初盆(新盆)にやってはいけないことは?言葉遣いや浄土真宗などでタブーな行為を紹介

故人が亡くなり、はじめて迎える初盆。
故人がはじめて自宅に帰ってくる期間とされているため、マナーや慣習はきちんとおさえておきたいものです。
この記事では、初盆にやってはいけないことや言葉遣い、また浄土真宗のルールなどを詳しく解説します。
初盆(新盆)にやってはいけないこと13選 │ 言葉遣い・お供え・行為
初盆法要では、通常のお盆とは違う過ごし方をします。
やってはいけないこともあるので、あらかじめ知っておくことが大切です。
まずは、初盆にやってはいけない行為や言葉遣い、お供え物などについて紹介します。
ロウソクや線香の火を息で吹き消す
初盆に限らず、仏壇やお墓にお参りする際に、ロウソクや線香の火を息で吹き消すのはマナー違反です。
仏教において、人間の息は「穢れ」や「不浄なもの」と考えられています。
そのため、火を息で吹き消すことは故人や仏様に対して失礼にあたるのです。
また火そのものが故人やご先祖様の象徴ともされており、吹き消すのは乱暴な印象を与えてしまいます。
火を消す際には手であおいだり、仏扇やろうそく消しなどの仏具を使ったりしましょう。
白提灯(盆提灯)を飾らない
初盆に白提灯を飾らないと、故人の霊が帰ってこられないといわれています。
白提灯の役割は、あの世から帰ってくる故人に自宅の場所を示す道しるべです。
白紋天とも呼ばれる白提灯には「清浄無垢の心で故人の霊を迎える」という意味があり、故人の名前や法名が記されています。
玄関や軒先に吊るしますが、マンションやアパートなどで飾れない場合は置き型にしたり、室内に吊り下げたりしましょう。
殺生を行う
殺生をすることも、初盆にやってはいけないことです。
仏教においてお盆は「不殺生」の期間とされており、むやみに生き物の命を奪うのは控えなければなりません。
釣りや虫取りなどの遊びも、初盆の際には控えてください。
水辺に立ち寄る
初盆にやってはいけないこととして、水辺に立ち寄ることもあげられます。
故人の霊は水辺から帰ってくると考えられており、お盆の時期に海や川などに近づくと、悪い霊に連れていかれるという言い伝えも。
お盆の時期は雨や台風が多いため、川では急な増水、海では突発的に潮の流れが早くなるといった自然現象により、水にまつわる事故も増える傾向があります。
また、水辺は身体を清める場所とされており、汚すのは失礼という考えもあるため、お盆に立ち寄るのは控えましょう。
故人への敬意を欠いた行為をする
初盆では、故人への敬意を欠いた振る舞いをしてはいけません。
お供え物を無断で食べる、法要に遅れる、不適切な態度で参列するなどの行為は、故人に対して失礼なのはもちろん、他の参列者も不快にさせます。
初盆は故人の霊を丁重に供養する場であることを忘れず、くれぐれも無礼な行いをしないように気を付けてください。
引っ越す
初盆の期間は、引っ越しをするのも控えましょう。
引っ越しを祝い事とする地域もあるため、初盆のときは避けた方が良いとされています。
またお盆は、夏の土用の時期と近く、土を動かしたり、場所を移動したりするのは良くないとされる期間です。
必ずしも禁止されている訳ではありませんが、可能であれば引っ越しの日程を調整しましょう。
慶事(祝い事)に参加する
結婚式などの慶事に参列するのも、初盆には控える方が良いです。
弔事である初盆は、慶事よりも優先されるべき儀式です。
初盆と結婚式などの祝い事が重なった場合は、一般的には弔事の方へ参列します。
また自分自身の入籍やお見合い、婚約など、婚礼につながる祝い事も控えた方が良いでしょう。
どうしてもタイミングをずらせない場合は、周囲とよく相談しながら決めてください。
動物性の食べ物を口にする
動物性の食べ物を口にするのは、初盆にやってはいけないことの1つです。
仏教で「不殺生」の期間にあたるお盆では、動物性の食べ物を食べることも禁止されています。
初盆の期間は、肉や魚などの動物性食材を使用しない精進料理を食べるのが理想です。
どうしても動物性の食べ物を避けられないのであれば、命に感謝しながらいただきましょう。
そもそも初盆供養をしない
初盆供養をしないという選択は、あまりおすすめできません。
通常のお盆で法要をしない家庭や地域も増えていますが、初盆法要は一度だけなので、きちんと供養するのが望ましいでしょう。
さまざまな事情により新盆法要をするのが難しい場合は、小規模で行ったり、仏壇やお墓にお参りしたりして、できる範囲内で気持ちを込めて供養することが大切です。
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忌み言葉・直接的表現を使う
初盆には、忌み言葉や生死に関する直接的表現を使うのもタブーです。
「ますます」「かさねがさね」などの繰り返すことを連想させる重ね言葉、「切る」「離れる」などの別れを連想させる不吉な言葉などは使わないようにしましょう。
また「死んだ」「生きているうちに」などの直接的な表現も避け「息を引き取られた」「お元気な頃」などに言い換えてください。
これらの言葉や表現は、初盆だから使ってはいけない訳ではなく、葬儀や法事などの仏事の際には使用しないようにしましょう。
宗教的に不適切な表現を使う
初盆では、宗教的に不適切な表現にも注意してください。
たとえば「ご冥福をお祈りします」は、仏教で使われるお悔やみの言葉なので、他の宗教を信仰する方には使わないようにしましょう。
キリスト教では「安らかに眠られますように」、神道では「御霊のご平安をお祈り申し上げます」と述べます。
「成仏」「供養」なども仏教用語なので、仏式以外には使わないことも覚えておきましょう。
初盆に限らず、仏事全般においてマナー違反となるため気を付けてください。
殺生を思わせる物をお供えする
初盆にやってはいけないことに、殺生を思わせる物をお供えすることもあげられます。
肉や魚などの動物性の食べ物は殺生を連想させるため、お供え物として不適切です。
また刃物や針などの切れる物も、お供えしないようにしてください。
これらのお供え物は、供養のはずが逆効果になりかねないので注意しましょう。
日持ちしない物をお供えする
日持ちしない物も、初盆のお供えとしてふさわしくありません。
傷みやすい果物や生菓子、冷蔵品などを真夏にお供えすると、腐敗して仏壇を汚してしまったり、虫が寄ってきたりすることもあるでしょう。
お供え物が不衛生な状態になるのは、故人に対して失礼にあたります。
生ものは避けて、焼き菓子や乾物などの日持ちする物を選ぶのがおすすめです。
初盆(新盆)にやってはいけないこと4選|浄土真宗
浄土真宗では、故人は亡くなってすぐ極楽浄土に往生すると考えられているため、お盆はありません。
そのかわりに「歓喜会(かんぎえ)」といって、故人を偲び、ご先祖様に感謝の気持ちを伝える法要を行います。
他宗派の初盆で行う慣習でも、浄土真宗の歓喜会ではやってはいけない儀式や飾りなどもあるため、注意が必要です。
迎え火・送り火を焚く
あの世から故人が迷わずに自宅まで帰ってくるための目印となるのが迎え火、見送りの際に行うのが送り火です。
浄土真宗では、人間は亡くなるとすぐに成仏すると考えられているため、初盆で迎え火や送り火を焚きません。
故人の魂は仏様と共に、常に私たちのそばにいてくれると考えられているため、初盆だからといって特別に迎えたり送ったりする必要はないのです。
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精霊棚を用意する
お盆になると、あの世から帰ってくる霊を祀る場所として精霊棚を用意します。
しかし、浄土真宗において霊は存在しないと考えられているため、精霊棚は設置しません。
浄土真宗では、特別な飾りを準備するのではなく、ご先祖様や故人に感謝の気持ちをもって、普段通りに過ごすことが大切とされています。
いつも見守ってくれている存在として、故人への思いを大事にしながら初盆を過ごしましょう。
精霊馬・精霊牛を準備する
浄土真宗では、初盆に精霊馬や精霊牛も準備しません。
お盆に飾られる精霊馬や精霊牛は、あの世から故人の霊を送迎する乗り物として用意されます。
しかし、浄土真宗には霊が存在しないため、特別に飾る必要はありません。
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白提灯を飾る
初盆で自宅までの目印として飾る白提灯も、浄土真宗では飾りません。
地域によっては白提灯を飾ることもありますが、目印としての意味ではなく、仏壇の飾り付けとして用意されます。
浄土真宗では、盆提灯ではなく切子灯籠を飾るのが一般的です。
切子灯籠は角を落とした多面体の火袋で、悪霊を払う力があるとされており、本願寺派や大谷派でそれぞれ専用の灯籠があります。
浄土真宗の初盆では、宗派に合わせた切子灯籠を用意しましょう。
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初盆(新盆)のお返しでやってはいけないタブーな品物
【初盆(新盆)のお返しでタブーな品物】
生魚・生肉 (四つ足生臭もの) |
・殺生を思わせるため ・宗教的な理由で受け取れないケースがあるため |
酒・昆布・鰹節 |
・慶事を連想させるため ・神事で使用されるため |
器・お箸・置物 | 後に残る物は、使用する度に故人を失ったことを思い出す恐れがあるため |
華美な包装やパッケージ物 | 華美な物は祝い事に使用されることが多く、故人を供養する場に合わないため |
初盆のお返しでは、タブーとされている品物に気を付けてください。
たとえば、殺生を思わせる生魚や生肉、慶事を連想させる酒・昆布・鰹節などがあげられます。
食器類や置物などの形に残る物も、使うたびに故人を失った悲しみを思い出させてしまうため、ふさわしくありません。
香典返しと同様の基準で、使えばなくなる物を選ぶようにしましょう。
また、華美な包装やパッケージは避けて、白やグレーなどを基調とした落ち着いた色合いの包装紙を選んでください。
初盆(新盆)で最低限準備するもの
初盆を迎えるにあたり、用意しなければならない飾りやお供え物があります。
故人が亡くなってはじめてのお盆では、きちんと準備して供養してあげたいものですね。
ここでは、初盆で最低限準備するものについて解説します。
精霊棚
精霊棚(しょうりょうだな)は、ご先祖様や故人の霊をお迎えするために準備する棚です。
盆棚(ぼんだな)とも呼ばれ、お盆の期間にはこの祭壇に霊が滞在するといわれています。
精霊棚は仏壇の横、もしくは前に設置するのが一般的で、最上段には位牌を設置してください。
中段から下段には、お供え物、お参りの道具を並べましょう。
精霊棚は仏具店などで購入可能で、設置が簡単にできるタイプなども販売されています。
精霊馬(精霊牛)
精霊馬(しょうりょううま)、精霊牛(しょうりょううし)は、あの世から故人の霊を送迎する乗り物として準備します。
精霊馬・精霊牛は、キュウリやナスに割りばしや爪楊枝を足としてさして、馬や牛に見立てた飾りのことです。
馬に乗ってはやく帰ってきてほしい、帰りは牛にお供え物をたくさん積んでゆっくり戻ってほしい、という思いが込められています。
簡単に作れるので、初盆の際にはぜひ用意してみてください。
白提灯
初盆では、故人の霊が迷わず自宅に帰ってこれるように、白提灯も最低限準備したいものです。
お盆に飾る提灯には白無地の白提灯と、絵柄の入った提灯がありますが、初盆には白提灯を飾ってください。
白提灯は、親族や故人と親しかった人などからお供え物としていただくこともあります。
また「御提灯料」として現金をいただく場合も。
白提灯を使用するのは、初盆の1回きりです。
初盆が終わったら送り火で燃やすか、お寺での供養をお願いしてください。
お供え物
初盆には、お供え物も忘れずに準備しましょう。
初盆のお供え物は、花、お線香、ロウソク、食べ物、水が基本です。
花や食べ物は、お盆の時期でも傷みにくい物を選びます。
食べ物として団子を用意するのが一般的ですが、故人の好物をお供えしても良いでしょう。
お供え物は、精霊棚の中段や下段に並べてください。
初盆にやってはいけないことは多くある。故人をしっかり供養するために気を付けることが大切
引っ越しや慶事への参加など、初盆にやってはいけないことは多くあります。
通常のお盆とは違う、たった一度の初盆法要なので、故人に失礼のない振る舞いを心がけたいですね。
しっかり供養して、ご先祖様や故人に敬意や感謝の気持ちを伝えましょう。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
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「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。