施設・老人ホームで亡くなった場合の葬儀は?検死はある?流れや注意点を解説
高齢の親が介護施設や老人ホームに長く入居している、という方は多いでしょう。
もしものことがいつ起こるかわからない状況で、亡くなった場合どのように対応すればいいか考えている方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、施設や老人ホームに入居している高齢の親がいる方に向けて、施設で亡くなった場合の対応について詳しく解説します。
施設で亡くなった場合|ご臨終~葬儀の流れ
まず施設で亡くなった場合の、ご臨終から葬儀までの流れを解説します。
施設で亡くなった場合、他の入居者への配慮からご遺族には迅速な対応が求められます。
不安に思っている方は、事前に流れを確認しておきましょう。
危篤・ご臨終の連絡が来る
まずは施設側から、利用者が危篤状態であること、もしくはご臨終の連絡が速やかに家族に届けられます。
利用者がどのような状態であるか、どの程度の緊急性があるか説明されるはずです。
通常、事前に届け出ている緊急連絡先に連絡がいくため、施設に伝えた電話番号は、確実に繋がるように気をつけておきましょう。
連絡を受け取ったら、なるべく早く施設に向かう必要があります。
家族が到着するまでの間に、施設の担当者が適切な措置を施してくれるでしょう。
医師から経緯説明・家族の時間を過ごす
亡くなった場合、医師による死亡宣告が行われます。
死亡宣告後、医師から死亡に至った経緯の説明がなされるでしょう。
亡くなった後に、医療器具の除去などの特別な処置を希望する場合は、このタイミングで医師に伝えます。
亡くなった後に家族だけで大切な時間をゆっくり過ごしたい場合、その旨を医師に伝えるのもいいでしょう。
死亡診断書を受け取る
施設で亡くなった場合、施設の担当医や提携先の医療機関の医師に診断、および死亡確認をしてもらいます。
死亡診断書は、かかりつけ医に作成してもらう書類なので、ご遺族が自身で医師を探して手配する必要はありません。
火葬・埋葬の際にも必要となる重要な書類なので、必ず大切に保管しておきましょう。
念のため、コピーを5〜10枚程度手元に残しておくことをおすすめします。
エンゼルケア(死後処置)を施す
家族との時間を過ごした後は、エンゼルケア(死後処置)に移ります。
エンゼルケアとは、生前の状態を可能な限り再現するために、メイクや着替えをし、故人の装いを整えることです。
口内や眼球のケア、全身の拭き取り、爪切り、整髪などを行います。
エンゼルケアは、施設の看護師や介護職員が行う場合が多いですが、誰が担当するか明確なルールはありません。
エンゼルケアの費用は、無料〜数万とかなり幅が広くなっているようです。
葬儀社を手配・ご遺体を搬送する
続いて、葬儀社を手配します。
ご遺族・故人が選んだ葬儀会社に連絡を取るのが一般的ですが、当てがない場合には、施設から紹介してもらえることもあるでしょう。
葬儀社が到着したら、ご遺体の搬送を行うために搬送先を決めます。
施設で亡くなった場合、搬送先は葬祭場か自宅のどちらかになることがほとんど。
葬儀社には、ご遺体の搬送だけを依頼することもできるため、この時点では、葬儀に関する細かい事項や葬儀プランを決めていなくても問題ありません。
ただし、迅速に対応するためにも、できる限り生前から葬儀社を決めておくことをおすすめします。
葬儀社への事前相談は無料なので、もしものときに備えて連絡を取ってみてはいかがでしょうか。
ご遺族にとって、葬儀までの時間は心を整えるための重要な時間です。
落ち着いて時間を過ごせる、静かな場所に安置してもらいましょう。
葬儀会社と打ち合わせをする
葬式の準備で重要なのが、葬儀会社との打ち合わせです。
まずは葬儀の日時や場所、形式、遺影、予算などを取り決めます。
故人の意向が伝えられていた場合、できる限りそれに沿って葬儀内容を決めていくことも大切です。
遠方からの参列者も参列しやすいよう、余裕を持ってスケジュールを組むようにしましょう。
葬儀を執り行う
葬儀は、事前に打ち合わせた内容に沿って進められます。
故人の親族や親しい方に、葬儀の詳細を連絡しておくことも重要です。
1回限りの重要な儀式なので、大切な方たちが無理なく参列できるようにしましょう。
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施設で亡くなった場合|警察・検死は必要?
施設で亡くなった場合、警察を呼んだり、検死をしたりする必要があるのか気になる方もいるのではないでしょうか?
警察の介入や検死が必要かどうかは、死亡時の状況によります。
ここでは、検死が必要なケースや検死の簡単な流れなどについて解説します。
検死が必要なケース
検死が必要なのは、以下のようなケースです。
- 死因が特定されない場合
- 不慮の事故の場合
- 医療ミス・介護ネグレクトなど事件性がある場合
- 自殺の疑いがある場合
死因が不明な場合や、何か不審な点がある場合には介護施設から警察に連絡がいき、検死が行われます。
病死など、死因に事件性がなく自然なものだと明らかな場合、検死が行われることはありません。
検死の簡単な流れ
- 検死とは:検視⇛検案⇛解剖の手続きをひとまとめに表した用語
検死の流れは簡単に言うと、検視・検案・解剖の順に行われる、一連の手続きのことです。
「検視」とは、死因の究明や事件性の有無を判断するために行われる調査です。
これにより、死亡原因に不自然なものがないかを検証します。
その後、医師が死亡推定時刻や死因を推定する「検案」に移り、死亡原因が断定できない場合は「解剖」が行われるでしょう。
事件性が疑われる場合や、死因究明のための解剖は拒否できないため注意してください。
検死については、以下の記事で詳しく解説しています。
死体検案書の発行
警察によって検死が行われた場合、死体検案書が発行されます。
死体検案書とは、警察の依頼を受けた医師が死亡時の状況を調査(検案)した結果を報告する書類です。
死亡推定時刻や死因、死亡場所などが記載され、死亡診断書同様、火葬や埋葬の際に必要となる重要な書類でもあります。
事件性がないことを証明する重要な証拠になるため、受け取った後は紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
老人ホームや施設での葬儀|メリットと注意点
老人ホームや施設によっては、葬儀を執り行える場合があります。
施設葬には、施設葬ならではの、メリットや注意すべき点があるため、確認しておきましょう。
それぞれ詳しくご説明します。
施設葬のメリット
- 故人が生前に慣れ親しんだ環境でお見送りできる
- 葬儀費用が抑えられる場合がある
- 遺体搬送の手間や不安がない
- 施設の同居者にもお見送りしてもらえる
できるならば、故人が落ち着ける環境でお見送りしてあげたいと思う方も少なくないはず。
施設葬であれば、その望みも簡単に叶います。
現実的な面で言えば、費用や遺体搬送の手間が省けるため、ご遺族の負担も大きく減らせます。
さらに、通常の葬儀には参列が難しい施設の同居者や、生前にお世話になった多くのスタッフに参列してもらえるなど、故人の気持ちを尊重しやすい点も、施設葬の大きなメリットだと言えます。
施設葬の注意点
- 施設の同居者への配慮が必要
- 施設葬ができない施設もある
- 施設内に安置室がない場合は別で手配が必要
施設の場合、もちろん亡くなった方の同居者がいますよね。
生前に交流のあった利用者が亡くなった場合、ショックを受ける方もいるでしょう。
亡くなった場合は、速やかに安置場所へ搬送するなど、他の同居者への気遣いが必要です。
葬儀場所が施設であっても、施設内に安置する場所がない場合は、別で安置施設の手配が必要です。
逆に手間がかかる可能性もあるため、安置場所の有無を事前に確認する必要があります。
また、施設葬を行う設備が完備されていない施設もあります。
施設葬を行いたい場合は、入居前に対応しているか調べておきましょう。
施設で亡くなった場合の葬儀準備での注意事項
施設での生活が長い場合、葬儀準備に関して特別に気をつけておきたいポイントがいくつかあります。
施設葬に限らず、施設で亡くなる可能性があるときに注意しておきたい点を解説するので、できる範囲で生前から確認しておきましょう。
安置先は速やかにor事前に決める
施設で亡くなった場合、他の同居者への配慮が必要です。
個室ではなく、他の方々と相部屋だった場合は特に、大きなショックを受ける同居者もいるでしょう。
生活している部屋の中にご遺体が長らく置かれていると、同居者も落ち着かないはずです。
速やかにご遺体の搬送を行うためにも、施設内に安置先があるのか確認し、手配が必要な場合は事前に安置場所を決めておきましょう。
遺影写真は早めに相談する
施設に長く入居していた場合、写真を撮る機会が少なく、遺影として使える写真が残っていないこともあります。
イベントなどで、スタッフが撮った写真が残っていることもあるため、遺影を決める際は念のため施設側にも相談してみましょう。
可能であれば、生前から早めに相談しておくのが望ましいですね。
遺影にふさわしい写真が手元にない場合などは、元気な頃の写真を使用してもかまいません。
施設で亡くなった場合のお礼の仕方
施設で亡くなった場合、施設スタッフや医師、看護師など生前にお世話になった方々へお礼がしたいと思う方もいるでしょう。
とはいえ何を渡せばよいのか、どうすれば迷惑にならないかなど、気になることも多いはず。
ここでは、施設で亡くなった場合のお礼の仕方について解説します。
必ず施設のルールに則る
まず注意すべきなのは、ご遺族からのお礼に対するルールが決まっている施設かどうかという点です。
ルールによって、お礼の品の受け取りを一切禁止している施設もあります。
お礼の受け取りを禁じている施設の場合、物品を持っていっても断られるでしょう。
お礼を渡しても迷惑にならないか、事前に確認しておくことが大切です。
訪問しお礼を伝える
葬儀が滞りなく終わり、落ち着いた頃に施設に訪問するのがいいでしょう。
お礼を伝えるときは、できれば、故人を担当してくれていたスタッフに直接お礼を伝えるのがおすすめです。
あまりかしこまらずに、素直な気持ちで生前お世話になった感謝の気持ちを伝えましょう。
御礼状を出す
施設が遠方である場合など、直接の訪問が難しい場合は御礼状だけでも問題ありません。
文面には、葬儀が無事に済んだことや、生前にお世話になった感謝、直接の訪問が叶わないことのお詫びなどについて記すのが一般的です。
かしこまって長い文章を書こうと気張りすぎず、気持ちを込めて書きましょう。
お礼の品を渡す
お礼の品を渡す場合、選ぶ物品と、のしの表記には注意が必要です。
相手に感謝の気持ちが伝わることが何より大切なので、正しいかたちで相手に感謝が届くよう準備しましょう。
施設にお礼の品を渡す場合は、以下の2点を意識してみてください。
日持ちする消え物を選ぶ
お礼の品を選ぶ場合は、日持ちする消え物を選びましょう。
消え物とは、お菓子など消費することで手元からなくなる物品のことです。
日持ちするものが望ましいためケーキなどの生物は控え、施設職員全体に行き届きやすいように、個包装されたものを選ぶとよいでしょう。
のしの表書きは「御礼」
お礼の品を渡す場合、のしをつけてお渡しするようにしましょう。
のしの表書きは「御礼」とするのが一般的です。
決まりがあるわけではないので、感謝の気持ちが伝わるかたちであれば、「志」などでも問題ないでしょう。
ちなみに、直接お渡しする場合は外のし、郵送する場合は内のしで対応します。
お礼をするときの注意点
お礼をするときには、注意すべき点が2つあります。
お礼の仕方を間違えると、施設によってはお礼の受け取りを拒否されることも。
気持ちよくお礼を受けていただけるよう、以下の注意点にはきちんと配慮しましょう。
現金や商品券などは避ける
お礼の品を渡す場合、現金や商品券などは避けましょう。
現金や商品券などをお礼として渡すと、他の入居者からの誤解を招いたり、不快感を与えたりしてしまうことも。
先述したとおり、お礼の品を渡す場合は、スタッフ全員に行き渡るような日持ちする消え物を選びましょう。
個人に対するお礼は避ける
施設側にお礼をする場合、スタッフ個人へのお礼は避けるべきです。
あくまで、施設全体へのお礼というかたちを取りましょう。
もちろん、最もお世話になったスタッフにお礼を伝えたい気持ちもわかります。
しかし、個人宛にお礼をするのはかえってスタッフの迷惑になる可能性もあるため、控えましょう。
お礼の品を渡す場合は「スタッフの皆様で召し上がってください」と、一言添えるのが望ましいです。
施設で亡くなった場合は迅速な対応を求められます。事前に葬儀会社を検討しておきましょう
施設で亡くなった場合、何より迅速な対応が必要です。
速やかに対応するには、事前に対応方法や流れについて理解しておくことが大切。
同時に、葬儀会社の検討も生前から行っておくのが望ましいでしょう。
施設葬ならではのメリットもあるため、注意すべき点に配慮しながら、施設葬を選択するのもひとつの手段です。
施設への入居が長い親族がいる方は、もしものときに慌てないよう、この記事で解説した流れに沿って対応を進めてくださいね。
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