お彼岸でやってはいけないことは何?してはいけないタブーな行動はある?
お彼岸はご先祖様を供養する大切な期間として知られています。
しかし、いざ迎えるとなると、やってはいけないタブーな行動があるのか気になる方も多いでしょう。
この記事では、お彼岸にやってはいけないことについて詳しく解説します。
正しいマナーを知り、安心してお彼岸を迎えましょう。
お彼岸とは?時期はいつ?
此岸(しがん) | この世のこと 煩悩・迷う・欲が満ち溢れる世界 |
彼岸(ひがん) | あの世(極楽浄土)のこと 仏さまが住み、煩悩がない悟りの世界 |
お彼岸はご先祖様を供養し、自分自身の行いを見直すための期間で、年に2回、春分の日と秋分の日を中心とした7日間に行われます。
春分の日と秋分の日に行う理由としては、太陽が真東から昇り真西に沈むため、此岸(この世)と彼岸(あの世)が通じやすい特別な日と考えられているためです。
お彼岸の語源はサンスクリット語の「パーラミタ(悟りの世界へ到る)」にあり、日本では独自の文化として根付いています。
お彼岸を迎える時期
お彼岸は毎年春と秋の2回あり、春分の日と秋分の日を中心にそれぞれ前後3日間を合わせた1週間を彼岸入り・彼岸明けとします。
この期間は、昼と夜の長さがほぼ等しくなるため、古くから特別な時期とされてきました。
春のお彼岸は新しい生命の始まりを祝う時期であり、秋のお彼岸は収穫に感謝する時期としても意味づけられています。
お彼岸の期間中は、お墓参りをしてご先祖様を供養するだけでなく、自分自身の行いを振り返り、家族や親戚との絆を確かめる時期でもあるのです。
お盆とお彼岸の違い
お盆とお彼岸はどちらもご先祖様を供養する行事ですが、目的と時期が異なります。
お彼岸は、春と秋の年2回行われ、主に先祖供養と自己反省を目的とする一方、お盆は夏に行われ、ご先祖様の霊を家に迎え入れて供養する行事です。
一般的には8月13日から16日までの4日間行われますが、地域によって時期が異なる場合もあります。
お盆は、故人やご先祖様の霊があの世から帰ってくる期間とされ、迎え火や送り火、お供え物をして家で過ごす時間を大切にする行事です。
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お彼岸にやってはいけないことはある?土いじりはタブー?
基本的に、仏教においてお彼岸の期間にやってはいけないことはありませんが、縁起を気にする人や行事が重なることを避けたい人への配慮が必要です。
たとえば、結婚式や引っ越しなどの祝い事や大きな行事は、お彼岸の時期に避ける傾向があります。
これは、供養の準備や法要で忙しい時期に重なると、参加者が慌ただしくなり、ご先祖様の供養が疎かになる可能性があるためです。
一方で、「土いじり」がタブーとされることがありますが、これは誤解となります。
土いじりがタブーとされるのは、お彼岸の期間ではなく「土用」の期間です。
土用は、春夏秋冬の季節の変わり目にあたる18日間を指し、この期間中は土を司る神様「土公神」が地中にいるため、土を動かす行為が避けられるべきとされています。
土用の期間は、ガーデニングや庭の手入れ、土を動かす工事をはじめ、土地の神様にお祈りする「地鎮祭」のような神事を重ねて行うことは避けられているのです。
お彼岸の時期に避けられやすいこと
基本的にお彼岸の期間にやってはいけないことはありませんが、縁起を気にする人や他の行事との兼ね合いを考える人のために、いくつかの行動が避けられる傾向があります。
ここでは、お彼岸の時期に主に避けられやすいとされる事項をご紹介します。
車の納車
お彼岸の時期には、車の納車を避ける人がいますが、これは、新しい物事を始めるのを控えるという考えからです。
しかし、仏教的にはお彼岸の期間に新しいことを始めることに問題はありません。
お彼岸はご先祖様を供養する期間であり、新しい物事を始めることが忌避される理由はないためです。
ただし、納車後に神社でお祓いをする場合、お彼岸中の神事を避けるために納車日を調整することが望ましいとされています。
このように、宗教的な理由ではなく、神事との兼ね合いで納車を避ける人が多いのです。
結婚式・引っ越しなどのお祝い事
お彼岸はご先祖様を供養し、自分自身の行いを見直す期間のため、結婚式や引っ越しといったお祝い事を避ける傾向があります。
また、お彼岸の期間中は、法要や墓参りなどの行事が多く、家族や親戚が忙しくなることが多いため、結婚式や引っ越しが重なると慌ただしくなりがちです。
参加者の中にはお彼岸を大切にする人もいるため、他の行事を被せないための気遣いも必要とされています。
結婚式や引っ越しを避けることは、供養や法要を優先し、参加者全員が気持ちよく過ごせるようにするための配慮と言えるでしょう。
お宮参り・地鎮祭などの神事
お彼岸の期間中に神事を行うことは避けられがちです。
たとえばお宮参りや地鎮祭は神道の行事であり、お彼岸は仏教の行事のため、これらを同時期に行うのは良くないとされることがあります。
最近は気にしないご家庭が増えているようですが、年配の方が親族にいる場合は渋い顔をされるかもしれません。
海や川などの水辺に行く
お彼岸の期間中は、水辺への訪問が避けられることがあります。
これは、迷信的な考えから来ており、供養されていない霊が水辺で人を引きずり込むという言い伝えがあるためです。
また、秋のお彼岸の時期は台風が多く、水辺での事故が増えるため、注意が必要とされています。
気象条件や安全性を考慮して行動することが大切です。
もしお彼岸の期間中に水辺に行く計画がある場合は、天候や安全対策に十分注意し、事故を避けるようにしましょう。
お見舞いに行く
お彼岸の期間中に、お見舞いに行くことは避けるべきとされています。
お彼岸はご先祖様の供養をする時期であり「死」を連想させることから、お見舞いに行くことを縁起が悪いと考える人がいるためです。
お見舞いに行くこと自体は善意からの行動ですが、彼岸期間中に行うと誤解されることがあるため注意しましょう。
入院中の方への配慮を考えるならば、お彼岸の期間外にお見舞いを計画することが望ましいです。
彼岸花を家に持ち帰る
彼岸花を家に持ち帰ることは避けるべきとされています。
彼岸花を持ち帰ると火事になるという迷信もありますが、実際に彼岸花は球根に毒をもつ植物のために持ち帰らない方が良いとされているのです。
彼岸花は墓地や田畑に咲いていることが多いですが、決して手には取らずその場所で鑑賞するようにしましょう。
供養のための花でもあることを考慮し、自宅に持ち帰らないようにすることで、安全と伝統を守れます。
お彼岸のお墓参りでやってはいけないこと
お彼岸のお墓参りは、ご先祖様を供養する大切な行事です。
マナーを守り、タブーを避けることで、故人を敬う気持ちをしっかりと表現しましょう。
ここでは、お彼岸のお墓参りで避けるべき行動について紹介します。
刺激の強いものや殺生をイメージするものを供える
お彼岸のお墓参りでは、刺激の強いものや殺生をイメージさせるものを供えることは避けましょう。
たとえば、ニンニクや唐辛子などの刺激の強い食べ物や、肉や魚といった殺生を連想させる食材が該当し、適していません。
とくに仏教では、五辛(ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、生姜)を避ける習慣があります。
これらは故人や仏様への供養としてふさわしくないとされているため、代わりに故人が生前好んでいた果物や和菓子などを供えるようにしましょう。
掃除せずにお墓参りをする
お墓参りの際には、まずお墓の掃除をすることが大切です。
お墓は屋外にあるケースが多く、雨風や埃で汚れが溜まりやすい場所のため、掃除をせずにお参りをすることは、故人に対して失礼にあたるとされています。
お墓掃除は、雑草を抜き、墓石を綺麗にし、周囲のごみを取り除くことから始めてください。
その後、花立や線香立てを清潔にし、墓石に水をかけて清め、お参りをしましょう。
派手な服・露出が多い服を着る
お墓参りの際に、派手な服や露出が多い服を着ることは、故人やご先祖様に対して失礼にあたります。
とくにお彼岸は、ご先祖様を供養するための厳粛な行事ですので、落ち着いた色合いの服を選びましょう。
黒やグレー、紺などのシンプルな服装が適しており、また、香水の強い香りも避け、清潔感を保つことが大切です。
適切な服装でお参りをすることは、周囲の人々にも良い印象を与えられます。
お墓に酒類・ジュースをかけない
お彼岸のお墓参りで、故人が好きだった酒類やジュースを供えることがありますが、それらを墓石に直接かけることは避けましょう。
お酒やジュースは墓石を汚し、シミの原因となるだけではなく、糖分が含まれている飲み物は、カビや虫を引き寄せてしまいます。
供える場合は、瓶や缶のままではなく、湯呑みやコップに注いで供えるようにしましょう。
お彼岸にすることを紹介
お彼岸はご先祖様を供養し、故人を偲ぶ大切な期間です。
そのため、この時期に行うべきことを通して、ご先祖様への感謝の気持ちを表現しましょう。
ここでは、お彼岸にするべき代表的な事項を紹介します。
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仏壇や仏具を綺麗にする
お彼岸には、自宅の仏壇や仏具を丁寧に掃除しましょう。
普段は手が届かない部分も、この時期にしっかりと掃除することが大切です。
仏壇の掃除は、柔らかい布や毛払い用のブラシを使って埃を綺麗に取り除き、仏具も同様に、丁寧に磨き上げましょう。
この際、塗装の剥がれといった恐れがあるため、洗剤などの使用は避け、水拭きで十分です。
仏壇を綺麗に保つことで、より心を込めた供養ができます。
お墓参りに行く
お彼岸の期間中には、お墓参りをして先祖・個人のもとへ出向くことが大切です。
お墓に到着したら周囲のゴミの片付けや、墓石の汚れ落としなどの掃除を行ってください。
掃除が終わり綺麗になったら、花や線香を供え、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えます。
お参りの際は、今の生活のことを報告したりして、ご先祖様との絆を確かめましょう。
お墓や仏壇にお供えする
お彼岸には、お墓や仏壇にお供え物を供えることも重要です。
お供え物としては、彼岸団子をはじめとし、春彼岸にはぼた餅、秋彼岸にはおはぎを供えると良いでしょう。
お供え物は、感謝と供養の気持ちを込めて選ぶのが大切なため、季節の果物や故人が好きだった食べ物も適しています。
お供えした後は家族で分かち合って食べると、先祖や個人との繋がりが強くなり供養の意味が深まります。
お寺で開かれる彼岸会(ひがんえ)へ参加する
お彼岸の期間中、多くのお寺では彼岸法要として「彼岸会(ひがんえ)」が開かれます。
彼岸会は、ご先祖様を供養するための仏教行事で、檀家や地域の人々が集まり、共に供養の時間を過ごすものです。
彼岸会に参加することで、仏教の教えを学び、供養の意義を深められます。
彼岸会は、供養の場であり、心静かに過ごすことが大切なため、参加する際には、服装やお布施のマナーにも注意しましょう。
お彼岸に何もしないのはあり?
結論として、お彼岸に何もしなくても問題ありません。
不安に思う方もいるかもしれませんが、お彼岸は、仏教の修行期間であり、必ず何かをしなければならないというわけではないためです。
現代では、生活や仕事の都合でお墓参りや供養ができないこともあるでしょう。
その場合、自宅の仏壇に手を合わせたり、心の中でご先祖様に感謝の気持ちを伝えたりするだけでも十分になります。
大切なのは、ご先祖様への感謝と供養の気持ちを忘れないことです。
お彼岸にやってはいけないことは基本的にない。ただ神事やお祝い事を避ける人もいる
お彼岸に特別にやってはいけないことはありませんが、縁起や周囲の配慮から避けることが無難な場合もあります。
お彼岸は、ご先祖様を供養する期間であり、自分自身の行いを見直す時期とされているため、新しいことを始めることや、お祝い事を避ける人もいるでしょう。
しかし、これは必須ではなく、各家庭の考え方により、大切なのは、ご先祖様への感謝と供養の気持ちを忘れないことです。
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ご遺族の不安や疑問に対して、納得いただけるまでご相談をお受けいたします。
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