直葬(火葬式)の流れは?手順や葬儀にかかる日数を解説
お通夜や告別式などを省き、火葬のみを執り行って故人を見送る直葬(火葬式)。
一般葬よりも準備の手間が軽減できる葬儀形式ですが、事前の手続きや注意点も知っておかなければなりません。
本記事では、直葬の流れや葬儀にかかる日数、得ておくべき知識を紹介します。
直葬(火葬式)とは?
直葬(火葬式)とは、お通夜や告別式などの儀式を省略して、火葬のみを執り行う葬儀形式のことです。
基本的には家族や親族、生前親しかった友人などの数名が参列します。
一般葬よりも準備や手配の手間が軽減されるほか、費用相場も10万〜25万円ほどに抑えられるのがメリットです。
かかる日数としては、最短でご逝去日の翌日に火葬となります。
身体的にも金銭的にも遺族の負担が少なく、参列者への対応を気にせずに故人と向き合える見送り方として、近年需要が高まっている葬儀形式です。
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直葬(火葬式)の流れ
さまざまな儀式を省く分、直葬(火葬式)は一般葬よりもシンプルな手順で行われます。
流れや必要な手続きについて事前に知っておくと、故人が亡くなられたあともスムーズに対応できるでしょう。
ここでは、一般的な直葬の流れを解説するので、ぜひ参考にしてください。
ご臨終
病院でお亡くなりになられたら、医師から死亡診断書が発行されます。
在宅医療中などにより自宅でご臨終を迎えた場合は、かかりつけ医に連絡し、指示を仰ぎましょう。
死亡診断書は火葬の際に必要となるので、紛失しないように注意してください。
事前に決めている葬儀社がある場合は電話し、ご遺体の搬送手配をします。
電話対応は24時間行っている葬儀社がほとんどのため、深夜や早朝でも連絡可能です。
葬儀社を決めていなかった場合は病院側から紹介されるケースもありますが、料金やサービス面で納得できるとは限りません。
後悔のないお別れにするためにも、事前に葬儀社の候補を絞っておくことをおすすめします。
お迎え
葬儀社への連絡後、専用の寝台車が病院にお迎えに来て、安置場所まで搬送してくれます。
安置場所は、自宅や葬儀社の安置室が一般的です。
自宅で故人を看取り、そのまま安置する場合はお迎えの手配は不要となります。
なお、葬儀社が定める規定範囲を超える移動距離だった場合、追加料金が発生する可能性もあるでしょう。
病院や自宅から遠い葬儀社を選ぶ際は、事前に伝えておき、見積もりを出してもらうと安心です。
安置
ご遺体の火葬は「逝去後24時間を経過しなければ執り行えない」という法律があるため、自宅や葬儀場などで安置します。
「自宅に安置するスペースがない」「集合住宅に住んでいて棺が通れない」などといった場合は、事前に葬儀社に伝え、安置室を利用しましょう。
火葬までの間は故人との最期を過ごしながら、葬儀社との打ち合わせをします。
また、火葬するには、埋火葬許可証が必要です。
死亡診断書と一体になった死亡届に必要事項を記入し、役所に提出して埋火葬許可証の交付を受けてください。
死亡届・死亡診断書は届け出ると返却してもらえないので、提出前に10枚ほどコピーしておき、後日保険金の請求や携帯電話の解約などに使用します。
※地域によっては、許可証の名前が異なる場合がございますので、ご不安な場合は事前にご確認をお願いいたします。
納棺・出棺
火葬当日を迎えたら、納棺・出棺です。
遺族立ち合いのもと、湯灌や仏衣への着替え、死化粧などの儀式を葬儀社スタッフが行い、ご遺体を棺に納めます。
棺の中には、花や思い出の品、故人が好きだったものを副葬品として入れられますが、金属・ガラスなどの不燃物をはじめとした一部のものはNGです。
一緒に入れたいものがある方は、葬儀社に事前に確認しておくとトラブルを避けられるでしょう。
火葬場での宗教者の読経や焼香を行わない場合、ほぼこのタイミングで故人とのお別れとなります。
最期のひと時を過ごしたら出棺し、霊柩車で火葬場へと向かいます。
火葬
ご遺体が火葬場に到着したら、火葬炉の前で故人とお別れします。
遺族の希望により宗教者を呼ぶ場合は、読経や焼香などの儀式がすべて終わった後に火葬を執り行う流れです。
火葬が終わるまでは1時間程度かかるのが一般的で、その間は控室で過ごします。
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お骨上げ
お骨上げとは、火葬を済ませた遺骨を骨壺に納める儀式のこと。
「骨揚げ」「収骨(拾骨)」とも呼ばれており、内容は同じものです。
一般的には喪主からはじまり、血縁の深い順に2人1組で遺骨を納めていきます。
最後に喉仏を納めたら終了となり、骨壺が喪主に手渡されるのが直葬の流れです。
また、火葬場に提出した埋火葬許可証に「火葬執行済」の印が押され、直接手渡されるか、骨壺を納める桐箱に同梱する形で返却されます。
この書類は納骨の際に必要となるので、大切に保管しましょう。
直葬(火葬式)をすると納骨はどうなる?
納骨する日に決まりはありませんが、一般的には四十九日を過ぎたあとに納骨を行うケースが多いです。
海への散骨や樹木葬など、納骨の仕方も多様化していますが、やはりお墓への納骨を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
先祖代々からお世話になっている菩提寺がある場合、直葬で弔うことを相談していなければ、高確率で納骨を断られます。
菩提寺とのトラブルを避けるためにも、必ず事前に相談しておきましょう。
直葬(火葬式)をおこなうときの注意点
少子高齢化や核家族化などの問題により、直葬を選ぶ人は年々増加傾向にあります。
しかし、さまざまな儀式を省略している分、気をつけなければならないポイントもあるのです。
直葬(火葬式)をおこなうときの注意点や、よくあるトラブルを紹介していきます。
費用について
直葬の費用相場は、約25万円です。
しかし、あくまで基本料金なので、以下のような場合は追加料金が発生する可能性があります。
- 搬送の移動距離が規定を超えている
- ドライアイスの使用日数が増える
- 宗教者の供養や戒名授与をお願いする
火葬場が混雑していたり、六曜の友引と重なったりする場合、すぐに火葬できない可能性があります。
その際はドライアイスの使用日数が増え、追加料金が発生するのです。
また、遺族の希望により、宗教者の読経や焼香、戒名授与をお願いする場合は、宗教者にお布施代を支払う必要があります。(平均20万円~)
「予算よりも高額になった」という事態を防ぐためにも、支払総額をしっかり把握しておきましょう。
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菩提寺について
お通夜や告別式などの宗教儀式を省き、簡潔に故人を見送る直葬は、菩提寺の住職からの理解をあまり得られません。
無断で直葬して納骨を依頼しても、拒否されるだけでなく、先祖代々のお墓の移転などトラブルに発展する可能性があるのです。
直葬を検討する段階で必ず菩提寺に相談して、了承を得てから直葬を執り行いましょう。
また、直葬でも、火葬炉の前での読経や、戒名授与の依頼は可能です。
依頼すれば納骨を受け入れてもらえるかもしれないので、菩提寺との良好なつながりを保つためにも、できる限りお願いするようにしましょう。
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葬儀社について
直葬費用やプランに含まれる内容は、葬儀社によって異なります。
例えば10万円を下回るほどの格安プランを選んだとしても、最低限の内容しか含まれておらず「結局オプションの追加が必要だった」という可能性があるのです。
料金の安さにばかり注目して考えてしまうと、サービスの質やスタッフの対応に不満が残ることも十分にあります。
金銭面は確かに重要ですが、故人とのおだやかなお別れにするためにも、複数の葬儀社で出してもらった見積もりを比較しましょう。
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直葬(火葬式)についてよくある質問
新しい見送り方の一つである直葬に関して、まだまだ疑問点がある方も多いのではないでしょうか。
最後に、直葬(火葬式)についてのよくある質問をまとめました。
いざというときに慌てないためにも、直葬のマナーや詳細をしっかりと理解していきましょう。
直葬はどんな服装で行くべき?
一般的なお葬式と同じく、男女ともに喪服を着用して参列します。
男性はブラックスーツに白色のワイシャツ、ネクタイは黒色を選ぶのが基本マナーです。
女性は、ワンピースやアンサンブルなど、光沢のないブラックフォーマルを着用します。
ストッキングは20〜30デニールの黒色が最適で、可能であればネイルを落として参列するようにしましょう。
直葬はお坊さんを呼ぶ?
直葬は、基本的に僧侶を呼ばずに見送る葬儀形式なので、お坊さんを呼ばなくても執り行えます。
しかし、呼んではいけないという決まりはないため、希望する場合は依頼し、読経してもらうことも可能です。
昔からお世話になっている菩提寺がある方は菩提寺の住職に、菩提寺がない方は葬儀社に紹介してもらい、依頼しましょう。
直葬にすると各法要はどうなる?
法要とは、僧侶による読経で故人を供養する宗教儀式のことです。
初七日や四十九日からはじまり、一周忌、三回忌…と続いていくのが一般的となっています。
しかし、直葬はお通夜や告別式などの宗教的な儀式を省くため、各法要は行わないことが多いです。
もちろん、法要を行うのがNGというわけではないので、行いたい場合は僧侶に依頼しましょう。
直葬の場合は戒名をつけられない?
菩提寺に納骨する場合、戒名は必須となります。
直葬でも戒名授与は受けられるので、希望する際は事前に菩提寺に相談しましょう。
公営墓地に納骨する方や、散骨・樹木葬などの自然葬を選ぶ方は、基本的に戒名は必要ありません。
しかし、故人供養のために戒名を授けてもらいたい場合、葬儀社に紹介してもらった寺院で戒名授与を受けられるケースもあります。
直葬で食事はおこなう?
通夜振る舞いや精進落としなどの会食がある一般葬とは違い、直葬は基本的に食事がありません。
しかし、葬儀社によっては火葬の待機中に食事を用意してくれたり、火葬場にレストランが併設されていたりする可能性もあります。
参列者への振る舞いの意味も込めて食事の場を設けたい場合は、事前に確認しておきましょう。
直葬の流れや注意点を知って後悔しないご葬儀を
宗教儀式を省いて執り行われる直葬は、お通夜や告別式を行う一般葬とは、流れが大きく異なります。
菩提寺との関わりや費用面などといった注意点もあるため、事前にしっかり菩提寺に相談し、読経を依頼する際はお布施代も合わせて見積もりましょう。
葬儀社選びは慎重に行い、後悔のないお別れを執り行ってくださいね。
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