終活は20代ですべき?エンディングノートの作成法や身辺整理方法を解説

新型コロナウイルスの流行により、現代の若い世代は「当たり前の日常が突然失われる可能性」という現実を強く実感しました。
また、スマホやSNSが当たり前の時代に育ったことで、自分の情報やデータを整理しておくことの大切さにも気づいています。
さらに、地震・台風などの自然災害や、先の見えにくい社会情勢を背景に「もしもの備え」が重要だと考える人が20代の中でも増えています。
この記事では、20代で終活が注目されている理由や、その方法、注意点について詳しく解説します。
終活とは?20代の若い世代にも広がるライフプランの設計
終活とは「人生の終わりに向けた活動」の略語です。
2010年代から「終活」という言葉が広まり、高齢者だけでなく若年層にも身近なテーマとして認知されるようになってきました。
終活と聞くと、葬儀や遺産相続の準備がイメージされがちですが、それだけではありません。
医療・介護・葬儀・相続など「人生の後半をどう迎えるか」を考えるための総合的な準備が終活です。
たとえば、突然の事故や病気など、将来のリスクは年齢に関係なく訪れる可能性があります。
だからこそ、「まだ若いから」と後回しにせず、自分の情報や資産を整理しておくことが安心に繋がります。
終活を始めるのに「早すぎる」「不謹慎」といったことはありません。
20代で終活を考えるのは早すぎると思われがちですが、今こそ自身の生活・ライフプランを見直すチャンスなのです。
20代が終活をする理由
20代が終活をする理由や背景としては下記があげられます。
-
- デジタル社会におけるアカウント管理の必要性を感じている
- 突発的な事故・病気に備えたい
- 結婚や出産などのライフイベントを機会に人生設計を立てたい
- 親世代の終活への関心から自分自身を見つめ直す機会があった
- 資産形成や保険加入のタイミングで将来を意識するようになった
- 新型コロナの影響や社会情勢により、先の見えない未来を意識するようになった
ここでは、20代が終活を意識するようになった主な理由を詳しくご紹介します。
デジタル社会とアカウント管理の必要性を感じている
スマホやSNS、クラウドストレージなど、個人のデジタルデータを多く持つ20代だからこそ、デジタル遺品やアカウント管理の重要性を感じています。
「自分に何かあったときにSNSはどうなる?」「重要なログイン情報は誰がわかる?」といった不安から、早めの整理を始める人も増えています。
突然の事故や病気などに備えて
コロナ禍や突然の災害、身近な人の急病などをきっかけに、若くても備えが必要だと感じる人が増えています。
特に家族と離れて生活している人にとっては、万が一の連絡先や保険・医療の希望を伝えておくことの重要性を実感しやすい傾向があります。
ライフイベントと人生設計の意識
結婚・出産・転職・転居といった人生の節目で、将来の家族や生活について考えるタイミングが訪れます。
その中で、終活を「人生設計の一部」として前向きに捉える人が増えています。
親の終活をきっかけに自分も見直す
親世代の終活(エンディングノートや保険の見直しなど)を身近で目にすることで、自分自身のこれからにも目を向けるきっかけになることがあります。
「自分も、いずれはこういう準備をしていくのかな」と考えることで、早い段階から終活を始める後押しになります。
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資産形成や保険加入で将来を意識
つみたてNISAやiDeCoなど、20代から資産形成を始める人が増えている現在、それに伴って「将来の自分」に目を向ける機会も多くなっています。
保険の見直しやライフプラン設計の延長で、終活に関心を持つ流れが生まれています。
ミニマリズム・断捨離の価値観
若年層の間では「物を持ちすぎない」「必要なものだけで暮らす」といったミニマリズムや断捨離の考え方が浸透しています。
この価値観と終活は相性がよく、情報や持ち物を見直す=身辺整理をポジティブに捉える傾向が高まっています。
不安定な社会情勢と将来への備え
コロナや自然災害、国際情勢など、「明日がどうなるかわからない」社会を生きる若者にとって、備えとしての終活は現実的な行動と捉えられつつあります。
「今を大切にするために、未来にも向き合っておく」姿勢が、20代の終活を後押ししています。
20代の終活は何ができる?
若い世代にとっての終活は、単に「死の準備」ではなく、「これからの人生をより良く生きるための準備」と考えることができます。
終活は大きく分けて以下の3つに分かれます。
①身の回りの物の整理
②財産の整理や相続の準備
③介護や葬儀に関することの準備
このうち①②は20代から始めることが可能です。
以下に具体的な内容や方法を紹介します。
エンディングノートの作成
エンディングノートは、もしもの時に備えて自分の情報や希望、思いを書き記しておくためのノートです。
法的効力はありませんが、家族や周りの人に自分の思いを伝える手段として役立ちます。
エンディングノートには下記のようなことを記載します。
- 自分についての基本情報(自分史など含む)
- 日常の細かな契約
- SNSやメールなどのデジタルデータ・デジタル遺品の管理
- 財産(保険)や相続、借金やローンについて
- 介護・医療・延命治療・臓器提供についての考え
- 葬儀やお墓に関する考え
- ペットがいる場合の対応
- 親しい人の連絡先
- 家族へのメッセージやその他伝えたいこと
一般的なエンディングノートは書店で購入できますし、市役所などの自治体の窓口で無料配布されている場合もあります。
冊子になっているものは、上記の内容を書く欄が設けられていますので、項目に沿って書き進める形でよいでしょう。
エンディングノートを書くことで、自分自身を振り返り、整理することができ、それが将来の備えにつながります。
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身辺整理・断捨離
若いうちから身辺整理や断捨離を意識することで、自分の考えも整理され自分の価値観や人生観と向き合うきっかけになります。
元気なうちに身辺整理することを生前整理と言いますが、若い方にとっても将来の引越しやライフスタイルの変化に備える意味で重要です。
身辺整理をする際は必要な物はジャンルごとに分類・管理し、不要な物はこまめに処分します。
そして、整理しきれないもの、今後必要になるかもしれないもの、残しておきたいものには優先順位をつけます。
今後必要になるかもしれない物でも、また必要になったときに安価に購入できる場合は処分する決断をしても良いでしょう。
3年使っていないものは基本的に処分するなど自分なりにルールを決めておくとスムーズです。
ゆるくスタートして何度も整理を繰り返すのがおすすめです。
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デジタルデータの管理
SNS、ブログ、クラウドストレージ、オンラインバンクなど、多くのデジタルデータがオンライン上に存在する時代です。
死後にこれらの「デジタル遺品」が残ってしまうと、家族がこれらのデータを扱えず困るケースも少なくありません。
亡くなった人のアカウントが乗っ取られて悪用されるケースもあります。
デジタルデータは下記のように管理することを検討しましょう。
- デジタル情報(写真、データ、SNS投稿など)は定期的にバックアップを取り、不要なデータは削除する
- IDとパスワードを信頼できる人に伝える(エンディングノートに記載する)か、パスワード管理アプリに登録する
- デジタルデータの保存先や用途をエンディングノートに記載
- 不要なアカウントは定期的に削除する
- メールアカウントやサブスクの支払い情報も明記しておく
また、GoogleやAppleでは、死亡時のデータ処理を設定できるサービスやツールも提供されていますので有効活用しましょう。
保険や財産の見直し
20代は、社会に出て働き始めると同時に、初めて保険に加入したり、資産を築き始めたりする時期です。
まだ保険に入っていない場合でも、医療費や働けなくなったときの収入減など、将来起こり得るリスクへの備えとして保険を検討する良いタイミングと言えるでしょう。
保険に加入している場合でも「保障内容が今のライフスタイルに合っているか?」「保険料は負担になっていないか?」などを定期的に見直すことが大切です。
転職や結婚といったライフイベントのタイミングで、必要な保障内容は変わっていきます。
また、将来的な住宅購入や起業などを考えている場合は、今のうちから金融資産の管理方法を把握しておくことで、自身のライフプランがより明確になります。
相続・遺言書の基礎知識
20代で遺言書を作成する人は少ないかもしれませんが、万が一に備えて最低限の知識を学んでおくことは大切です。
家族の介護や財産管理に関わる可能性もあり、自分が相続人になった場合の手続きや、遺言書の意味などを理解しておくことで、トラブルの予防にもなります。
家族がいる場合は「自分がどうしてほしいか」を明確にし、それを伝える準備をしておくことは、家族への思いやりの一つです。
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20代で終活を始める時の注意点
終活を始めるとつい「もっと整理したい」と考え、連絡先を一斉削除してしまったり、必要なものまで処分してしまったりと、やりすぎてしまう可能性もあります。
ここでは20代で終活を始める場合の注意点をまとめます。
過度に断捨離しすぎない
身辺整理は大切ですが、思い出の品や大切な記録まで安易に処分してしまうと、後悔することがあります。
また、保管しておく必要がある重要書類や、銀行のキャッシュカード・クレジットカードなど、解約等の手続きをしてから処分しなければならないものもあります。
「今必要かどうか」だけで判断せず、将来の自分がどう感じるかや処分した場合のリスク等も想像しながら整理しましょう。
高額な保険や投資には要注意
終活や将来の備えとして、保険や資産運用を検討することもあるかもしれませんが、必要以上に高額な商品やリスクの高い投資に手を出すのは避けましょう。
特に生命保険や医療保険は長期契約となるので、現在と将来的なライフスタイルに合っているかを慎重に確認しましょう。
内容をよく理解し、自分に合ったプランかどうかを冷静に判断してください。
家族と話し合う時間をつくる
自分ひとりで完結させようとせず、家族との対話を大切にしましょう。
家族と話し合うことで互いの価値観や希望を共有でき、家族の安心にもつながりますし、相続や葬儀に関するトラブルも未然に防げます。
情報の整理と定期的な見直し
終活は一度やったら終わりではありません。
不用品処分などの身辺整理も何度も繰り返す必要がありますし、一度書いたエンディングノートや、整理した情報も、生活スタイルやライフプランの変化とともに内容を見直す必要があります。
就職、転職、結婚、出産、引越しなど、人生の節目ごとに内容をアップデートするとよいでしょう。
終活は死を意識したものではない。20代から始めてみよう
人生100年時代と言われますが、死は誰にでも訪れます。
20代で終活を始めることは「死への準備」という後ろ向きなことではなく、「自分自身のこれからを真剣に考える」という前向きな行動です。
人生の早い段階で自分と向き合う経験は、これからの生活や人生設計にも大きく役立つはずです。
終活をきっかけにして今後の人生をより良いものにしましょう。
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監修者
木村 聡太
・家族葬のゲートハウススタッフ
・一級葬祭ディレクター
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている。