自宅葬は大変?費用・流れやメリット・デメリットとは
大切な人を、慣れ親しんだ自宅でゆっくりと見送ることができる「自宅葬」。
斎場で行う一般的な葬儀と比べると、馴染みがない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、自宅葬を行う際の費用や流れ、メリット&デメリットについて解説します。
自宅葬とはどんな葬儀?
「自宅葬」とは、その名の通り亡くなった人の自宅で執り行う通夜・葬儀のこと。
葬儀場で執り行う葬儀よりも、葬儀の形式や時間の自由度が高い点が特徴的です。
また、自宅で行うこともあり、参列者は親族や故人が生前に特別親しくしていた人など、より近しい関係にあった人々が集まりやすいです。
そのため、より親密な雰囲気の中で執り行われる点も、自宅葬の特徴の一つと言えるでしょう。
最近は減少傾向にある
ひと昔前は自宅葬の方が一般的でしたが、1990年代ごろからは斎場で執り行う葬儀が普及し始めたため、自宅葬は減少傾向にあります。
背景には様々な理由がありますが、その一つとして挙げられるのが、核家族化です。
昔は拡大家族で大きな家に住むのが一般的でしたが、時代の流れとともに核家族化が進み、集合住宅に住む人も増えました。
そのため、人手不足やスペースの関係で自宅で葬儀を執り行うことが難しくなり、自宅葬は減少しつつあると言われています。
地域によっては今でも執り行われることが多い
都心では減少しつつある自宅葬ですが、地域によっては今でも執り行われていることが多いです。
というのも、地方は3世代以上で同居する拡大家族が多く、家も大きな作りのため、都心に比べると自宅葬を行う環境が整っているのです。
また、地域によっては「葬儀は自宅で行うもの」という風習が根強く残っていたり、近くに斎場がなかったりすることから、自宅葬を続けているケースもあります。
自宅葬にするメリットは?
あまり馴染みのない方も多い自宅葬ですが、実は葬儀場で執り行う葬儀にはない、様々なメリットがあります。
この項目では自宅葬のメリットを解説するので、自宅葬をご検討中の方はぜひチェックしてください。
故人の「家に帰りたい」という気持ちを尊重できる
自宅葬の最大のメリットは、故人が住み慣れた自宅でお別れできることです。
生前の健康状態によっては、入院生活や施設での生活が長く、「家に帰りたい」と強く感じていたかもしれません。
また、そうでなくても「最期は自宅で過ごしたい」と考える人は多いものです。
自宅葬では、そんな故人の気持ちを尊重できます。
会場使用料がかからない
斎場で一般葬を行う場合、会場にもよりますが、平均5〜10万円ほどの使用料がかかります。
対して自宅葬の場合は、会場の使用料が一切かかりません。
会場までの交通費はもちろん、僧侶を呼ばない場合はお布施代なども発生しないため、葬儀費用をかなり抑えられます。
これは自宅葬ならではのメリットと言えるでしょう。
時間を気にせずゆっくりお別れができる
葬儀の時間に制限がない点も、自宅葬のメリットの一つです。
葬儀場で葬儀を行う場合は、会場の使用可能時間が決まっており、ある程度段取りも決まっているため、どうしても時間に制限がうまれます。
その一方で、自宅で葬儀を執り行う場合は、特に時間の制限はありません。
故人との最期のひと時をゆっくりと過ごしたり、親族や友人・知人と思い出を心ゆくまで語ったりできます。
自由な形の葬儀ができる
自宅葬は斎場で行う葬儀に比べると制約がほとんどなく、形式にとらわれずに葬儀を行えます。
例えば、故人の趣味や人生を反映した個性的な飾り付けや、演出を取り入れることができます。
好きだった音楽を流したり、趣味のアイテムや写真を飾ったりなど、家族だけでなく参列者にも故人を深く偲ぶ機会を作りやすいのです。
また、訪れる人たちもアットホームな空間でゆっくりと過ごせるため、感謝や思い出を共有する時間が長く取れるのも特徴。
葬儀の規模も自由に調整できるため、大掛かりな式を避け、親しい人だけで静かに見送りたい場合にも適しています。
こうした自由度の高さが、自宅葬のメリットと言えるでしょう。
自宅葬をするデメリットは?
残念ながら、自宅葬にはメリットだけでなくデメリットもあります。
以下の5点を踏まえたうえで、自宅葬を行うべきか、自宅葬を行える環境であるか検討してみてください。
マンションだとできないことがある
自宅葬のデメリットの一つは、マンションだと行えない可能性があることです。
というのも、マンション等の集合住宅では、規約として自宅での葬儀を禁止していることがあります。
この場合、自宅葬は規約違反になるため行えません。
また、マンションのエレベーターに奥扉がない場合は棺の搬入出ができないため、物理的な制限により自宅葬を行うのは難しいでしょう。
近隣住民に配慮する必要がある
自宅葬を行う場合、様々な人が家に出入りすることになります。
そのため駐車スペースが必要になったり、話し声等による騒音で迷惑をかけたりする可能性があるため、近隣住民へ配慮しなければなりません。
トラブルを防ぐためには、事前にお知らせしたり挨拶をしたりするべきですが、慌ただしく葬儀の準備を進める中で、近隣住民への周知を行うのはなかなか難しいものです。
こちらも、自宅葬のデメリットの一つと言えるでしょう。
参列者に接待をする必要がある
自宅葬は一般葬に比べると親密な雰囲気ではあるものの、やはり参列者には接待をする必要があります。
葬儀場で行う場合は、葬儀社のスタッフがサポートしてくれることもありますが、自宅葬の場合はお茶やお菓子を用意したり、それらを当日振る舞ったりするのも、全て自分たちで行わなければなりません。
このように、一般葬よりも準備・手間が増える点は自宅葬の大きなデメリットと言えます。
スペースを確保する必要がある
自宅葬を行う場合、葬儀を執り行うためのスペースを作らなければならない点もデメリットの一つです。
ご遺体を乗せた布団または棺、そして枕飾りが置ける6畳ほどのスペースに加え、葬儀の間参列者が座るスペースを作る必要もあります。
一軒家の場合は確保できる可能性が高いものの、マンション等の集合住宅では難しいこともあるでしょう。
準備の負担が大きい
前述の通り、自宅葬を行う場合は一般的な葬儀の準備に加え、近隣住民への周知や葬儀スペースの確保、接待用のお茶やお菓子の用意などが必要です。
葬儀の形式の自由度が高い反面、段取りや準備が増えるのは自宅葬ならではのデメリットと言えるでしょう。
手伝いをお願いできる親族や友人・知人がいればスムーズですが、そうでない場合はかなりの負担になる可能性が高いです。
自宅葬の準備は大変?葬儀社なしでもできる?
【自分で手配した時の葬儀費用】
棺桶代 | 約3万円 |
霊柩車代(病院~火葬場) | 約2万円(10km以内) |
ドライアイス代 | 約5千~1万円(1日当たり) |
骨壺代 | 約3~5千円 |
火葬代 | 無料~約98万円 |
※一例です
結論から言うと、葬儀社なしでも自宅葬を執り行うことはできます。
自分たちで手配する主なものと、それぞれの相場は、上記の表の通り。
葬儀社に依頼すると会場の使用料やお布施代がかかりますが、自力で行う場合は必要なものだけを用意すれば良いため、葬儀費用をかなり抑えられます。
しかし、一般的な葬儀の準備に加え霊柩車を手配したり、火葬場を押さえたりするのは非常に労力がかかるため、葬儀社なしで自宅葬を行う場合はそれなりの覚悟が必要です。
自宅葬を葬儀社に依頼した時の費用の相場は?
【葬儀社に依頼した時の葬儀費用】
葬儀代 (祭壇・棺桶・火葬など) | 葬儀プランや自宅葬の規模によって変動 |
飲食接待代 | 約2~5千円(1人当たり) |
会葬御礼品代 | 約1千円(1人当たり) |
お布施代 | 約30万円 |
※一例です
葬儀社に依頼する場合、葬儀プランや葬儀の規模によって費用は大きく異なります。
自分たちだけで執り行うよりも高額になるのは確かですが、さまざまな手配や準備を葬儀社が一括してサポートしてくれるため、手間やストレスを大幅に軽減できます。
さらに、経験豊富なスタッフがスケジュールの調整や当日の進行を円滑に進めてくれるため、故人とのお別れに専念できるのも大きなメリット。
準備の負担や不安が軽減されるため、葬儀社に依頼したほうが、スムーズかつ安心して当日を迎えられるでしょう。
自宅葬の流れ・やり方は?
【自宅葬の流れ】
1.ご臨終 ✔病院で亡くなった時:医師からの死亡診断書を受け取る ✔自宅で亡くなった時 【かかりつけ医がいる場合】
【かかりつけ医がいない場合】
|
2.ご遺体を自宅に搬送・安置 |
3.葬儀社との打ち合わせ |
4.納棺の儀式を行う |
5.お通夜・通夜振る舞いを行う |
6.葬儀・告別式を行う |
7.火葬場に向かう |
自宅葬の主な流れは上記の表の通りです。
手続き等を間違えると法律に触れることがあるため、ミスを防ぐためにも、それぞれの手順において行うべきことをしっかりと確認しておきましょう。
ご臨終
葬儀の準備は、故人がどこでご臨終を迎えたかによって少し異なります。
病院で亡くなった場合はそのまま医師から死亡診断書を受け取れますが、自宅で亡くなった場合はやや注意が必要です。
自宅療養中でかかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医に連絡。
かかりつけ医がおらず、亡くなっていることが明確な場合は、まずは警察に連絡すると心得ておきましょう。
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自宅で亡くなった場合どこに連絡するべき?警察・救急車の判断や流れを解説
ご遺体を自宅に搬送・安置
故人が病院で亡くなった場合、ご遺体を綺麗にする処置「エンゼルケア」がなされた後で、霊安室に安置されます。
病院で安置してもらえるのは2〜3時間程度なので、速やかにご遺体を自宅へ搬送しなければなりません。
葬儀社に依頼するか、自分で寝台車を手配し、ご遺体を自宅に運びましょう。
その後、葬儀までの間はストレッチャーや故人用に用意した布団でご遺体を安置します。
葬儀社との打ち合わせ
ご遺体の安置が終わったら、続いては葬儀社との打ち合わせです。
このタイミングで喪主を決め、喪主を中心に葬儀社と葬儀の日程や段取りを決定します。
一般葬と自宅葬では手配する内容や段取りが異なるため、可能であれば過去に自宅葬を執り行った実績がある葬儀社を選ぶと良いでしょう。
納棺の儀式を行う
納棺とは、安置していたご遺体を棺に納める儀式のこと。
一般的にお通夜が行われる前に、家族や親族のみで行います。
納棺の儀式の内容は葬儀社や地域の風習によって異なりますが、お湯を使って故人の体を綺麗にしたり、思い入れがある衣服がある場合は、それを着せたりすることが多いです。
お通夜・通夜振る舞いを行う
納棺の儀を終えたら、故人を偲び最期の一夜を過ごす儀式である「お通夜」を行います。
家族葬の場合は家族や近しい親族が、そうでない場合は故人と関わりがあった友人や知人などが集まるのが一般的です。
そして、喪主の挨拶や読経、焼香などを行った後、弔問客に通夜振る舞いを用意し、故人を思いながら食事をします。
葬儀・告別式を行う
お通夜を執り行った翌日に、葬儀・告別式を行います。
葬儀・告別式の手順は宗派や地域の風習によって異なりますが、基本的には喪主の挨拶、読経、焼香などを行うことが多いです。
その後、棺の中に生花や思い出の品を添えるお別れの儀を行い、火葬場に向けて出棺します。
火葬場に向かう
火葬場へは自家用車やタクシー、または葬儀社が用意したマイクロバスを使って移動します。
火葬には、1〜2時間ほどかかるため、その間は火葬場の控え室にて故人との思い出を語らいながら、しめやかに過ごすのが一般的です。
そして火葬が終わった後は参列者で収骨を行い、故人の骨を骨壷に納めてお葬式を終えます。
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【Q&A】自宅葬でよくある質問
最後に、自宅葬を検討している人からよくある質問をご紹介します。
葬儀の案内を送る人や、香典・服装に関する質問など参考になるポイントが多いので、こちらも参考にしてくださいね。
誰を呼ぶ?|生前に交流が深かった人を呼ぶ
明確な決まりはありませんが、一般葬に比べて自宅葬の場合は、故人がとりわけ親しくしていた人を中心に呼ぶことが多いです。
というのも、自宅葬の目的は、故人との最期のお別れをゆっくりと行うことにあります。
基本的に気を遣うような相手は呼ばず、家族や近しい親戚、または故人と交流が深かった友人に限定する方が望ましいでしょう。
この場合、葬儀に呼ばない人への訃報連絡では葬儀の日時を伏せる、または葬儀が終わった後に訃報を伝えましょう。
香典・供物は辞退できる?|断るなら事前に伝えておく
香典や供物を辞退することは、マナー違反ではありません。
しかし、その場合は必ず、前もって香典を辞退する旨を伝えましょう。
事前に伝えておかないと、香典や供物を準備する手間をとらせてしまうだけでなく、当日断ることで不快な思いをさせてしまうかもしれません。
断りきれずに受け取った場合は、香典返しを用意する必要もあります。
トラブルを防ぎ、お葬式をスムーズに行うためにも、香典・供物を断る場合は訃報連絡とあわせて伝えると良いでしょう。
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何を着ていけばいい?|喪服で参列する
自宅葬の場合も、一般葬と同じように喪服を着用するのがマナーです。
ただ、参列者が身近な家族・親戚や親しい人に限定されているため、略喪服でも問題ないとされています。
男性は黒のスーツの他、グレーや紺色など地味な色のスーツ、女性は黒・紺色・グレーなど地味な色で光沢感のないワンピース・アンサンブルを着用しても良いでしょう。
参列者が何を着るべきか迷う可能性もあるため、葬儀の案内には「平服でお越しください」と添えるのがおすすめです。
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葬儀後の弔問は辞退できる?|辞退しても構わない
自宅葬は葬儀に参列する人が限られるため、後日弔問したいと考える人は少なくありません。
故人を思ってくれる人が多いのは嬉しいことですが、弔問客が続くと故人を思い出す機会が増えたり、弔問客をもてなす手間が増えたりするため、遺族の負担が増えるのも事実です。
弔問を辞退してもマナー違反には当たらないため、故人の意思であるとしてお断りしても良いでしょう。
相手の気持ちを無下にしないように、なるべく丁寧な言葉を使うことと、感謝の気持ちを伝えることを忘れずに対応しましょう。
自宅葬とは故人の自宅で行う葬儀。執り行うなら費用・流れを理解したうえで選ぶことが大切
住み慣れた自宅で葬儀を行う自宅葬は、故人の「最期は家で過ごしたい」という気持ちを尊重する葬儀の方法の一つです。
時間を気にせずにお別れできる、費用を抑えられるなどのメリットもありますが、一般葬とは準備がやや異なるため、自宅葬を行う場合は費用や流れをきちんと確認しましょう。
また、自宅葬を自力で行うにはかなりの労力を要します。
遺族の負担を減らす、または葬儀の準備から当日までをスムーズに行うためにも、葬儀社に依頼することをおすすめします。
自宅葬をご検討中の方は、ぜひ家族葬のゲートハウスまでご相談ください。
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