検死とは?検視との違いやかかる時間・費用・家族がすべきことを解説
ニュースやドラマなどでよく耳にする「検死」。
親族が亡くなった際に必要だと言われたけれど、どんなものなのか分からず困惑している人も多いでしょう。
この記事では、検死とは何なのかに加え、かかる時間・費用やすべきことを解説します。
検死とは?検視・検案・解剖の違い
検死とは、事件性の有無の判断や、死因の究明を行う一連の流れを意味する言葉です。
法律用語ではないため曖昧な部分もありますが、主に「検視」から「検案」「解剖」までの手続きをひとまとめにした言葉として使われています。
ここからは、検死と関連が深い「検視」「検案」「解剖」について解説します。
検視
「検視」とは、死亡現場やご遺体の状況を調べ、事件性の有無を判断する刑事手続のことです。
主に警察官や検視官、検察官が行うもので、継続的に治療していた病気で亡くなった場合や、自然死である場合以外は基本的に実施されます。
事件性が高い場合だけでなく、災害による死や自殺といった、事件性が薄いシーンで実施されるのも特徴の1つ。
「検死」とよく似ていますが、こちらは警察官や検視官による調査を意味しているので、混同しないよう注意しましょう。
検案
医師がご遺体の外表を診察し、死亡推定時刻や死因を推定する行為が「検案」です。
「死体検案」とも呼ばれ、診察結果と検視で得た情報、病歴を参照しながら推定を進めます。
この時点で死因が問題なく確定できれば、亡くなられたことを医学的・法律的に証明する書類「死体検案書」が発行され、検死は終了です。
死因が分からない場合に関しては、次に紹介する解剖へと移行します。
解剖
名称 | 拒否 | 目的 |
司法解剖 | × | 事件性が疑われるご遺体の死因の特定のために行う解剖 |
行政解剖 | × | 事件性はない・低いと断定されたご遺体の死因究明のために行う解剖 |
新法解剖 | × | 事件性はないと断定されたご遺体の死因究明のために、警察署長・海上保安部長の判断で行う解剖 |
病理解剖 | ◯ | 病気で亡くなったときに、診断の妥当性や治療の効果を確かめるために行う解剖 |
承諾解剖 | ◯ | 主に医学生などの教育のために行う解剖 |
「解剖」は、犯罪性や死因が断定できないときに実施される手続きです。
解剖には複数の種類があり、拒否の可否や目的が種類によって異なります。
拒否できないものは、犯罪性が疑われる場合に行う「司法解剖」、事件性は低いものの死因の究明が必要な場合に行う「行政解剖」と「新法解剖」の3種。
拒否できる解剖は、診断の妥当性や治療の効果の確認のために実施する「病理解剖」、死因究明や医学生への教育のために行う「承諾解剖」の2種となっています。
いずれも聞き慣れない言葉ではありますが、心の準備や意思決定をする際に役立つので、ぜひ覚えておきましょう。
検視が必要になるケースとは?
検視が必要となるのは、以下のケースです。
- 病死・自然死の断定ができない
- 病院外の病死・自然死で主治医と連絡が取れない
- 事故で亡くなった
- 災害で亡くなった
- 事件性が疑われる
- 指定感染症や中毒など治療中でない病気による突然死
- ご遺体の身元が分からない
- 自殺
「検視」と聞くと、事件を思い浮かべるかもしれませんが、実は幅広いシーンで行われています。
事件性が薄いケースでも実施されるため、検視が必要と言われても必要以上に慌てず、落ち着いて対応しましょう。
実施しないのは、病死・自然死であることが明らかでかつ、主治医が死亡診断書を発行できるケース。
このケースでは、事件性の有無や死因がハッキリとしており、警察への届出も不要なため検視は行われません。
基本的に検視は拒否できない
検視は、基本的に拒否はできません。
これは刑事訴訟法229条にて、必要性が認められているためです。
そのため、必要になるケースに当てはまる場合や、主治医がいない場合、何らかの異常があるケースでは、検視が実施されることになります。
万が一応じないとトラブルに発展することもあるので、検視官や警察官の指示には従いましょう。
また、解剖に関しては先ほど紹介した通り、承諾解剖や病理解剖であれば拒否ができます。
【手順】検死では何をする?
検死や関連する事柄は分かったけれど、具体的に何が行われるのかが分からないという方も多いでしょう。
そこで次は、検死では何をするのかを紹介します。
ケース別の流れや注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
警察による現場の調査・ご遺体の搬送
検死で最初に実施されるのが、警察による現場の調査です。
この調査では、主に亡くなられた場所の状況確認や、状況の記録、証拠保全などが行われます。
基本的に警察に全て任せていれば大丈夫ですが、ご遺体に触れたり、現場を荒らしたりすると捜査の妨げとなるので注意しましょう。
調査が終わったら、ご遺体は警察署の霊安室に搬送されます。
警察によるご遺体の調査
ご遺体の搬送が終わったら、次は警察によるご遺体の調査が行われます。
調査を行っても犯罪性の有無や死因が分からない場合は、検察官による「検視」へ、犯罪性がないと判断されれば「死体見分」が行われた上で「検案」へと移行します。
医師による死因の診断
警察によるご遺体の調査や検視の結果、事件性がないと判断された場合に実施されるのが「医師による死因の診断」です。
こちらは先ほど紹介した「検案」そのもので、この診断の後に死亡推定時刻や死因が記載された「死体検案書」が発行されます。
また、検案を行っても死因が分からなかった場合は「行政解剖」が実施されます。
斎場・自宅へのご遺体の搬送
検視や検案が終わったら警察が手配した葬儀社、またはこちらで契約した葬儀社によってご遺体が搬送されます。
搬送先は斎場と自宅のいずれかが選べるので、いざというときに慌てないためにも事前に決めておきましょう。
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検死にかかる時間・日数は?
警察による調査や医師による診断など、さまざまな物事が行われる検死。
では、どのくらいの時間・日数がかかるものなのでしょうか?
次は、検死にかかる時間・日数を紹介します。
検視のみなら半日~1日程度
検視は、事件性がない限りは半日〜1日程度で終了します。
そのため、検視のみで完結するのであれば、検死も比較的早く終わるでしょう。
このパターンに該当するのは、自宅で逝去したものの、即座に主治医に連絡がつかず、搬送先の医師に死亡診断書の発行ができなかったケースなどがあげられます。
検案まで必要なら半日~3日程度
検案まで必要な場合の日数・時間は、半日〜3日程度です。
こちらは主に、検視で事件性がないと判断されたケースや、交通事故で亡くなられたケースなどが該当します。
「検視→検案」の順に行い、検案によって死体検案書が作成された後、遺族のもとにご遺体が搬送されます。
解剖まで必要なら数日~1ヶ月以上
解剖まで必要な場合、とくに司法解剖が行われる場合は、数日〜1ヶ月以上かかることがあります。
ご遺体の移動や手続きに時間がかかるため、最低でも数日ほどの時間が必要です。
解剖で不審な点が見つかった場合は1週間以上かかり、DNA鑑定が必要となると約10日以上、遺体の損傷が激しい場合には、1ヶ月以上かかることもあります。
なかには、事件性がないものの解剖が必要なケースなど、1日半程度で終わるものもありますが、基本的に、解剖までとなると時間がかかると覚えておきましょう。
検死にかかる費用は自費?
検死で実施される「検視」は、法律に基づいて実施されます。
そのため、基本的に費用は発生しません。
「検案」に関しては3万円〜5万円程度が相場で、ご遺体の搬送に関する費用がプラスされる場合には、10万円ほどになることもあります。
ただし、検案料を全額負担、一部負担してくれる地域もあるので、ハッキリとした助成額を知りたい場合には、自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
「司法解剖」の費用は国の全額負担です。
「行政解剖」や「承諾解剖」に関しては、地域によって遺族負担(8万円〜12万円ほど)なのか、公費負担なのかが異なります。
検死中に家族がすべきこと
警察を中心に進められる検死ですが、家族がすべきことは何かあるのでしょうか?
できれば、事前にすべきことを把握して、手続きや準備をスムーズに進めたいですよね。
そこで最後に、検死中に家族がすべきことを紹介します。
葬儀社を決める
ご遺体が戻ってくる前にやっておきたいことが、葬儀社の決定です。
警察から紹介された葬儀社を利用しても良いですが、やはり、事前に葬儀社を決めておいた方がお葬式の準備をスムーズに進められます。
また、葬儀社を比較する時間、担当者と話し合う時間も十分にあるので、より満足度の高い葬儀にできるでしょう。
必要書類や、ご遺体の安置所について相談できたり、葬儀社によってはご遺体の受け取りをお願いできたりするので、早めに葬儀社を決めるメリットは意外に多いのです。
必要な物の準備
- 受取人と故人の身分証明書
- 印鑑
- 必要費用(現金)
- 故人を包むタオルや着替え
ご遺体の引き取りの際に必要となる物の準備も、検死中にすべきことの1つです。
事前に必要な物を準備しておけば、検死終了の連絡が入ってから、すぐにご遺体の引き取りに向かえます。
慌てて準備する場合より、忘れもののリスクを減らせるのもポイントです。
検死となると気持ちが落ち着かないものですが、必要な物は早めに準備しておきましょう。
検死から葬儀までのサポートはゲートハウスにご相談を
検死とは、検視から検案、解剖までの一連の流れをひとまとめにした言葉です。
事件性の有無や死因を判断するために必要なものですが、遺族の心理的・経済的な負担になりやすくもあります。
もし必要となった場合は、全体の流れや待機中にすべきことを確認し、冷静に対応を進めましょう。
落ち着いて1つずつ確認することで、心理的な負担を多少なりとも軽減できます。
検死から葬儀までをサポートして欲しい方や、葬儀社を早めに決めておきたい方は家族葬のゲートハウスにお気軽にご相談ください。
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