葬儀用バッグのマナーとは?お葬式用カバンの選び方を男性・女性別に解説
葬儀に参列するため喪服を着用する際は、バッグをどうするべきか悩みますよね。
弔事のマナーに合うバッグを選ぶには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
この記事では、お葬式用のカバンの選び方を男女別に解説し、さらに葬儀のマナーも紹介していきます。
女性の葬儀用バッグはどう選ぶ?
女性が葬儀で喪服を着るとなると、次に決めなければならないのは「バッグをどうするか」でしょう。
普段使いのバッグを使ってもいいのかと迷ったり、どんなバッグを使えばマナー違反にならないのか悩んだりするかもしれません。
まず、女性が喪服を着る際に使う葬儀用バッグの選び方を、色や素材など、ディテール別に解説します。
色
葬儀のためのブラックフォーマルバッグは、ツヤのない黒一色で、他の色は一切入っていないものを使いましょう。
黒でも、ゴールドやシルバーの金具がついているものはマナー違反となるため、使えません。
ただし、黒い金具なら葬儀でも使用できます。
刺繍やレースの飾りがついたバッグの場合は、フォーマルウェアと同じように濃染加工がしてあれば、使っても構いません。
普段使っている黒いバッグを使いたい場合、喪服と合わせると案外明るく見えてしまうこともあるため、実際に着用する喪服と合うか事前にチェックしておきましょう。
素材
葬儀用バッグの素材は、基本的に漆黒の布製とされています。
革製のカバンは、かつては殺生を連想させるという理由で使えませんでしたが、近頃では革製のフォーマルバッグを使う人も増えています。
革製バッグのメリットは、変色や型崩れがしにくく長く使えることです。
ブラックフォーマルで革製バッグを使う場合は、クロコダイルやパイソンなど派手な革でないもので、光る材質、金具がついているものは避けましょう。
もっとも、地域や宗派等によっては、革製バッグそのものがマナー違反となる場合もあるため、前もって確認しておくことをおすすめします。
大きさ
冠婚葬祭のマナーでは、ブラックフォーマルに合わせるバッグのサイズは、小さめなほうが格式高いとされています。
横幅が30センチ以上あるような大型のバッグは、カジュアル、またはビジネス用の印象になるため、葬儀用バッグに相応しくありません。
トートタイプのバッグでも、ハンドバッグ程度のコンパクトなサイズなら、葬儀で使用できます。
荷物が多くなった場合は、フォーマルバッグにすべてを入れようとせず、葬儀用バッグと手提げカバンを併用して、収納するようにしましょう。
形・デザイン
葬儀用バッグは、ワンハンドルタイプで貼り合わせ技法の箱型バッグを使うのが一般的です。
芯のないソフトタイプのバッグやトートバッグは、カジュアルな印象となるため、一般的な葬儀や告別式、家族葬では使えますが、近しい親族の葬儀なら箱型バッグを使用しましょう。
リボン程度の飾りがあるバッグや、ツーハンドルのバッグも使えますが、目立つ飾りがついているものはマナー違反となります。
デザインは、口が大きく開いて必要なものがすぐ取り出せるタイプや、小型でもマチが広く収納力があるものがおすすめです。
男性は葬儀にバッグを持っていってもいい?
男性が葬儀に参列する場合には、どのようなカバンを使えばよいのでしょうか。
女性と違って、男性用の冠婚葬祭バッグというのは、あまり見かけませんよね。
続いては、男性が葬儀で使うバッグについて紹介します。
男性はバッグなしが基本
男性はスーツにポケットがあって、ある程度の物は収納できるので、葬儀の席にバッグを持ち込まないのが一般的です。
しかし、厚みのある財布や大型のキーケース、スマホ、香典や数珠などで、スーツのポケットがパンパンになっているのは、見た目が悪いですよね。
喪服を着る際には、小型の財布を使う等、荷物をなるべくコンパクトにしておくのがコツです。
本当に必要なものだけを選んで持ち歩き、他の物は別の場所で保管するようにして、手荷物は減らしておきましょう。
持っていく場合は小さめのカバンで
事情によって、男性でも葬儀に持参する荷物が増えてしまい、ポケットでは入りきらないこともあるでしょう。
その場合は男性でも、ブラックスーツに合わせた、小さめのカバンを持っていっても構いません。
ただし、色は黒色で無地のシンプルなタイプで、目立つ装飾があるものを避けるなど、弔事の基本的なマナーに合ったものを使いましょう。
デザインは、手に抱えられるタイプで、コンパクトなクラッチバッグがおすすめです。
葬儀におけるバッグのマナー
仕事帰りに葬儀に参列する場合や、冬季の葬儀の場合には、荷物が多いこともあります。
式場にクロークや受付があれば余分なものは預けて、最低限必要なものだけ持ち込むようにしましょう。
続いては、葬儀におけるバッグのマナーを解説します。
荷物が入らない場合はサブバッグを利用する
葬儀用バッグは小さいので、スマホや財布の他、数珠や香典、防寒具やお手伝い用エプロンなど、必要な物が入りきらないことも多いでしょう。
荷物がすべて入らない場合は、無理に1つのバッグに詰め込むよりも、サブバッグを利用するほうがスマートです。
葬儀用のサブバッグは、ツヤがなく黒で飾りがないシンプルなデザインのもので、大きさはA4サイズ程度が一般的とされています。
ブラックフォーマルバッグを準備する場合は、一緒に持つサブバッグも準備しておくと、荷物が増えても慌てなくて済むでしょう。
着席時は膝の上に置く
葬儀会場で椅子に着席している間は、葬儀用バッグやサブバッグ、カバンなどを膝の上に置くか、背中と椅子の背もたれの間に置いておくようにしましょう。
空いている席や床の上にフォーマルバッグを置いたり、椅子の背にかけたりするのは、見栄えが悪いだけでなくマナー違反になるので、気をつけましょう。
もし受付やクロークがなく、大きな手荷物やコートを持ち込む場合は、目立たないように椅子の下に置いて、周りの方に迷惑をかけないよう配慮することも大切です。
焼香時はバッグを持たない
葬儀で焼香をする際には、手荷物は持っていかないで、数珠など必要なものだけを手に焼香台に向かうのがマナーとされています。
最近の葬儀会場では、焼香台の近くに荷物を置く台が用意されていることが多いので、その上に葬儀用バッグを置いてから、焼香に向かうようにしましょう。
もし荷物置き場が用意されていない会場の場合は、バッグを椅子の上に置いたままで、焼香に行くようにします。
葬儀用のカバンに入れておくべき持ち物
葬儀に参列するときに、必要な持ち物とは何でしょうか。
その場で忘れ物に気が付いて慌てることがないよう、あらかじめチェックしておきましょう。
続いては、葬儀用バッグや、男性が喪服のポケットに入れておくべき持ち物を紹介します。
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香典
急な葬儀の知らせを受けた場合でも、必ず香典を用意して参列しましょう。
ただし、香典不要と言われた場合は、無理に渡す必要はありません。
香典袋は、コンビニでも入手できます。
仏式なら「御香典」、神道やキリスト教では「御霊前」と書いてあるものを選びましょう。
新札を入れるのはマナー違反なので、新札なら一度折ってから入れます。
しかし、シワシワのお札や汚れたお札は、失礼なので使ってはいけません。
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袱紗(ふくさ)
袱紗(ふくさ)とは、冠婚葬祭で祝儀や香典を包む布のことです。
バッグやポケットに直接香典袋を入れて、汚れやシワをつけないように、袱紗で包んで運ぶのが一般的です。
葬儀で使う袱紗は、黒、紺、グレー、紫などの色で無地のものを使います。
慶事用の、柄入りや暖色系のものを使ってはいけません。
袱紗は必ずしも必要なものではなく、なくてもマナー違反にはなりませんが、白か黒のハンカチなどで代用することもできます。
数珠
仏教のお葬式や通夜に参列する場合は、数珠を持参します。
数珠は葬儀だけでなく法事などで使うこともあるので、好きなデザインの数珠を1つ用意しておくとよいでしょう。
数珠を持っていない人や持ってくるのを忘れた人が、人の数珠を借りるのはマナー違反です。
数珠がない場合や忘れたときは、手を合わせるだけでも構いません。
神道やキリスト教など、仏教以外の葬儀なら、数珠は不要です。
ハンカチ
故人を偲び涙を拭ったり、手を拭いたりするときのために、男性も女性も葬儀用のハンカチをバッグやポケットに入れておきましょう。
葬儀用のハンカチは、白か黒、グレーなど地味な色の無地のものにします。
色がついたハンカチや柄入り、ラメ入りなど華美なデザインのものはマナー違反なので、止めましょう。
ハンカチと同色の刺繍やレース等、目立たない装飾がついたハンカチなら、葬儀でも使えます。
バッグ以外の葬儀の服装マナー
立場にあった服装を着る
葬儀に参列する際は、男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルを着用するのが一般的です。
ただし、急な葬儀で喪服の支度が間に合わない場合には、平服でも構いません。
平服の場合は、男性はダークグレーなど地味なスーツに黒のネクタイを着用し、派手な時計やアクセサリーは外します。
女性は、グレーや紺の地味なスーツかアンサンブル、ワンピースを着用し、結婚指輪以外のアクセサリーは極力しないようにしましょう。
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髪はまとめる
髪が長い場合は、低い位置で結ぶかお団子にして、まとめておきましょう。
結ぶほど長くない場合でも、頭を下げたときなど、髪が乱れる度に手で直さなてもいいように、あらかじめ飾りのないピンなどで止めておきます。
メイクは薄化粧にして、口紅は塗らないか、落ち着いた色にして控えめに。
男性の場合は、清潔感があるスタイルを心がけ、派手にならないよう気をつけましょう。
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光沢のない黒靴を履く
靴は光沢のない黒い革靴で、女性の場合はヒールが5センチ程度までのローヒールで、シンプルなパンプスを履きましょう。
エナメル素材のような光る材質の靴や、金具など飾りがついた靴、ハイヒールやウェッジソールなどカジュアルな靴は、葬儀に相応しくありません。
靴下やストッキングは黒を着用し、女性は破れたときに備えて替えのストッキングも用意して置くと安心です。
葬儀のバッグには相応しいものがある。マナーを知って失礼がないようにご注意を
葬儀のバッグは、女性なら漆黒のコンパクトな箱型バッグが一般的です。
男性は基本的にバッグを持ちませんが、小さめのクラッチバッグなどを使う場合もあります。
会場ではバッグを膝に置き、焼香の際は荷物台に置くなど、会場での基本的な決まりも守りましょう。
現場で慌てないよう、必要な持ち物や身だしなみのマナーの確認もおすすめします。
失礼がないよう葬儀のマナーを理解して、亡くなられた方をお弔いしましょう。
監修者
木村聡太
家族葬のゲートハウススタッフ
「家族の絆を確かめ合えるような温かいお葬式」をモットーに、10年以上に渡って多くのご葬儀に携わっている
・一級葬祭ディレクター