仏壇にお供えしてはいけないものは？NGな花やお酒・ビールはダメなのかも解説
自宅に仏壇があると「お供えものに決まりはあるの？」「注意点やマナーは？」など、悩むこともあるでしょう。
お供えものにはタブーもあるので、NGな食べ物や花などを知っておくと安心です。
この記事では仏壇にお供えしてはいけないものや、気を付けたいポイントについて解説します。
仏壇にお供えしてはいけないNGなもの｜食べ物
お供えものに食べ物を選ぶ人は多いですが、五辛と呼ばれるものや、日持ちしないものなど、仏壇にお供えしてはいけない食べ物もあります。
まずは、仏壇にお供えするのは控えるべき食べ物についてチェックしてみましょう。
五辛(ごしん)
仏壇にお供えしてはいけないものとして、五辛(ごしん)が挙げられます。
- ねぎ
- 玉ねぎ
- にんにく
- にら
- らっきょう
これら5つの辛味がある野菜は、仏教において色欲や憤怒が増長されて修行の妨げになるため、禁忌とされています。
宗派によっては山椒、生姜が含まれることも。
また道教では、らっきょう、にんにく、にら、あぶらな、こすいが五辛に含まれています。
辛味や匂いなどの刺激が強い野菜は、お供えものに向かないと覚えておきましょう。
魚・肉といった生の食べ物
魚や肉といった生の食べ物は傷みやすいので、仏壇にお供えしてはいけないものとされています。
そもそも魚や肉など、生き物を使った料理は「なまぐさもの」といわれ、殺生を禁じている仏教ではタブーです。
仏様の前では全ての命は平等であるという教えに従って、故人が生前に好んでいたとしても、お供えを控えるようにしましょう。
あまり日持ちしない食べ物
日持ちしない食べ物も、仏壇のお供えものには向いていません。
たとえばケーキなどの生菓子や、常温だと溶けてしまうアイスクリームなどは、仏壇に長時間あげていると食べられなくなります。
また、食べ物が傷んだり溶けたりすると仏壇を汚す可能性もあるため、お供えしてはいけないものとされているのです。
お供えものは数日間仏壇にあげられることもあるので、できるだけ日持ちするものを選ぶようにしましょう。
香りが強い食べ物
香りが強い食べ物を仏壇に供えるのはNGです。
五辛と同じく、仏教で強い香りがするものは修行の妨げになるとされています。
香りが強い食べ物が目の前にあると、仏前で手を合わせるときにも、あまり良い気持ちはしないかもしれません。
ほかのお供えものや線香の妨げになる可能性もあるので、ハーブやスパイスなどの香辛料を使った料理や発酵食品などはお供えしないようにしてください。
仏壇にお供えしてはいけないNGなもの｜花
お供えものといえば、花をイメージする人も多いでしょう。
「故人が好きだった花を飾りたい」「おしゃれな仏花を選びたい」と思われるかもしれませんが、仏壇にお供えしてはいけないものもあるので注意してください。
ここでは、お供えものとして不向きな花について解説します。
香りが強い花
仏壇にお供えする供花に、香りが強いものはふさわしくないとされています。
たとえば、バラ、キンモクセイ、クチナシ、カサブランカなどが当てはまるでしょう。
香りが強い花は線香の香りを妨げているので、仏花としては控えたほうが良いと考えられているのです。
最近では故人が好きだった花を供えるケースも増えていますが、お供えする際には必ず遺族に相談してください。
毒がある花
仏壇にお供えしてはいけないものには、毒がある花も挙げられます。
毒がある花は、仏さまに毒を盛るという意味合いがあるため、ヒガンバナ、トリカブト、シャクナゲ、スズランなどをお供えするのは控えましょう。
チューリップのように、球根の部分に毒性があるものもNGです。
スイセンにも毒がありますが、仏壇にお供えしている地域や家庭もあるため、お供えする際は確認してみましょう。
トゲがある花
トゲがある花は殺生を連想させるため、仏壇にお供えしてはいけないものとされています。
遺族が花を供えるときに、手にトゲが刺さってケガをする可能性もあるので、供花には不向きです。
具体的にはバラ、アザミ、サンショウなどの花が当てはまります。
故人が好きだった花をどうしてもお供えしたい場合は、遺族に相談したうえで、トゲをすべて取り除いた状態にしましょう。
蔓がある花
蔓がある花を仏壇にお供えすると、蔓が故人に絡まって成仏できないといわれているため、仏花には向きません。
アサガオ、クレマチス、ノウゼンカズラ、ジャスミンなどの植物には蔓があるため、注意してください。
また蔓がある花は枯れやすく、手入れに手間がかかる点からも、仏壇にお供えしてはいけないものとされています。
仏壇を汚す恐れがある花
仏壇を汚す可能性がある花も、お供えしないようにしましょう。
たとえば花粉が落ちやすいユリや、花びらが落ちやすいツバキ、サザンカなどがあげられます。
どうしてもユリを供花にしたい場合は、花粉をきれいに取り除いてから仏壇にあげてください。
基本的に花の寿命が短いものは、仏壇にお供えするには不向きであることを覚えておきましょう。
一度墓に供えた花
一度お墓に供えた花は、仏壇にお供えしてはいけません。
たとえ綺麗な状態だったとしても、使いまわしたものをお供えする行為は、故人や遺族に対して失礼です。
「もったいない」「手間がかかる」と思ったとしても、お墓に供える花と仏壇に供える花は必ず別々に用意しましょう。
仏壇にお供えしてはいけないNGなもの｜果物
果物も仏壇にお供えする定番の1つです。
しかし、香りが強い果物や日持ちしない果物などはNGなので注意してください。
ここでは、仏壇にお供えしてはいけない果物の特徴についてチェックしてみましょう。
香りが強い果物
仏壇にお供えしてはいけないものに、香りが強い果物があげられます。
故人や仏様は香りを召し上がると考えられており、強い香りで刺激を与えるのは良くないとされているのです。
また、果物が放つ強い香りは悪霊をおびき寄せる死臭を連想させるため、お供えするのは控えるべきといわれています。
ドリアンやマンゴーなど、香りがきついフルーツは仏壇にあげないようにしましょう。
汁が出やすい果物
汁が出やすい果物も、お供えものには不向きです。
たとえば、スイカやメロンなどの水分量が多いフルーツをカットして長時間お供えすると、傷んで虫を寄せつけたり、汁で仏壇を汚したりする可能性があります。
衛生面を考えても、汁が出やすい果物をお供えするのはおすすめできません。
故人の好物だからどうしてもお供えしたい場合は、短時間だけあげるなど工夫しましょう。
腐りやすく日持ちしない果物
腐りやすく日持ちしない果物も、仏壇にお供えしてはいけないものにあげられます。
イチゴやブルーベリー、ラズベリーなどのベリー系や、バナナ、梨などは要注意です。
日持ちしない果物が腐ってしまうと、臭いが死臭を連想させます。
また故人や仏様も急いで食べなければならず、ゆっくりと味わうことができません。
日持ちしない果物をお供えしたい場合は、できるだけ新鮮なものを選び、はやめにさげるようにしましょう。
仏壇のお供えものにビールやお酒はダメ？
仏壇のお供えものとして、ビールやお酒をあげたい人もいるでしょう。
しかし、仏教の戒律にはお酒を飲まないという「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」の教えがあるため、基本的にお供えしません。
故人がお酒好きで、どうしてもあげたい場合には、お寺や家族と相談したうえで決めてください。
また最近ではビールや焼酎などの形をしたロウソクも販売されているので、悩んだときは選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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仏壇のお供えものは「五供」を意識する
仏壇には「五供(ごく)」とよばれる香、灯明、浄水、飲食、供花をお供えするのが良いとされています。
ここでは五供をお供えする意味や、お供えの作法について確認してみましょう。
香(こう)
香(こう)は、お線香やお香のことです。
仏教では香喰(こうじき)といって、仏様は香りを召し上がると考えられており、仏壇の前で焚くことが供養になるとされています。
また、お線香の香りは仏壇に手を合わせている人や、周りにいる人たちの心身も清らかにしてくれるのです。
お線香をあげるときはロウソクから火をつけて、灰を入れた香炉にお線香を立ててください。
宗派によってはお線香を寝かせる場合もあります。
灯明(とうみょう)
灯明(とうみょう)とは、ロウソクなどの明かりを灯すものを指します。
かつて電気がなかった時代に、暗闇は大きな力と考えられていました。
その闇に光をもたらす灯明は、故人の心を照らし、手を合わせる人の迷いもなくしてくれるとされ、供養において大切なものとされてきたのです。
また、ゆっくりと燃える様子は人生の儚さを表すともいわれ、仏様の智慧(ちえ)にたとえられることもあり、格式高いお供えものとして扱われてきました。
お供えする際は火災に注意し、消すときは息を吹きかけるのではなく、手であおぐように風を送ってください。
浄水(じょうすい)
浄水(じょうすい)とは、お水やお茶などの飲み物のことです。
故人の喉が渇かないようにお供えするもので、透き通って穢れのない水は、お供えする人の心も清らかにしてくれるとされています。
そのため、毎日新鮮なものに取り替えることが大切です。
仏様は湯気も召し上がるため、温かい飲み物をお供えしても良いでしょう。
お供えする際は湯呑や茶湯器(ちゃとうき)に入れ、茶台や仏器膳にのせてお供えしてください。
飲食(おんじき)
飲食(おんじき)とはご飯のことで、白米をお供えするのが一般的です。
「毎日不自由なくご飯を食べられるのはご先祖様のおかげです」という感謝の気持ちを伝えるためにお供えします。
故人や仏様はご飯の香りや湯気を召し上がるので、炊きたてのご飯を仏飯器(ぶっぱんき)という仏具に盛りつけて仏壇にあげましょう。
湯気が出なくなったら、さげて構いません。
ご飯のほかにも、果物やお菓子なども飲食にあたります。
仏壇からさげたものは、家族で分け合っていただきましょう。
供花(くげ)
供花(くげ)とは、仏壇にお供えする花のことです。
美しい花の姿や、良い香りが故人の心を癒すとされています。
また時間とともに花が枯れていく様子は、永遠に変わらないものはないという「諸行無常」の教えを表しています。
お花を供えるときは毎朝水を入れ替え、枯れる前に新しい花と交換しましょう。
最近では手入れが簡単な造花も増えているため、必ずしも生花をお供えしなければならないわけではありません。
浄土真宗における仏壇のお供えもの
浄土真宗では、平常時は仏壇にお仏飯をお供えします。
お盆や命日、彼岸などにはお餅、お菓子、果物を加えてお供えするのが基本です。
ここでは、浄土真宗の仏壇にお供えする際の決まりごとを紹介します。
水・茶の代わりに樒(しきみ)を供える
浄土真宗の仏壇には、水やお茶の代わりに樒(しきみ)をお供えします。
華瓶(けびょう)という仏具に水を入れて樒を挿し、香水(こうずい)として供えるのが浄土真宗の作法です。
樒には水を浄化する効果があるといわれ、香水は仏様がいる浄土の美しい水や、良い香りを表現しているといわれています。
水やお茶は湯飲みなどに入れてお供えするのではなく、香水として仏壇にあげましょう。
西と東ではご飯の盛り方が違う
浄土真宗では、西と東でお供えするご飯の盛り方が違います。
仏壇にお供えするご飯はお仏飯とよばれ、仏飯器に盛ってお供えするのが一般的です。
仏飯器にご飯を盛る際に、西の浄土真宗本願寺派はしゃもじの背などを使い、蓮のつぼみを表す山型にします。
一方で東の真宗大谷派は、盛糟(もっそう)とよばれる仏具を使って、蓮の実を表す円柱形に整えます。
ちなみに、その他の天台宗や真言宗、曹洞宗などの宗派には特に決まりがなく、基本的には仏飯器にご飯を丸く山盛りのような形に盛ってお供えします。
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仏壇へのお供えもので気をつけること
お供えものは何を選ぶかだけでなく、お供えするときの作法も大切です。
お供えものの向きや、懐紙を敷くなどのポイントにも気を配りましょう。
それでは最後に、仏壇へお供えする際に気をつけたいことを紹介します。
お供えするときの向きに気を付ける
仏壇にお供えするときは、向きに気をつけてください。
お供えものは、正面がお参りする側に向くようにします。
これは、仏様の慈悲でお供えしたものを返してくださるためです。
お供えものは仏様や故人に食べてもらうのが目的ではなく、感謝の気持ちを伝えるために行います。
お供えしたご飯や果物、お菓子などは、仏様に感謝しながら家族で分け合っていただきましょう。
懐紙を敷いて仏壇の中段に置く
仏壇へのお供えものは、お皿に直接置くのではなく、懐紙(かいし)という和紙を敷いた上にのせてお供えします。
高坏(たかつき)や段盛りがある場合は、その上に懐紙を敷いてお供えものを置いてください。
懐紙は上の紙が少し左にずれるように三角の形に折って、角がお参りする側に向くように配置しましょう。
仏壇は上段、中段、下段の3段に分かれていますが、お供えものは真ん中の中段に置きます。
仏壇にお供えしてはいけないものは五辛。供物は五供が基本
仏壇にお供えしてはいけないものには、五辛などがあります。
お供えものとして定番の花や果物の中にもNGなものがあるので、用意する前に確認しておくと安心です。
仏壇のお供えものには香、灯明、浄水、飲食、供花の五供が基本なので、マナーとして覚えておきましょう。
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