故人の形見として引き取りたい場合もあるため、処分は保留としましょう。
どうしても処分したい場合は、ほかの親族と話し合った上で行ってください。
遺品整理で捨ててはいけないものを捨てた時のトラブル例
捨ててはいけないものを捨てると、どんなトラブルが起こるのか気になる方も多いでしょう。
捨てるのがNGなものだけでなく、起こり得る事例も知っておきたいものですよね。
そこで次は、遺品整理で捨ててはいけないものを捨てた時に起こるトラブルの事例を紹介します。
親族間でトラブルに発展する
遺品整理で捨ててはいけないものを捨てると、親族間のトラブルに発展する可能性があります。
とくに多いのが、相続関連のトラブルに発展するケースと、形見分けができなくなり親族間で揉めるケース。
これらのトラブルに見舞われると、親族間の関係が悪化します。
最悪の場合、民事裁判や刑事裁判に発展することもあるため、捨ててはいけないものは慎重に扱いましょう。
遺品整理がスムーズにできない
遺品整理で捨ててはいけないものを捨てた時に発生するのが、遺品整理がスムーズに進められなくなるトラブルです。
例えば、鍵類を処分するとロッカーや金庫が開けられなくなり、中の確認と整理ができなくなります。
手続き・相続関連の書類を捨てると、その後の手続きが面倒になるため、遺品整理に割ける時間も減ってしまいます。
ほかにも様々な事態が考えられるため、捨ててはいけないものとして挙げられた品物は処分せず、保留とすることをおすすめします。
損害賠償の恐れがある
損害倍書を請求されるトラブルも、遺品整理で捨ててはいけないものを捨てた時に発生しうる揉め事の1つです。
誤ってレンタル品・リース品、職場からの貸出品を処分すると、貸し手側から損害倍書を請求されます。
また、故人が大切にしていたものや思い出の品、骨董品なども要注意です。
独断で捨てると揉め事に発展するほか、場合によっては裁判を起こされ、損害賠償や慰謝料を請求される可能性もあるため、絶対に捨てないようにしましょう。
相続税の申告漏れが起こる
遺品整理で価値のある品の置き場所が書かれたノートや、遺産の把握に必要な書類などを捨てると正確な税申告が難しくなります。
そうなると、申告漏れが発生するリスクが高まります。
正確に相続税申告をするためにも捨ててはいけないものは処分しないよう注意しましょう。
また、万が一申告漏れが起きても申告期限内の場合は、漏れていた分析を含めた申告書を作成し、もし期限を過ぎている場合は修正申告で対応します。
遺品整理をする時の注意点
捨ててはいけないものが存在する遺品整理ですが、実施する際に注意することはあるのでしょうか?
次は、遺品整理をする時の注意点を解説します。
遺品整理に関する失敗を防ぎたい方は、ぜひ参考にされてみてください。
遺言書・エンディングノートを確認する
遺品整理を実施する前には、必ず遺言書・エンディングノートの内容を確認しましょう。
遺言書やノートには、価値のある品の場所や遺品の処遇、相続について記載されています。
これらを確認した上で遺品整理を進めれば、故人の意に沿った財産分与ができます。
さらに、トラブルが起こるリスクを抑えられるほか、遺品整理を効率良く進められるようにもなるため、必ず確認するようにしてください。
【関連記事】
エンディングノートとは?おすすめの内容や書き方・終活ですべきことを解説
仕切る人を決める
効率良く遺品整理を進めたいなら、仕切る人を1人決めるのがおすすめです。
各々が独断で整理を進めると、捨ててはいけないものを捨てる、処分方法で揉めるなどのトラブルに発展します。
また、全体の統率がとれていないため、作業の効率もよくありません。
処分方法の判断や全体の取りまとめを行うリーダーがいれば、不要なトラブルを防止できます。
作業の効率も高めやすくなるので、ぜひとも決めておきましょう。
親族間で話し合う
遺品整理を始める前には、親族間でよく話し合うようにしましょう。
事前に、高価品の扱いや処分費用などを話し合っておくことで、遺品の譲渡・処分に関するトラブル、負担の偏りを防止できます。
話し合いの中で、作業の進め方・期限・分担などを決めておけば、遺品整理をより効率的に進められるのもポイントです。
相続放棄の意思がないか確認する
相続放棄の意思確認も、遺品整理を始める前に行っておきたいことの1つです。
相続放棄とは遺産の相続を放棄することで、主に故人が多くの負債を抱えていた時、相続に関するトラブルを避けるために選ばれます。
この相続放棄は、故人様の財産を処分すると認められなくなるため、作業の開始前には意思の有無を必ず確認するようにしましょう。
スケジュールを事前に立てる
遺品整理をスムーズに進めたいなら、事前にスケジュールを決めておきましょう。
スケジュールを決めることで、いつまでに・どのくらい進めればいいかが明確になります。
優先順位を決めやすくなるほか、1日にする作業の目安も把握しやすくなるため効率的に遺品整理を進められるでしょう。
また、スケジュールに関しては、多少の遅れがあっても対応できるよう、余裕を持たせることをおすすめします。
判断に困ったら一時的に保管する
遺品整理を快適に進めるためのコツは、判断に困ったら一時的に保管することです。
整理となると「捨てる」と「残す」の二択で考えてしまいがちですが、判断に迷うものは「保留」にして構いません。
むしろ、保留を活用することで、ほかの親族が引き取りたいと思うものや必要なものを誤って処分するリスクを大幅に減らせます。
「捨てなければよかった」といった後悔になくなるので、積極的に保留しましょう。
遺品の細部まで確認する
カバンや衣類と一緒に遺品を捨てて起こるトラブルを防ぐためにも、遺品の細部までを確認するようにしましょう。
服やズボンの小さなポケットまで見たり、書類を1枚ずつ確認したりすることでトラブルを防止できます。
手間ではありますが、揉め事を起こさないためにも、遺品は細部まで確認するようにしてください。
遺品整理の業者に依頼する
遺品整理に関するトラブルを防止したい、作業の負担を減らしたいなら遺品整理業者に依頼することも1つの手です。
遺品整理業者は遺品整理のプロなので、捨ててはいけないものを処分することもほとんどありません。
また、作業の効率も高いため、比較的短い時間で整理を終えてくれるでしょう。
ただし、無資格で業務を行う業者やサービスの質が低い業者が存在するため要注意。
これらの業者を避けたいなら、事前に一般廃棄物収集運搬許可証を取得した業者か、遺品整理士が在籍しているかなどを必ず確認しましょう。
遺品整理に関するよくある質問
ここまで紹介した遺品整理に関すること以外にも、いくつか疑問が残っている方も多いでしょう。
できれば作業を始める前に、疑問点は全て解決しておきたいものですよね。
そこで最後に、遺品整理に関するよくある質問とその回答を紹介します。
亡くなった人の衣類を処分する時期はいつ?
亡くなった人の衣類を処分する時期は、とくに決まりはありません。
期限も決まっていないほか、優先度も低いので気持ちや状況が落ち着いたタイミングで実施するといいでしょう。
ただし、故人が賃貸に住んでいた場合は、家賃が発生するタイミングまでに済ませておくことが望ましいです。
また、死装束にしたい衣類があるなら、事前に整理しておくとスムーズに探し出せるでしょう。
遺品整理は四十九日前にしてもいい?
四十九日前の遺品整理は、禁止されていないため基本的に行っても問題ありません。
むしろ早めに行うことには、遺品整理の際に利用するサービスの利用料や家賃が節約できる、気持ちの切り替えや形見分けがスムーズに行えるなど多くのメリットがあります。
なにかと忙しく、精神的にも辛い時期ではありますが、気持ちや予定に余裕があるなら思い切って実施するといいでしょう。
【関連記事】
四十九日までしてはいけないこと|法要までにすることや忌中の過ごし方も解説
遺品を捨てると運気は上がる?
捨てることで運気が上がるかは、遺品によって異なります。
見たり触れたりした時に暗くなる、運が悪くなったと感じさせるものや陰の気を持つとされる布製品などは処分したほうがいいでしょう。
逆に、触れた時に懐かしさや心地よさ、温かさを感じるものは残しておくべきかもしれません。
あくまでも迷信ですが、捨てるか残すかで迷ったらぜひ参考にしてみてください。
また、晴れの日に処分すると、遺品にある「気」を故人に返せるといわれています。
遺品整理で捨ててはいけないものを把握しておくとトラブル防止になる
遺品整理で捨ててはいけないものを把握しておくと、余計なトラブルや揉め事を防止できます。
整理そのものをスムーズに進められるようにもなるので、作業に入る前にぜひ把握しておきましょう。
また、遺品整理について分からないことがある場合は無理をせず、法律や葬儀の専門家に相談することをおすすめします。
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