末期の水(死に水)の意味・読み方は?やり方や順番・やらなかった時について解説
「末期の水」は、故人の安らかで穏やかな旅立ちを願って行う大切な慣習です。
しかし具体的な手順を知らない、または「末期の水」の存在自体を初めて知る人も少なくないことでしょう。
そこで今回は「末期の水」を行う理由や、実施するにあたって必要なもの・実際の流れを解説します。
末期の水(死に水)の意味・読み方・由来
「末期の水(読み方:まつごのみず)」は「死に水」と呼ばれる、死者を弔うための伝統的な日本の儀式の一つです。
具体的には亡くなった人の口元に水を含ませ湿らせる儀式ですが、どのような意味や由来があるのか詳しく確認しましょう。
意味
「末期の水」を行う意味は一つではありませんが、中でも重視されているのが労いです。
「故人があの世へ向かう時に苦しまないように」と労いの想いを込め、生前に感じていた飢えや渇きを潤す、または向こうの世界で喉が渇かないように潤す目的で行われます。
その他にも、亡くなっているかを確認する意味で口に水を含ませていたという説や、「水を飲み息を吹き返してほしい」との願いをもとに行っていたという説もあります。
由来
「末期の水」の由来も複数の説がありますが、一番有名なのは仏教の伝え話しに基づく説です。
それはお釈迦様に命の危機が迫っていた時のこと。
「喉が渇いたので水を汲んできてほしい」と弟子にお願いしましたが、近くの川の水は濁っており、とても飲める状態ではありませんでした。
弟子がどうすべきかと頭を抱えていると、雪山に住む「鬼神」が現れ、飲める水をくれました。
お釈迦様はその水を口にできたおかげで、苦しまずに最期を迎えられました。
このことから、最期を迎えた人の口に水を含ませる、または唇を水でしめらす慣習が生まれたと言われています。
末期の水(死に水)と宗教の関係
「末期の水(死に水)」は、実は誰もが行うわけではありません。
宗教によっては実施しない、同じ宗教を信仰していても宗派によっては行わない、または目的が異なることがあります。
以下を参考に、家族は末期の水を行う必要があるか、代わりに行うべき慣習はあるか確認しましょう。
浄土真宗は末期の水をとらない
末期の水は仏教の伝え話しに基づくセレモニーですが、仏教の中でも浄土真宗は末期の水を実施しません。
というのも、浄土真宗には「あの世へ旅立つ」という考えはなく、死後は「食べ物や飲み物に困らない世界で仏になる」と考えられているため、旅立ちのために喉を潤す必要はないとされています。
神道では目的が異なる
仏教において末期の水は故人の平穏無事な旅立ちを目的として行われますが、神道においては死者の穢れを祓うことを目的として行われます。
また、仏教では脱脂綿やガーゼ等を用いて末期の水をとりますが、神道では榊の葉を用いて実施します。
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キリスト教は宗派によって異なる
キリスト教では死を「命がつきた」と考えるのではなく、「神のもとに召された」と考えるため、末期の水を行いません。
それに代わる儀式として、カトリックでは故人を病や悩み事から解放するために故人の顔に聖油を塗る「病者の塗油の秘跡」が行われます。
また、プロテスタントでは牧師がキリストの身体と血液を意味するパンとワインを用意し、故人に与える「聖餐式」を実施します。
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末期の水(死に水)のやり方・順番
末期の水は葬儀の一つですが、お葬式の時に行うわけではありません。
続いては、末期の水を行うタイミングや実際の流れを解説するので、いざという時に慌てないようにチェックしておきましょう。
末期の水をとるタイミング
かつて末期の水は、息を引き取る直前に行われる儀式でしたが、現代においては息を引き取った後に行うのが一般的です。
具体的なタイミングとしては医師が臨終を告げた後、湯灌や死化粧よりも前に行います。
病室で亡くなった場合はそのまま病室で行うか、家族や親族が揃っていない場合はご遺体を一度安置室へ移し、家族や親族が集まってから行うこともあります。
ご自宅や施設で亡くなった場合はその場で行うか、または病院と同じように安置室へ移動させてから行うことも多いです。
末期の水をとるときの流れ
末期の水をとるときの流れは地域や宗教によって多少異なることもありますが、基本的には次の通りです。
- 医師から臨終の宣告を受ける
- 儀式に必要なものを用意する
- 口に水を当てる
- 顔を拭く
- 故人に声をかける
また、末期の水を行う際に必要とされるものや、詳しい手順は以下のとおりです。
必要な物の準備
末期の水に必要なものは、主に次の3つです。
- 水
- 脱脂綿
- 箸
水を入れる容器は特に決まりはありませんが、故人が生前愛用していたお椀や器を使ったり、病院や葬儀社が用意したものを使ったりするのが一般的です。
また、脱脂綿は箸に巻き、白い糸で固定した状態で使用します。
宗教や地域によっては鳥の羽などを使用することもあるため、事前に確認すると良いでしょう。
手順
- 器に水を入れ、箸に巻いた脱脂綿を濡らす
- 1を故人の上の唇に当て、撫でるように左から右にやさしく拭く
- 続いて下の唇に当て、同じく撫でるように左から右にやさしく拭く
- 脱脂綿、または顔拭き用の布を水で濡らす
- 4を故人の額に当て、撫でるように左から右にやさしく拭く
- 続いて故人の鼻に当て、同じく撫でるように上から下にやさしく拭く
- 最後に故人の顎まわりを左から右にやさしく拭く
- 「ありがとう」など感謝の気持ちや「お疲れさまでした」など労いの言葉を伝える
故人の唇を濡らす時は、表面を軽く濡らすようにしましょう。
口に水を含ませる儀式ですが、喉を濡らそうと脱脂綿を口の中まで入れるのはマナー違反に当たるので注意してください。
末期の水をとる順番
末期の水を実施する際は、行う人の順番にも気を配りましょう。
基本的に、末期の水は故人との関係が深い家族・親族から順に行います。
そのためまずは喪主を務める配偶者、その後子どもや親、兄弟姉妹、続いて叔父や叔母、孫などが行うのが一般的です。
また、家族・親族の中に小さな子どもがいる場合、子どもは実施しなくても問題ありません。
末期の水をやらなかった場合は?
「末期の水は必ず行うもの?」と気になった人、または末期の水を行った記憶がない人もいるかもしれません。
そこで最後に、末期の水をやらなかった場合について解説します。
宗教・宗派の関係で行われないことも
ここまでで説明した通り、末期の水は宗教・宗派の関係で行わないケースも少なくありません。
行わないと安らかに旅立てない、または必ず行わなければならないわけではないので、安心してください。
葬儀社スタッフが行っている可能性が高い
遺族が末期の水を行っていない場合でも、葬儀社のスタッフが行っている可能性が高いです。
この場合は、故人が安らかに旅立てるようにと願いを込めて行うのではなく、故人が家族により綺麗な状態で会えるようにするために行います。
大切な家族の最期の時には、悔いの無いようにしたいですよね。
末期の水を行いたい・自分の手で実施したいなどの希望がある場合は、予め葬儀社に相談しておくと良いでしょう。
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末期の水(死に水)は故人が安らかに旅立つための大切な風習
末期の水(死に水)は、遺族が故人を労う大切なセレモニーです。
宗教や宗派によっては行わないケースもありますが、行う場合は看護師や葬儀社と相談しながら進め、故人への感謝の気持ちを伝えましょう。
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