お焼香のやり方は?基本的な手順や宗派別の作法など解説

葬儀に参列した際に、「どうやってやるんだっけ?」「何回やるんだっけ?」と焼香の作法や回数で迷ってしまった経験がある方は、少なくないのではないでしょうか。
そんな焼香の仕方に不安を持つ人のために、本記事では宗派別のやり方を解説していきます。
お葬式の当日に慌てないためにも、一度焼香のマナーや作法を確認しておきましょう。
お焼香のやり方は?基本的な手順・作法
近年は葬儀の会場を借りて行うホール葬が多いので、自分の座っている椅子から祭壇正面に置かれた焼香台にて立って行う、立礼焼香が最も一般的です。
まずは立礼焼香の基本的な流れを解説していきます。
【お焼香の基本的な手順】
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焼香は喪主から順番に行う
通夜式・告別式が開式すると、僧侶が入場し、読経を始めます。
しばらく読経が行われた後に焼香となりますが、僧侶か葬儀社の司会担当者より「喪主様より順番に焼香をお願いします」などとアナウンスがあります。
アナウンスがあれば、まずは喪主から焼香を行います。
喪主の後は、親族から焼香に進むようにその場で葬儀社の司会担当者から案内があるか、斎場スタッフのサポートがあります。
故人と近い親族から順番に着席していることがほとんどですので、基本的には前の方から順番に焼香をしていく形で問題ありません。
前の人に続いて席を立ち、焼香台の列に並ぶ
基本的には前の人が焼香をし、着席してから次の人が立って焼香台へ進みます。
参列者が多い場合には、焼香がスムーズに進むように前の人の焼香が終わる前に、何名かずつ焼香台に並ぶように案内されることもありますので、臨機応変に対応しましょう。
複数の焼香台が用意されることもありますので、その際は空いている所に並びます。
数珠を持っている場合は数珠のみを左手に持ち、その他持ち物はは席に置いておくか、手荷物置き場において焼香台の列に並びます。
焼香の順番が来たら遺族に一礼、祭壇の遺影へ一礼
自分の順番が来たら、焼香台の前まで進み、まず遺族に一礼します。
自分が遺族である場合は、参列者の方へ一礼してから、焼香台の前に立ちます。
その後、祭壇の遺影にも礼をします。
このときの一礼は、お辞儀でも合掌でもかまいません。
焼香・合掌
焼香炉には、通常、「右側に抹香(まっこう)」「左側に香炭(こうたん)」が置かれています。
【焼香・合掌の流れ】 1.抹香をつまむ
2.抹香を押しいただく(額の前まで上げる)
3.香炭の上にくべる
4.繰り返す
※参列者が多い場合、司会者から「焼香は心を込めて1回でお願いします。」と案内されることがあります。 その際は、宗派に関係なく案内に従い、式が滞りなく進行できるよう協力しましょう。 5.焼香後の合掌
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「くべる」「押しいただく」とは?
抹香を香炭の上に落とすことを「くべる」といいます。
また、抹香をくべる前に、額の前まで持ち上げることを「押しいただく」といいます。
宗派によっては、抹香を押しいただかずにそのまま香炭にくべることもあります。
押しいただくかは、お香そのものに宗教的価値があると考えるかどうかによります。
遺族へ一礼し、席へ戻る
焼香を終えたら一歩下がり、遺族へ向かって一礼します。
自分が遺族の場合には、参列者へ向かって一礼をします。
場合によっては、次の人が後ろにいる可能性もありますので、下がる際は周囲をよく確認してからにしましょう。
そして、これから焼香をする人の邪魔にならないように席へ戻ります。
お焼香のやり方│葬儀の宗派別の作法によって違う焼香の回数
焼香の回数には宗派によって違いがあります。
焼香の回数や作法の違いは、宗派の思想がお香そのものに価値を見出しているかどうか、また何に対してお香を焚くのかという考え方の違いによります。
宗派 | 回数 |
浄土真宗本願寺派 | 押しいただかずに1回 |
浄土真宗大谷派 | 押しいただかずに2回 |
浄土宗 | 押しいただき1~3回 |
真言宗 | 押しいただき3回 |
臨済宗・曹洞宗 | 押しいただき1回の後、押しいただかずに1回 |
天台宗 | 押しいただき3回 |
日蓮宗 | 押しいただき1回か3回 ※宗内宗派によって違いがあります |
地域やお寺の考えによっては上記の表とは異なる場合もあります。
事前に故人の宗派が確認できると良いですが、出来ない場合は喪主の動作を見て真似するという方法もあります。
自席から見えない場合は、自分の宗派の焼香を心を込めて行う形でも問題ありません。
一番重要なのは、回数ではなく「心を込めて冥福を祈る」ということです。
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仏教以外の葬儀の焼香
仏教以外では基本的に焼香は行いません。
焼香の代わりに、神道では玉串奉奠(たまぐしほうてん)、キリスト教では献花を行います。
玉串奉奠は、榊の枝に紙垂(しで)という紙をつけた玉串を時計回りに180度回転させ、根元を祭壇に向けて捧げます。
献花は白い花を受け取って、時計回りに回転させ根元を祭に向けて献花台にお供えします。
無宗教(自由葬やお別れ会)では故人や遺族の意向に沿って、仏式に準じた焼香を行う場合もありますし、献花を行う場合もあります。
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お焼香のやり方│立礼焼香以外のやり方焼香
立って行う立礼焼香が最も一般的ですが、座例焼香と回し焼香という焼香の仕方もあります。
お葬式を行う場所によってもどの焼香を行うのかが変わってきますので2つのやり方を詳しく見ていきましょう。
座って行う「座礼焼香」
自宅や寺院など畳敷きの部屋では、座ったまま焼香をする「座礼焼香」をする場合もあります。
座礼焼香も、自分が座っている場所から焼香台に移動して焼香をするので、基本的な流れは立礼焼香と同じです。
しかし、焼香台が自席から近い場合は、立ち上がらずに手を前について膝を使って移動します。
自席から遠い場合は、中腰で移動します。
また、座布団に座る際には、軽く一礼をします。
その他の所作は立礼焼香と同じです。
焼香台をまわしていく「回し焼香」
回し焼香は、式場となる場所が狭い場合などに座ったまま行う焼香です。
焼香炉を乗せたお盆を順番に回すケースや、焼香炉がのったカートを回すケースなどがあります。
香炉を前の人から受け取る・渡す際には会釈や一礼をしましょう。
椅子席で、お盆の上に香炉がのっている場合は、膝の上で焼香を行う必要があります。
ひっくり返してしまわないよう、慌てずに注意して行うようにしましょう。
祭壇に向かって一礼をしてから焼香・合掌までは「立礼焼香」「座礼焼香」と同様に行います。
お焼香のやり方│その他の焼香の意味
焼香は喪主から始まり、その後故人と関係が近い遺族から順番に行い、さらに一般参列者が行うというのが一般的な流れですが、全員が焼香しないなどイレギュラーもあります。
代表焼香
代表焼香は、故人や遺族と関係がある会社や団体の代表となる方が1名、もしくは数名のみが焼香することです。
例えば、故人が所属していた企業の従業員全員が焼香をすると時間がかかってしまうので、会長や社長などが代表して焼香をします。
式が長時間になるのを避けるため、代表の焼香に合わせてその他の従業員はその場で手を合わせます。
代表焼香が指名焼香となる場合も多いです。
指名焼香
指名焼香は、故人や遺族と関係がある会社や団体の代表、知事や市町村長、議会議員、町内会の代表などを葬儀の来賓として指名し、焼香してもらいます。
指名焼香の際には、司会者より名前が呼ばれます。
指名焼香がある際には、「喪主焼香→遺族焼香→指名焼香→一般焼香」の順で行うのが一般的です。
指名焼香を行うかどうかや、指名の順序は喪主・遺族が決めることができます。
基本的には故人と関わりが深い方から指名するのが良いですが、迷った際には葬儀社の担当者に相談するのが良いでしょう。
止め焼香
西日本では「止め焼香」を行う場合もあります。
止め焼香は、親族の中から一人代表者を選び、その代表者が親族焼香の最後、もしくは一般参列者も含めた最後に焼香を行うことを指します。
故人と比較的近しい方の焼香を後にすることで、焼香の順序は順不動であることを理解してもらい、焼香の順番でトラブルを避けるためです。
また、「不幸を止める」という意味が込められているともいいます。
指名焼香を行う方に止め焼香をお願いするケースもあるようです。
お焼香をあげる際の注意点
焼香は故人の冥福を祈る、大切な儀式です。
最低限の焼香マナーを確認し、正しい形で故人を見送りましょう。
数珠を忘れない
数珠は忘れずに持っていくようにしましょう。
葬儀の開式前には、鞄やポケットから出して準備しておくようにします。
自分の順番が来てから慌てて出すと、式中に不要な音を出してしまうこともありますので避けましょう。
略式数珠であれば、房が真下に垂れるように左手(もしくは両手)の親指と人差し指の間にかけて合掌をするのが一般的です。
本式数珠の持ち方は、宗派によって様々です。
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荷物はなるべく持たない
お焼香をする際は、基本的に数珠のみを持って行うことがマナーです。
葬儀に参列する際、貴重品は鍵のかかるロッカーなどに入れ、大きな荷物はクロークに預けて、手荷物は最小限にします。
弔問のみの場合、焼香台の前に手荷物置き場が設けられているなら、そちらを利用しても良いでしょう。
マスクは外す
葬儀にマスクをつけていくことはマナー違反ではありません。
感染症が気になる場合や、風邪や花粉症でくしゃみや咳が出てしまう場合には、不特定多数の方が出入りする場所なので、つけていた方が良いでしょう。
しかし、マスクを外せる場合は焼香や受付の時だけでも外すのがおすすめです。
その際、マスクを顎に引っかけているのはだらしがなく見えてしまいます。
外すのであれば、外したマスクはポケットか鞄にしまうのが良いでしょう。
お焼香は宗派ごとのやり方を気にして焦るよりも、故人を偲ぶ気持ちを大切に
いざ、葬儀に参列して焼香をしようと思うとマナーや回数が気になって焦ってしまう方もいるかもしれません。
宗派によって焼香の仕方は様々ですし、式場や参列者の状況によって臨機応変に対応しなければなりません。
慌ててしまうと、作法を忘れてしまうこともあるかもしれませんが、一番大切なのは「故人の冥福を祈り、心を込めて焼香をする」ということです。
もし当日、所作を忘れてしまったとしても、遺族や周囲の方への配慮や思いやり、そして故人を偲ぶ行動を心がけましょう。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
・一級葬祭ディレクター
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。