喪が明けるのはいつ?忌明けとの違いとは?してはいけないことも解説

故人を見送ってしばらくすると「喪が明けるのはいつなのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
喪明けの時期は宗教や関係性によって異なり、明確な決まりはありません。
この記事では、喪明けの目安や守るべきマナーをわかりやすく解説します。
喪が明けるのはいつ?喪明けの期間は?
現代では、厳密に喪に服す人は少なくなっていますが、故人を敬う気持ちとして一定期間は慎みのある生活を送る方が多いようです。
その際、どれくらいの期間で喪が明けるのかが分からず、知らぬ間に周りから非常識と思われてしまわないか不安を抱えることもあるでしょう。
ここでは、一般的な喪明けの期間について解説します。
喪明けに正確な決まりがない
喪の期間については、法律や明確なルールはありません。
かつては「服忌令」という法律がありましたが、昭和22年に廃止されました。
現代では、かつての服忌令の考え方が慣習として残りつつも、より個人の気持ちやライフスタイルが尊重されるようになっています。
そのため、現代の日本社会では「絶対にこうしなければならない」という決まりはなく、ご家族や地域、宗教的な習慣によって柔軟に考えられています。
故人との関係性が目安になりやすい
故人との関係性 | 喪が明ける期間 |
親・子ども・配偶者の場合 | 1年後 |
祖父母・兄弟の場合 | 半年後 |
自ら喪に服す場合の場合 | 気持ちの整理ができたら |
喪明けの期間に厳密な決まりはないものの、多くの場合、故人との関係性を基準に考えるのが一般的です。
関係が近しいほど悲しみが深く、心の整理に時間が必要になるという、ごく自然な感情に基づいています。
ここでは、関係性ごとの一般的な目安をご紹介します。
親・子ども・配偶者の場合
最も喪の期間が長くなるのが、遺族が親・子ども・配偶者の場合です。
この関係性では、おおよそ1年間を目安に喪に服すことが多いとされています。
一周忌法要が済むまでは控えめな生活(お祝いごとや派手な外出は避けるなど)を続け、1年が過ぎてからゆっくり通常の生活に戻るというパターンが一般的です。
一周忌法要を無事に終えることで、親族としても一つの大きな区切りをつけ、故人を偲びながらも、新たな一歩を踏み出すきっかけとなるでしょう。
祖父母・兄弟の場合
祖父母や兄弟姉妹が亡くなった場合、一般的には半年(約6ヶ月)が喪明けの目安とされています。
これは、親や配偶者ほど密接ではないものの、非常に近しい関係であることを考慮した期間です。
祖父母や兄弟を亡くした家庭では、49日の法要を過ぎてから少しずつ普段の生活に戻り、半年経った頃に、年賀状や慶事参加などを徐々に解禁するケースが多く見られます。
ただし、家や地域によっては1年とする場合もありますので、期間については親族内で相談するのが無難です。
自ら喪に服す場合
自ら喪に服すとは、法律や宗教・慣習上の決まりに関係なく「大切な人を亡くしてどうしても元気になれない、自分のペースで静かに過ごしたい」という個々の気持ちに沿うものです。
周囲に事情を話して慶弔ごとの参加を控えたり、無理して日常に戻ろうとしたりせず、心の整理がつくまで喪に服す方も少なくありません。
宗教による違い
喪が明けるまでの期間は、故人との関係性だけでなく、どの宗教を信仰しているかによっても考え方が大きく異なります。
日本では仏教や神道の考え方が一般的ですが、世界にはさまざまな宗教があり、死生観もそれぞれです。
下記の表で、主な宗教における喪明けの期間についてまとめていますので、参考にしてください。
宗教 | 喪が明ける期間 |
仏教 |
・忌明け|49日 ・喪明け|約1年(関係性で変化) |
神道 |
・忌明け|50日 ・喪明け|約1年(関係性で変化) |
キリスト教 |
忌明け・喪明けといった概念がない |
イスラム教 |
・男性:3日 ・女性:4ヶ月と10日 (忌明け・喪明けといった概念がない) |
喪が明けるとは?忌明けとの違いは?
「喪明け」と似た言葉に「忌明け」があり、この二つを混同されている方も少なくありません。
喪明けとは、先述の通り故人の死を悼む期間が終わり、遺族が悲しみから立ち直って通常の生活に戻ることを指します。
この喪明けまでの期間を「喪中」と言い、親や配偶者の場合、故人が亡くなってから1年間(一周忌法要まで)とされています。
「喪明け」「忌明け」の違い
忌明けは、故人の魂が浄土へ旅立つ期間の終わりを意味するものです。
仏教では、四十九日法要を行った後を忌明けと呼びます。
この四十九日という期間は、釈迦の教えに基づいており、亡くなった人の魂が七日ごとに裁きを受け、四十九日目に最終的な行き先が決まるという考え方から来ているものです。
神道では五十日を忌明けとしています。
つまり、喪明けは遺族の服喪期間に関する区切りであり、忌明けは故人の魂の旅立ちに関する区切りなのです。
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喪が明けるまでは神社の鳥居をくぐってはいけない?
神社の鳥居をくぐることについては、特に神道の考え方に基づくと、忌明け(神道では50日)までは控えるのが伝統的な慣習です。
これは、死を穢れ(けがれ)とする神道の考え方によるもので、穢れた状態で神域に入ることを避けるという意味があります。
忌明けが済めば、遺族は清らかな状態に戻っていると考えられるため、神社の鳥居をくぐり、参拝することができます。
ただし、地域や神社によっても考え方が異なるため、確認すると良いでしょう。
喪が明けるまでにしてはいけないこと
喪中は故人を偲び、慎みのある生活を送る期間です。
この期間中はお祝い事や派手な行動は控えることが慣習とされています。
ここでは、具体的にどのようなことを控えるべきか、その背景や理由も解説します。
年賀状を出す
喪中の間は、年始のご挨拶やおめでたいメッセージは、原則として控えましょう。
年賀状は「新しい年をお祝いしましょう」という気持ちを伝えるものであるため、喪に服している時は「寒中見舞い」や「喪中はがき」で挨拶して、新年のお祝いはしません。
喪中はがきは「喪中のため、新年のご挨拶を失礼させていただきます」ということを事前にお知らせするための挨拶状です。
相手が年賀状の準備を始める前の、11月中旬から12月初旬までには届くように準備しましょう。
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慶事に参加する
喪中の間は、結婚式や出産祝いなどの慶事(おめでたいこと)への参加を控えるのが一般的です。
これは、喜びの場に喪の気持ちを持ち込むことを避けるという配慮と、故人を偲ぶ期間として慎みのある生活を送るという両面の意味があります。
ただし、現代では必ずしも厳格にこの慣習を守る必要はないという考え方も広まっており、忌明け後、喪中の期間であれば状況に応じて参加することもあるでしょう。
慶事に参加するかどうかは、周りの方と相談して決めてください。
地鎮祭を行う
家の新築や増改築の際に行われる地鎮祭も、喪中には控えるべきとされています。
地鎮祭は、工事を始める前にその土地を守る神様にご挨拶して、工事の安全と家の繁栄を祈願する儀式です。
喪が明けてから行うのが無難ですが、どうしても工事のスケジュールなどで時期をずらせない場合は、依頼する神社の神職の方やご家族とよく相談して進めましょう。
新居・新車を買う
新生活を始める象徴的な出来事である、新居や新車の購入も、喪中の間は避けるとされています。
これも「新しいことを始めるのは喪が明けてからが良い」という昔からの風習が根底にあるためです。
悲しみに暮れる喪中に、新居や新車の購入というめでたいことをするのは時期尚早と考える方も少なくありません。
ただし、これも現代ではかなり柔軟に考えられています。
生活に不可欠な車が壊れてしまい買い替えざるを得ない、といった場合は問題ないとされるケースがほとんどです。
飲み会に参加する
会社の忘年会や新年会、お祝いの宴席など、派手な飲み会への参加も、喪が明けるまでは控えるのが望ましいでしょう。
喪中は、あくまで故人を偲び、静かに心を落ち着けるための期間です。
大勢で陽気に騒ぐような宴会は、その趣旨にそぐわないとされています。
ただし、親しい友人と少人数で故人の思い出を語り合う食事会や、職場の同僚との静かな慰労会などであれば、参加しても問題ないでしょう。
【Q&A】喪明けでよくあるギモン
喪に服している期間は「これをしても良いのかな?」「非常識だと思われないかな?」と細かな疑問が数多く湧いてきます。
慣れないことで戸惑うことも多いため、ここではよく寄せられる3つの質問について解説します。
喪が明ける前に親族が亡くなったらどうなる?
喪中の期間に、別の親族が亡くなられた場合、喪の期間は後に亡くなった方の命日から数え直すのが一般的です。
つまり、喪に服す期間が延長されることになります。
どちらかの喪を省略するのではなく、それぞれの故人を偲ぶ気持ちを大切にしましょう。
Q.喪が明けるまでお中元を贈ってはいけない?
喪中のお中元やお歳暮については、必ずしも贈ってはいけないわけではありませんが、慶びの言葉や華やかな包装は控えるのがマナーです。
お中元やお歳暮は、日頃の感謝の気持ちを伝える季節のご挨拶でお祝いとは意味合いが異なるため、喪中の方が、贈ったり受け取ったりしても問題はないとされています。
忌中はなるべく避ける、熨斗(のし)紙は使用しない「お祝い」や「ご挨拶」の言葉を避けて「心ばかり」などの控えめな表現に留めるといった配慮をして贈りましょう。
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Q.学校行事(修学旅行・遠征)は喪明けじゃなくても行っていい?
子どもの学校行事については、喪明け前でも参加することが望ましいとされています。
修学旅行や遠征などの行事は子どもの成長にとって重要な経験となるため、喪中であっても参加させるのが一般的です。
ご家族が悲しみの中にあっても、お子さん本人の成長の機会は大切にされるべきものなので、本人の気持ちを最優先に考えましょう。
安心して笑顔で送り出してあげてください。
喪が明けるタイミングは故人との関係性や宗教で異なる。
喪が明けるタイミングに、法律などで定められた厳密な決まりはありません。
一般的には一周忌が目安とされますが、故人との関係性やご家庭の宗教・慣習によって異なります。
大切なのは故人を敬う気持ちと自分の心の整理です。
状況に応じて柔軟に対応し、無理なく喪の期間を過ごすことが望ましいでしょう。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
・一級葬祭ディレクター
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。