遺骨を自宅に保管するのは良くない？置き方や家に置きっぱなしでも良いか紹介
「大切な故人をいつも身近に感じたい」という思いから、遺骨の自宅保管を希望する人も珍しくありません。
本来、遺骨はお墓に納骨するのが一般的なため「法的にも良くないのでは」と不安を覚えますよね。
本記事では、遺骨の自宅保管の可否や、注意点などを紹介します。
遺骨を自宅で保管すると良くない？
遺骨は四十九日法要の際に、お墓や納骨堂などに納骨するのが一般的です。
しかし、現代では供養の仕方も多様化しているため、納骨せず自宅で保管したいと思う人もいるでしょう。
まずは、遺骨の自宅保管が良くないかどうかを解説していきます。
法的には問題ない
遺骨を納骨せずに自宅で保管するのは、法的には問題ありません。
「遺骨を埋葬・納骨する場所」に関する法律は存在しますが、自宅での保管は違法にならないため、法には触れていないのです。
ただし、公共の場所での保管は違法となるため、必ず自宅で保管しましょう。
納骨と成仏は関係ない
「きちんとお墓や納骨堂に納骨しないと、成仏できないのでは」と考える人もいるでしょう。
しかし、仏教において「納骨＝成仏」という考え方はありません。
成仏の概念は宗教によっても異なりますが、多くの宗派では「四十九日を過ぎたら成仏する」と考えられ、浄土真宗では「亡くなったら成仏する」とされています。
よって、遺骨の自宅保管は、成仏することとは関係がないといえるのです。
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遺骨を自宅で保管するのが良くないとされる理由は？
法律的には問題なく、成仏とも関係のない遺骨の自宅保管。
しかし「納骨するのが一般的」というイメージから、納骨しないことに抵抗を感じる人がいるのも事実です。
ここでは、遺骨の自宅保管が良くないとされる理由を解説します。
遺骨を自宅で保管=違法というイメージがあるから
遺骨をきちんと納骨せず、自宅で保管することに対して、違法なのではというイメージを持つ人も少なくありません。
しかし、法律では遺骨を自宅の庭などに埋葬するのは違法とされているものの、自宅で保管しておくのは問題ないとされています。
「納骨しないのは違法」というのは誤解なので、安心して大丈夫です。
縁起が悪く感じるから
「忌明け後はお墓に納骨する」という、昔からのしきたりを守らないことに「縁起が悪い」と感じる人もいます。
確かに、四十九日法要を済ませた後は、お墓や納骨堂に納骨するのが一般的です。
しかし、現代ではさまざまな供養方法があり、自宅での保管を希望する人も増えてきています。
成仏とも関係なく、縁起が悪いと言われる根拠はどこにもありません。
来客者に気を遣わせるから
リビングや仏間など、遺骨を保管する場所によっては来客者の目につきます。
供養に対する考え方は人それぞれなので、相手に気を遣わせたり、納骨していないことを良く思われなかったりする可能性もゼロではありません。
そういった来客者への配慮が、遺骨の自宅保管が良くないとされる理由につながっています。
供養方法は各家庭の自由なので、家族間で納得していれば問題ありませんが、来客が多い場合は保管の仕方を工夫すると良いかもしれません。
遺骨はいつまで家に置きっぱなしにできる？
火葬した遺骨を納骨しなければならない時期は、法律で定められていません。
四十九日や一周忌の法要を済ませた後に納骨するのが一般的ですが、あくまで一つの区切りなだけで、特に決まっているわけではないのです。
つまり、いつまでも納骨せず、家に置きっぱなしにしていても問題ありません。
気持ちの整理がついた数年後に納骨する人もいれば、納骨せず自宅供養を選択する人など、各家庭で供養方法を決められます。
自宅に遺骨を安置する時の保管方法は？
遺骨を自宅保管する場合、どのように安置するべきなのか疑問に感じますよね。
保管の仕方についても特に決まりはありませんが、基本的に以下のような方法で安置されることが多いです。
ここでは、自宅での遺骨の保管方法について解説します。
仏壇に安置する
自宅に仏壇や仏間がある場合、そのスペースで遺骨の保管が可能です。
遺骨を置く場所を新しく作る必要がなく、遺骨を持ち帰ってからすぐに手を合わせられます。
ただし、仏壇とは本来、信仰対象である仏像の「ご本尊」を第一に祀るためのものなので、遺骨をいつまでも置いておくのは適しません。
また、すでにご先祖様のお位牌があり、遺骨を置くスペースがない場合は、別の場所で管理しましょう。
後飾り祭壇を再利用する
後飾り祭壇とは、火葬後に骨壺に収納した遺骨を、納骨まで一時的に祀る祭壇のことです。
四十九日の法要を済ませ、納骨する際に解体するのが一般的ですが、遺骨を自宅で保管する場合は、そのまま後飾り祭壇を利用して安置する人もいます。
主に2〜3段式で作られており、部屋のスペースに合わせて大きさを決めると良いでしょう。
供養場所を新たに作る
自宅のスペースが限られている場合、供養場所を新しく作る方法もあります。
また、故人をいつも身近に感じられるように、過ごす時間の長いリビングに遺骨の保管を希望する人も少なくありません。
洋風・シンプルな骨壺や、家具の上に置けるコンパクトな仏壇など、デザイン性の高い商品を選ぶと、インテリアにも馴染むでしょう。
リビングは来客の目にもつきやすいので、気を遣わせないためにも、遺骨とは分からないスタイルの骨壺を選ぶのがおすすめです。
手元供養をする
骨壺を安置する場所がなかったり、自宅に置きっぱなしにしたりすることに抵抗がある場合は、手元供養品を使いましょう。
手元供養とは、粉骨した遺骨の一部を、身近な場所で供養することです。
遺骨を入れた遺骨ペンダントや、持ち運びできるミニ骨壺など、常に故人を身近に感じられるアイテムがたくさんあります。
また、遺骨を分けて保管する分骨に対し「良くない」と思う人もいるかもしれませんが、迷信とされているので、気にしなくて大丈夫です。
遺骨を自宅で保管する時の置き方は？
信仰する宗教によって、決まりやしきたりが異なりますが、遺骨の置き方についても違いはあるのでしょうか。
ここでは、後飾り祭壇を用いた場合の、遺骨の自宅保管方法を解説します。
仏式
仏式の後飾り祭壇は2段式がよく用いられますが、お供え物が多かったり、スペースに余裕があったりする場合は3段式でもかまいません。
2段式の場合は、上段の中央に遺骨を納めた骨壺を置き、遺影や戒名を記したお位牌を置きます。
下段には、香炉・おりん・ろうそくを配置しましょう。
もし3段式を使う場合は、最上段の中央に骨壺、隣にお位牌を置き、中段に遺影、下段に香炉・おりん・ろうそくを置きます。
お供え物や仏花は空いているスペースに配置してかまいませんが、骨壺を汚さないためにも、骨壺と同じ段には置かないようにしましょう。
※配置はあくまでも一例です
神式
神式はお供え物が多いため、3段式の後飾り祭壇を使用するのが一般的です。
最上段に遺骨を納めた骨壺と遺影、中段の中央には霊号を記した霊璽(れいじ)を置き、その両脇に榊を祀ります。
下段には、中央に水・洗米・塩・酒を乗せた三方を置き、その両脇にろうそくを配置、玉串も置きましょう。
玉串は、葉汁が布に染み込まないためにも、玉串置きを用意してください。
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キリスト教式
キリスト教式の場合、1〜3段式など特に決まりはありませんが、白い布で覆った2段式の後飾り祭壇を使用することが多いです。
上段の中心には十字架を置き、その両脇にろうそくを立てた燭台を置きます。
下段には、遺骨を納めた骨壺・遺影・聖書を並べ、献花やお供えのパンなどを置くのが一般的です。
遺骨を自宅で保管する時に気を付けることは？
遺骨は正しく保管しなければ、湿気を含んでカビが発生しやすくなります。
いつまでも綺麗な状態を保つためにも、大切に管理しましょう。
ここでは、遺骨を自宅で保管する際の注意点を解説します。
直接触らないようにする
遺骨には、火葬台の素材によって「六価クロム」という有害物質が含まれる場合があります。
六価クロムとは非常に強い酸化作用を持つ物質のことで、接触すると有機物を酸化させるため、皮膚炎やがんの原因になり得るのです。
しかし気化するものではないため、自宅で保管しておいても人体には影響を及ぼしません。
遺骨を納めたアクセサリーを身に着けても、物質が滲出することはないでしょう。
ただし、遺骨を直接触らないようにだけ注意が必要なので、小さい子供やペットがいるご家庭は気をつけてください。
粉骨にしてから安置する
火葬後の遺骨は、そのままの状態で保管しようとすると、サイズが大きくかさばります。
骨壺もその分大きく場所をとるため、自宅に置く場合は粉骨し、容量を減らしてから保管する人が多いようです。
ただし、一度粉骨した遺骨は、元の状態には戻せません。
遺骨を粉々にすることに抵抗を覚える親族がいる可能性もあるため、家族間でよく話し合ってから決めましょう。
粉骨する際は、事前に葬儀社に相談しておくか、粉骨業者に依頼します。
結露しにくい所に安置する
遺骨を自宅保管する場合、結露しにくい場所を選んで置きましょう。
真夏や真冬など、冷暖房により気温差が激しいと、骨壺にも結露が起こる可能性があります。
内側に水が溜まるとカビの原因になることもあるため、冷暖房が直撃する場所や水回りは避けるようにしてください。
乾燥剤や、吸湿効果のある珪藻土(けいそうど)など、骨壺用のグッズを利用するのもおすすめです。
日が当たらず風通しの良い所に安置する
「湿気を防ぐなら直射日光のあたる場所がいいのでは？」と思う人もいるかもしれません。
しかし日光による、骨壺の内側と外側の温度差も、遺骨を傷ませる原因となります。
日が当たらず、風通しの良い場所を選ぶと湿気を含みにくく、遺骨の保管場所として最適です。
また、遺骨が外気に触れると、空気中に浮遊する埃やハウスダストが付着したり、湿気を吸収したりしてカビやすくなる可能性があります。
密閉できる骨壺を選び、不用意に開けないようにしましょう。
遺骨を自宅に保管しない時はどうする？
遺骨の自宅保管は、供養する人がいてこその選択です。
居住環境の変化や、自宅で供養する人がいなくなった時は遺骨をどうするのか、あらかじめ考えておきましょう。
最後に、自宅に保管していた遺骨の納骨方法や、供養の仕方を紹介します。
お墓を建立する
先祖代々のお墓がない場合、新しくお墓を建立して納骨する方法があります。
「〇〇家の墓」という家単位で継承するお墓が一般的ですが、1人で入る個人墓や、夫婦で入る夫婦墓などの選択肢も可能です。
出向いて供養するとともに、故人と向き合えている実感が湧きやすいのが良い点ですが、定期的な掃除や年間の維持管理費など、遺族の負担も生じます。
墓石の費用相場は60〜200万円で、石材の種類やデザインによって大きく左右するのが特徴です。
納骨堂に安置する
骨壺を納める専用スペースがあるお堂のことを、納骨堂といいます。
主に墓地や寺院が管理しており、室内なのでお参りの際も天候に左右されないこと、手入れがほぼいらず清潔を保てることがメリットです。
ロッカー式や位啤式、自動搬送式など、施設によって種類が豊富で、費用もそれぞれ異なります。
ただし需要の増加により、決められた安置期間が終了した後は、永代供養墓に合祀するケースが増えているため、事前によく確認しておきましょう。
永代供養を依頼する
今後供養する人がいなくなりそうな場合は、永代供養を依頼するのがおすすめです。
お墓の管理・納骨後の供養などの全てを、墓地や寺院に一任する方法で、宗教を問わず依頼できます。
費用は前払いとなっており、年間管理料も不要なので、継承者がいなくなっても安心です。
主に、1人分を納骨する「個別墓」、4〜6人の遺骨を納められる「家族墓」、他人の遺骨と同じ場所に埋葬する「合祀墓」などがあります。
最も費用を抑えられるのは合祀墓ですが、納骨した後は遺骨を取り出せないことを覚えておきましょう。
散骨する
散骨とは、粉骨した遺骨を山や海に撒く方法です。
穴を掘って埋める行為の埋葬は、墓地など指定されている場所でなければ墓地埋葬法に違反しますが、撒いて行う散骨は法的に問題ありません。
ただし、山に撒く場合は土地所有者の許可が必要で、海に撒く場合もルールやマナーを守る必要があります。
また、六価クロムの無害化処理や、2mm以下のサイズになっているかの確認も欠かせないため、絶対に自分で行わず専門業者に依頼しましょう。
樹木葬にする
樹木葬とは、樹木や草花を墓標代わりにして埋葬する納骨方法です。
主に山林に埋葬して植樹する「里山型」、シンボルツリーの周囲に埋葬する「公園型」、低木・草花が植えられた周りの区画に埋葬する「ガーデニング型」があります。
個別型・集合型・合祀型など、さまざまな埋葬方法があるので、家族間で納得できる納骨方法を選びましょう。
また、樹木葬は自然に還ることを目的としているため、一般的に骨壺は入れず、遺骨のみを埋葬します。
後から気が変わっても、遺骨は戻せないため、注意が必要です。
遺骨は自宅で保管しても問題ない。「成仏できない」は迷信なのでご安心を
遺骨の自宅保管は法的に問題なく、納骨しなければならない時期も決められていません。
成仏できるかどうかとも一切関係ないため、各家庭の判断で供養の仕方を決めて大丈夫です。
遺骨の保管方法には注意し、いつまでも綺麗な状態を保てるように、大切に管理しましょう。
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