戒名はいらない？必要？つけないとどうなるのかも解説
亡くなった後、僧侶より授けられる「戒名」。
葬儀費用を抑えるために、戒名をつけない判断をする人もいるかもしれません。
しかし、戒名の必要性やつけない時のデメリットが分からないため、悩んでいる方も多いでしょう。
この記事では、戒名はいらないものなのか、つけないとどうなるかを解説します。
戒名とは？つける必要はある？
「戒名(かいみょう)」とは、仏の世界における故人の新しい名前のことです。
生前の名前である「俗名」とは全く異なるもので、僧侶が名付けを担当します。
もともとは、仏弟子の証として生前に与えられる名前でした。
しかし、江戸時代に寺請制度が導入されたことで考え方や風習が変わり「亡くなったら出家していなくても授かれる名前」として一般化しています。
そんな戒名にはどんな意味があるのでしょうか？
はじめに、この戒名をつける意味と、その必要性を詳しく解説します。
戒名をつける意味
戒名は「故人を極楽浄土に導くため」につける名前です。
日本の仏教では仏弟子の証である戒名を授けてもらうことで、迷いなく極楽浄土に行けると考えられています。
そのため、人が亡くなった際には、弔いの一環として戒名の授与を行うのが慣例となりました。
近年ではいらないと考える人も増えていますが、故人を想ってつけられる、意味のある名前なのです。
また、故人の功績が反映されるものでもあるため、死後の勲章という意味合いもあります。
戒名の必要性
戒名は寺院が運営するお墓に納骨する際、必要となるものです。
戒名をつけない場合は寺院運営のお墓は基本的に利用できません。
また、位牌に戒名を入れるためにも必要です。
俗名のみの記載でOKな場合は問題ありませんが、位牌に戒名を刻みたいならつけたほうがいいでしょう。
葬儀の可否に関しては、寺院によって異なりますが、戒名の授与無しで執り行ってくれるところも存在します。
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浄土真宗は「法名」・日蓮宗は「法号」と呼ぶ
日本の仏教で広く使用される「戒名」ですが、浄土真宗では「法名」と呼びます。
これは、浄土真宗では阿弥陀如来が人々を極楽浄土に導くことを「法」と称するためです。
加えて、自己研鑽を意味する「戒」という字が、宗派の教えと合わないのでこの名前が使われています。
また、日蓮聖人が説いた宗派・日蓮宗では、宗派で大切にされている教え「法華経」から1文字をとった「法号」という呼び名が使われています。
いずれも戒名とおおよその意味は同じですが、宗派によって呼び方が違うと覚えておきましょう。
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戒名はいらないという人の割合は？
戒名はいらない・省略してもいいものと考えている人の割合は54.2％です。
この数値は、40〜60代の男女に行われた葬儀関連のアンケートの結果を参考にしたものとなります。
アンケートの質問は「葬儀の中で省略してもいいと思うもの(複数回答可)」で、この質問事項にてこの割合の人が省略してもいいと回答しました。
回答者は600人程度ですが、十分な精度が得られるほどの回答が集まっているため、約半数の人が戒名はいらないと思っていると考えてもいいでしょう。
また、戒名をつけない人の具体的な数は不明ですが、周囲の意見や風習などの影響があるため、いらないと考える人の割合より減ることが予想されます。
参考：保険クリニック「一般葬より直葬、戒名は不要・・・お墓事情の最新版！」
戒名がいらない場合はつけなくてもいい？
戒名は法律や条例などで義務付けられているものではないため、いらない場合はつけなくても問題はありません。
お布施や戒名料の費用を抑えられるメリットもあるため、ご本人や親族が納得しているのであれば、つけない選択をしてもいいでしょう。
しかし、戒名がない場合は「お寺のお墓に納骨できない」「菩提寺との関係が悪化する可能性がある」など多くのデメリットがあります。
そのため、意思決定する際はデメリットもよく考え、十分話し合った上で決めてください。
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戒名がないとどうなる？つけない時の注意点は？
時代の変化と共にいらないという意見が増えている戒名ですが、つけない場合はどんなデメリットがあるのでしょうか？
次は、戒名がないとどうなるかを紹介します。
お寺の墓に納骨できない
戒名がつけられていない人の遺骨は、基本的にお寺が運営する墓に納骨できません。
これは多くのお寺が「仏弟子の証である戒名を、自分たちの寺院関係者から授かっていること」を納骨の条件として定めているためです。
もちろん、お寺の考えによっては大丈夫な場合もありますが、そう多くはないため、つけない場合は高確率で断られると考えたほうがいいでしょう。
菩提寺との関係が悪化する恐れがある
菩提寺との関係が悪化する恐れがあるのも、戒名をつけないことのデメリットです。
こちらもお寺側の考え次第にはなりますが、何代にもわたって戒名を授けてきた家系の人から突然不要だといわれると、お寺側はあまりいい気分にはならないでしょう。
場合によっては「つながりを絶ちたがっている」と捉えられ、今後の葬儀や法事などを執り行ってもらえなくなる可能性も。
そのため、関係を悪化させたくないなら、戒名の授与は基本的にお願いしたほうが無難です。
親族とトラブルになる可能性がある
多くの人が省略してもいいと考える戒名ですが、それでもつけるのが当たり前だと思っている人も少なくありません。
そのため、戒名をつけない選択をすると、親族とトラブルになる可能性も十分にあります。
たとえ、近しい家族やご本人の意思であっても批難される場合があるため、もしつけないなら、トラブルになる可能性はしっかりと考慮しておきましょう。
戒名を位牌に書けない
戒名をつけない場合、位牌に書けないことも注意点の1つです。
不要ならば気にならないかもしれませんが、それでも戒名ではない名前が書かれることは頭に入れておきましょう。
記載される名前に関しては、生前の名前である「俗名」に「之霊位」を加えた「〇〇(俗名)之霊位」とされるのが一般的です。
また、仮に戒名をもらわなくても、位牌に故人の魂を移す儀式「開眼供養(魂入れ)」だけは行ったほうがいいといわれています。
戒名がいらない場合はどう供養する？
戒名をつけない時はどう供養するのでしょうか？
やはり供養の方法については、不要という選択をする前に知っておきたいものですよね。
次は、戒名がいらない場合の供養についてを解説します。
自然葬で弔う
納骨する場所で悩みたくないなら、自然葬で弔うことを検討するのもいいでしょう。
自然葬とは遺骨を自然に還す埋葬方式で、海に遺骨を撒く「海洋散骨」や樹木を墓標とする「樹木葬」などがあります。
この自然葬なら戒名がいらないため、つけなくてもスムーズに物事を進められます。
宗教を問わない納骨堂に納骨する
宗教を問わない納骨堂を利用すれば、戒名がなくてもよく、納骨場所に困りません。
納骨堂とは納骨設備を備えた施設で、寺院が運営する永代供養の納骨堂、公営の納骨堂、民営の納骨堂の3種があります。
いずれも基本的に宗教が不問であるほか、戒名もいらない方でも気軽に利用できます。
一定期間を過ぎると合葬されたり、お供えに制限があったりする点はデメリットですが、納骨場所に困っているなら、ぜひとも選択肢にいれておきたい納骨場所です。
戒名を自分でつける
戒名の構成
※戒名の授け方は宗派によって異なります。
戒名を自分でつけることも選択肢の1つです。
メリットは少ないですが、法律的には問題ないため、費用をかけずに戒名をつけたいなら自作してもいいでしょう。
つけ方に関しては「道号」なら職業に関連する2文字を、戒名は故人と仏の名前から1文字ずつを選定しつけます。
最後に「位号」は実在するものから選び、全体が6文字〜9文字の範囲に収まっていることを確認すれば戒名の自作は完了です。
ただし、本来戒名は菩提寺から授かるものであるため、自作では戒名としての意味・役割を持ちません。
加えて、お寺のお墓への納骨を断られるケースも多いため、自分でつけることを考えているなら、一度菩提寺と相談することをおすすめします。
戒名の費用とコストを抑える方法は？
戒名の費用
※「信士・居士」は男性、「信女・大姉」は女性が授かる
戒名に必要な費用は、末尾に記される「位号」のランクによって異なります。
ランク別の価格相場をまとめたものが上記で、高位になるほど高額です。
普通に授与してもらう場合は相場通りの金額となりますが、実は工夫次第で価格を安くすることも可能です。
場合によっては大幅に価格を抑えられる場合もあるため、戒名の授与を受けつつも、費用を抑えたいならぜひとも実施しましょう。
最後に、戒名の費用とコストを抑える方法を解説します。
戒名の授与サービスを使う
戒名の費用を安く抑えたいなら「戒名授与サービス」を利用するのがおすすめです。
戒名授与サービスとは決められた料金を払うことで、僧侶より戒名を授けてもらえるもの。
最安価格が2万円、高くても20万円ほどと、戒名料が相場よりも安く設定されているため、経済面に不安がある方でも利用しやすいです。
僧侶とは1回ごとのお付き合いのため、壇家になる必要がないのもポイント。
菩提寺とトラブルになる可能性はありますが、戒名料を安く抑えたいなら利用を検討してみてはいかがでしょうか？
高位ではない戒名にする
高位ではない戒名を選ぶことも、一つの選択肢です。
一般的な位号のランクである「信士・信女」を選択すれば、高位のランクの名前を授かる時よりも大幅に費用を抑えられます。
位号は社会的立場や寺院への貢献度でも決まるため気軽には選べませんが、交渉次第では変更できる場合もあるので、一度僧侶に相談してみるといいでしょう。
また、寺院によってはこちらの経済状況を説明すれば、減額してくれる場合もあります。
そのため、費用面で悩んでいるなら、お寺側としっかりコミュニケーションをとることをおすすめします。
生前戒名を利用する
菩提寺から戒名を授かりたいけれど、費用面が気になるという場合には生前戒名の利用もおすすめです。
生前戒名とはその名の通り戒名を生前に授かるもので、死後の授与よりも費用を抑えやすいことで知られています。
戒名に関する希望を伝えやすい、ランクの交渉などのメリットがあるのも特徴の1つ。
葬儀や法要の際は菩提寺を利用する、檀家になるなどいくつかの条件はありますが、上手く活用すると費用を安くできるので、可能であれば積極的に利用しましょう。
戒名がいらないならつけなくてもいいが、リスクもあるのでじっくりご検討を
戒名がいらないなら、無理をしてつけなくても問題ありません。
ですが、授からないことには菩提寺や親族とトラブルになる、納骨場所の選択肢が狭まるなど、多くのデメリットやリスクがあります。
そのため、決断する前にはしっかりと検討し、菩提寺や親族などと話し合った上で決めることをおすすめします。
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